項目 | 評価 |
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読みやすさ | |
好みの分かれやすさ | |
キャラクターの魅力 | |
テーマ性 | |
飽きさせない工夫 | |
ミステリーとしての面白さ |
あらすじ
『十角館』で起きた事件に巻き込まれた江南孝明は、オカルト雑誌『CHAOS』の編集者として、心霊現象の取材のため、時計だらけの奇妙な館・時計館を訪れる。館では過去に凄惨な事件が起きており、館の主である古峨倫典の娘・永遠の幽霊が出ると噂されていた。オカルト雑誌の取材チームは、時計館で過去に亡くなった少女の霊を呼び出す交霊会を企画するが――霊媒会に参加した人々が一人、また一人と殺されていく…。
小説の特徴
- トリック!!:読者の想像を遥かに超える巧妙なトリックに驚愕すること間違いなし!
- 予測不能な展開:どんでん返しに次ぐどんでん返しで最後まで飽きない
- シリーズのつながり:過去作の要素が巧みに織り込まれ、シリーズファンにはたまらない!
- ゴシックホラーの雰囲気:時計が刻む音と閉鎖された空間が生み出す恐怖感!狂気と狂愛、異常な愛情や狂気が事件の背景に…
こんな人にオススメ
- 奇抜なトリックに興味がある!知りたい!:驚愕のトリックに仰天したい
- 本格ミステリー好き!:緻密なトリックと論理的な推理を楽しみたい!本格ミステリー好きにはたまらない作品
- スリリングな展開!:予想を裏切る展開にハラハラしたい!
読む順番及びシリーズについて
館シリーズの5作目です。先に1作目~3作目を順番通りに読んだ方が〈館〉シリーズをより一層楽しめると思います。
主な登場人物
- 江南孝明:オカルト雑誌『CHAOS』の編集者。十角館ではいろいろあった。今回は取材のため時計館に滞在し、事件の顛末を追うことになる
- 鹿谷門実:推理作家。江南とは旧知の仲。時計館に興味を持ち、今作では事件を外部から調査する
- 伊波紗世子:時計館の管理人。娘・伊波今日子を10年前に亡くしている
- 古峨倫典:時計会社の社長で、時計館の先代当主。娘への異常な愛情を持つ
- 古峨永遠:倫典の娘。美少女。10年前に亡くなったとされる
- 古峨由季弥:倫典の息子で、永遠の弟。時計館の現当主。引きこもりで、謎めいた雰囲気を持つ
- 内海篤志:稀譚社のカメラマン。取材に同行
- 光明寺美琴:霊媒師。交霊会の霊媒
- 野々宮泰斉:時計館の専属占い師
- 瓜生民佐男:W大超常現象研究会に所属する大学生
- 樫早紀子:W大超常現象研究会メンバー
- 渡辺涼介:W大ミス研メンバー
- 新見こずえ:W大ミス研メンバー
- 河原崎潤一:W大ミス研メンバー
- 福西涼太:W大ミス研メンバー
- 田所義雄:W大ミス研メンバー
- 福西涼太:W大ミス研メンバー
- 小早川茂郎:オカルト雑誌『CHAOS』の副編集長。取材を企画した人物
感想
最初は分厚さに圧倒されたりもしましたが、ページをめくる手が止まらず、一気に読破してしまいました。どんでん返しに次ぐどんでん返しって感じです。最後の最後に明かされる真相には、ほんとに言葉を失うほどの衝撃でした。使い古されたトリックだとは思いますが、だからこそより一層強力な衝撃になっていると思います。壮大で、忘れられない一冊になりそうです!
綾辻先生の作品は、いつも期待を裏切らない面白さがあると思います。あとは、時計館という舞台設定が、物語全体に独特の雰囲気を与えており、深く引き込む力があると感じました。
高評価のポイント
- 予想を裏切るトリック:読者を驚かせる巧妙な仕掛け
- 緻密なストーリー:練り込まれた伏線と構成
- キャラクターの魅力:特に鹿谷の存在感
- 読み応えのある長編:分厚さを感じさせない展開
- 館シリーズならではの雰囲気:独特の閉塞感と幻想的な要素
- トリック:この項目では詳しく語れませんが…トリックがすごい!
低評価のポイント
- 殺人の多さ:無関係な人まで巻き込まれている…理由のあるなしに関係なく、抵抗を感じるかも
- トリックがちょっと難しい?:複雑なトリックを理解するのが難しいと感じる人もいるかもしれません
- 既視感:過去のミステリー作品との類似性がなくはない
ネタバレ
時計館のトリックは、館全体の時間の流れが外部と異なっているというものでした。犯人はその時間差を利用し、アリバイを作りながら犯行を重ねていたのです。具体的には、旧館にある108個の時計が、通常の1.2倍の速度で進むように仕掛けられていました。これにより、旧館の中では時間が早く進み、犯人は外部との時間感覚のズレを利用して、犯行時刻を偽装していたわけです。
10年前、時計館の主である古峨倫典は、娘の永遠が16歳まで生きられないということになったので、娘を救うために時計館を建てました。そして、館の時間を操作することで、永遠を16歳にしようとしたわけです。しかし、永遠は大学生たちとの出会いを通じて、外部との時間のズレに気づき、自分が作り上げられた虚構の世界に生きていることを知り、絶望して自殺してしまいます。
事件の真犯人・伊波紗世子は、10年前に娘が亡くなった原因を作った人物たちへの復讐のために、この時間トリックを利用して殺人を繰り返していました。
伊波今日子は瓜生、内海、河原崎、田所の4人の小学生によって落とし穴に落とされ、その傷が原因で破傷風を発症し死亡しています。また、永遠の死の真相を知りながら隠蔽しようとした野々宮も殺害。彼女は、館の構造を熟知しており、外部との連絡手段を断ち、睡眠薬を盛るなどの計画的な準備を行い、アリバイを作りながら犯行を実行しています。由季弥に罪を着せようともしていますが、これは探偵によって見破られています。
結末
事件は鹿谷探偵によって解決され、犯人のトリックと動機が明らかにされます。犯人の伊波紗世子は、時計塔と共に崩れ落ちるという、悲劇的な最期を遂げます。時計塔が崩壊は、この物語の終焉を象徴するシーンといえそうです。
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