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Yの悲劇|あらすじ・感想・ネタバレ【エラリークイーン】

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 ミステリー界の巨匠・エラリークイーンの傑作ミステリー『Yの悲劇』は、特に評価が高く、複雑なプロットと人間関係、巧妙なトリック、心理描写など読みどころが満載で、まさに悲劇な一冊です!この記事ではあらすじ、感想、ネタバレなどをまとめています。

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あらすじ

 ニューヨークの富豪、ヨーク・ハッターが死亡する。自殺と断定された彼の死後、ハッター家では次々と不可解な事件が発生――ヨークの娘ルイーザが毒殺未遂に遭い、続いて、ヨークの妻エミリーが殺されてしまう。
 事件の真相を解き明かすため、元舞台俳優で聴覚を失った名探偵ドルリー・レーンが、サム警視やブルーノ地方検事とともに捜査を始め、レーンは盲聾唖という三重苦を抱えるルイーザから、犯人の手がかりを得る。それは、「すべすべした肌」と「バニラの匂い」という、非常に限られた情報だった。

  • 第一幕:ヨーク・ハッターの死と、ハッター家の人々の紹介
  • 第二幕:毒殺未遂事件の発生と、ドルリー・レーンの登場
  • 第三幕:新たな殺人事件と、錯綜する証言
  • 第四幕:ドルリー・レーンによる真相解明と、衝撃の結末
Yの悲劇
早川書房
¥660(2025/04/08 14:29時点)

小説の特徴

 本格ミステリーが好きな人、衝撃的な結末、読後に深く考えさせられる作品を求めている方にオススメです!

  • 本格ミステリ―
    読者を欺く巧妙なトリックと、それを解き明かす論理的な推理が魅力!
  • 古典的なミステリーの要素
    クローズド・サークル、意外な犯人、論理的な推理など、古典的なミステリーの要素がふんだんに盛り込まれています!
  • 舞台設定と登場人物
    ニューヨークのマッド・ハッター一家という家族構成や屋敷の描写が雰囲気を一層陰鬱で魅力的!狂気に満ちたハッター家の面々それぞれが強烈な個性を放つ
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感想

 緻密なトリックに引き込まれました。伏線が巧妙に張り巡らされていて、読み応えがあり、論理的な推理も素晴らしかったです。レーンの苦悩や葛藤に共感できますし、結末が衝撃的で、考えさせられる一面もあったと思います。時代背景を考慮する必要はあると思いますが、それでも面白いです!単なる謎解きミステリーとしてだけでなく、特に、ドルリー・レーンが事件の真相に近づくにつれて苦悩していく姿などは、人間の心の闇を描いた文学作品としても評価できるかもしれません。

高評価のポイント

  • 緻密なトリックと論理的な推理:複雑に絡み合った謎を論理的に解き明かす過程!知的興奮を得られる
  • 魅力的なキャラクター:個性的な登場人物たちが織りなす人間ドラマ
  • 衝撃的な結末:予想を裏切る結末はまちがいない!

低評価のポイント

  • 探偵の行動:探偵ドルリー・レーンの行動に倫理的な疑問を感じる…ラストについては賛否両論かもしれません
  • 差別的な表現:昔の作品であるため、現代の価値観とは異なる差別的な表現があります。特に遺伝や病気に対する偏見です
  • 冗長な部分:物語の展開が遅く、冗長に感じられるかも…
  • 後味の悪さ: 救いのない結末と物語全体を覆う暗い雰囲気が読後感を悪くしています
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ネタバレ

 真犯人は13歳のジャッキー・ハッター(コンラッドとマーサの息子)です。彼は、祖父ヨーク・ハッターが書き残した探偵小説を模倣し、一連の事件を引き起こしました。
 ジャッキーは、エミリー・ハッターを殺害するため、彼女が嫌う梨に毒を注入。ルイーザを狙った毒殺未遂は、警察の目を欺くための偽装でした。

 ドルリー・レーンは、ジャッキーが犯人であることに気づきながらも、告発を躊躇します。それは、ジャッキーがハッター家の血筋の犠牲者であり、更生の余地があると考えたからです。しかし、ジャッキーは再び毒を手にし、ルイザを殺害しようとします。
 レーンは苦渋の決断を下します。ジャッキーが毒入りのミルクを飲むことを知りながら、それを止めませんでした…ジャッキーは、自らの罪を償うかのようにして毒を飲み干し、命を落とします。

結末

 事件後、ハッター家は崩壊。バーバラはエドガーと結婚し、イギリスへと旅立ちます。コンラッドはマーサと離婚し、マーサは子供たちを連れて新たな生活を始めます。そして、ルイザは事件の真相を知ることなく、心臓発作で亡くなります。
 ドルリー・レーンは、事件の真相を警察に明かすことなく、沈黙を守り続けます。彼の行動は、正義とは何か、法とは何か、そして人間とは何かという、根源的な問いを読者に投げかけます。

まとめ

 事件は解決するものの…読後感は決して爽快なものではないと思います。深い悲しみや、正義とは何かという問いが最後には残りそうです。ドルリー・レーンの行動は倫理的に許されるのか?それとも、狂気に染まった一族を救うための、やむを得ない選択だったのか?この余韻もまた、名作として評価されている理由の一つかもしれません。

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