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世界でいちばん透きとおった物語【あらすじ・トリック・ネタバレ解説】

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 「世界でいちばん透きとおった物語」は杉井光(すぎい・ひかる)氏の推理小説です。この記事では、あらすじ、登場人物、仕掛けられたトリック、「     」に入る言葉、読者の感想などをまとめています。

項目 説明
タイトル 世界でいちばん透きとおった物語
評価
著者 杉井光
出版社 新潮文庫
シリーズ 単発
発行日 2023年4月26日
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あらすじ

宮内彰吾が、癌に侵され、闘病ののち、61歳でこの世を去った。彼は著名なミステリ作家だった。生前、女性に対して奔放だった宮内は既婚者でありながら愛人との間に子供を授かっていた。それが、僕である。異母兄弟から連絡があり、遺作を出版したいのだが原稿がないという。タイトルは「世界でいちばん透きとおった物語」らしい。宮内とは会ったこともない僕だが、文芸編集者の霧子さんとともに、遺稿を探すことになる――。

キャッチコピーは「絶対に予測不能な衝撃のラスト――」です。大御所作家の愛人の子が主人公で、名前は藤阪燈真です。この燈真が、編集者の深町霧子と共に、一度も会ったことがない父親の遺作「世界でいちばん透きとおった物語」を探すことになります。その後は、燈真の父である宮内彰吾の愛人達に遺品を渡しながら話を聞き、ミステリーらしく物語が展開していきます。

登場人物

主人公は藤坂燈真という男で書店でアルバイトをしています。その他の主な登場人物は以下の通りです。

名前 説明
藤坂燈真
ふじさか・とうま
主人公。母と二人暮らしだった
藤坂恵美
ふじさか・めぐみ
燈真の母親。宮内彰吾と不倫していた
交通事故で亡くなっている
宮内彰吾
みやうち・しょうご
燈真の父親。大御所のミステリ作家
本名は松方朋泰(まつかた・ともやす)
深町霧子
ふかまち・きりこ
探偵役。編集者
ミステリファン
松方朋晃
まつかた・ともあき
宮内の本妻の息子
金目当てで遺稿の出版を計画
藍子
あいこ
宮内の愛人
キャバ嬢で藍子は源氏名
七尾坂瑞希
ななおざか・みずき
宮内の愛人
作家
郁嶋琴美
いくしま・ことみ
宮内の愛人
俳優
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ネタバレ

主人公の藤坂燈真は宮内の関係者から話を聞き、「世界でいちばん透きとおった物語」というタイトルの遺稿が存在することに気付きます。しかし、この原稿は何者か(おそらく宮内の元妻)によって燃やされてしまいます。原稿は焼失してしまいましたが、宮内の意思を受け継いだ燈真が作品の再現を試み、最終的に書き上げます。

燈真は「世界でいちばん透きとおった物語」を“すべての見開きの文章レイアウトがまったく同じ左右対称形”で書かれています。右ページはすべて同じ位置で改行されており、左ページも同じです。こうすることで、後ろ文字が透けなくなり、コントラスト過敏の燈真でも読める本になっていました。

燈真は次のページが透けてしまうため、紙の本が読めない体質でした。そのため、主人公は推理小説を読んでいる途中に犯人がわかってしまいます。しかし、この仕掛けがあれば、紙の本であっても先を知ることはありません。つまり、死んだ宮内は主人公のために、遺稿となった小説を書いたということになります。

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トリック

左右対称のレイアウトは、読者が手にしている本にも仕掛けられています。そのため、後ろのページが透けて見えないようになっています。電子化すると文字サイズなどの設定等によってレイアウトが崩れてしまう場合があります。そもそも、電子書籍には、透過という仕様がないため、電子書籍では実現しにくいトリックです。

「     」

ラストに登場する「     」は、透かすと「ありがとう」が浮かび上がるようになっています。これは燈真が父親である宮内に贈った言葉です。

感想

 杉井光さんの新作です。読み終えて、著者の杉井さんと編集の方の想像を絶するような労力に敬意を表したくなりました。主人公は不倫で生まれた婚外子で、母は死に、会ったことのない父親(ミステリ作家)も亡くなります。重たい境遇ですが、読んでいて胸が苦しくなるような展開は、あまりなかったように思います。ミステリーらしく事情聴取しながら物語は進んでいき、中盤以降で仕掛けられた謎が明かされるわけですが、ほんとうに、震えます。そして、何度もページをめくり直したりしました(笑)。

いろいろとヒントが隠されている作品ですので、ネタバレはもちろんですが、事前情報も遮断して、読んでいただきたい作品です。以下では、まず、ヒントになりそうな内容をご紹介したいと思います。

読んだ方は、おそらく、読み返す(見返す)ことになると思います。似た作品もあるにはあるのですが、おそらく、経験したことがない驚きを得られると思います。物語の中では、主人公である藤阪燈真の母親が校正者であること、燈真は電子書籍しか読めないことなどがヒントになっています。また、物語とは直接関係のないヒントとして、ひらがなが多い、電子書籍がない、本の帯、タイトルなどが挙げられます。

みんなの感想

 本の口コミをしらべてみうとネガティブな感想はほとんど書き込まれていませんでした。面白い仕掛け、声出る、鳥肌立つ、理由納得などなど、称賛の声が多い印象です。

ラスト

 本の帯などで“衝撃のラスト”と謳われていますが、実際、衝撃を受けた読者が多いようです。

“王様のブランチ”というテレビ番組で紹介されていたので読みました。うっかりネタバレをふんでしまう前に読み終えたいと思い一気に読みました。いや、ほんとにすごかったと思います。「電子化不可能」と言われていた理由がわかりました。ラストの仕掛は、ぼんやりと想像していたのですが、想像をはるかに超えていました。

終盤にかけてページを捲る手が止まらない。あのラストには誰もが驚愕するだろう。本当にネタバレ厳禁!ただただ凄い!間違いなく唯一無二の読書体験!

衝撃のラストについては何も言えません。読んでみて、としかいえないです。鳥肌ものです。ネタバレ厳禁に納得で、話題になるのも納得でした。

仕掛け

 仕掛けのあるミステリーです(仕掛けがある、というのはテレビで紹介されていました)。

紙でしかできない仕掛けときいて、その日のうちに購入。久しぶりにワクワクしました。期待を裏切らなかった。最近は電子書籍で読むことが多いので、紙の本の奥深さを感じた一冊。

かなり独特なミステリー作品だと思います。何重にも張り巡らされた伏線や仕掛けが秀逸で、本を読むことの面白さを改めて実感しました。ミステリとしては“仕掛け一点突破”な感じはあるけど、楽しめた。

まとめ

 杉井光著「世界でいちばん透きとおった物語」について、あらすじ、みんなの感想、仕掛けについてなどをまとめました。“紙の本でしか”体験できない感動、電子書籍化不可能などのキャッチコピーで話題の小説です。

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