松本清張の傑作ミステリー『点と線』は、半世紀以上前の作品ですが、今読んでも面白いと思えるミステリー小説のひとつです。緻密なトリック、複雑に絡み合う人間関係などが読みどころといえそうです。。この記事では、あらすじ、感想、ネタバレなどをまとめています。
項目 | 評価 |
---|---|
【読みやすさ】 スラスラ読める!? |
|
【万人受け】 誰が読んでも面白い!? |
|
【キャラの魅力】 登場人物にひかれる!? |
|
【テーマ】 社会問題などのテーマは? |
|
【飽きさせない工夫】 一気読みできる!? |
|
【ミステリーの面白さ】 トリックとか意外性は!? |
あらすじ
昭和30年代の日本――博多の香椎の海岸で、男女の遺体が発見され、事件は心中として処理されかけるが、ベテラン刑事・鳥飼重太郎は、現場の状況や遺留品から、事件に不審な点を感じる。一方、東京では、警視庁の刑事・三原紀一が、汚職事件の捜査を進める中で、事件の鍵を握る人物が博多の心中事件との関係性に気付く。
鳥飼と三原は、それぞれ捜査を進め、容疑者として安田という男をあげる。しかし、安田には完璧なアリバイがあった。安田は事件当時、東京から北海道へ向かう夜行列車に乗っていた……。
刑事たちは、安田のアリバイを崩すため、東京駅の構造や列車の運行ダイヤを徹底的に調べ上げる。そして、13番線ホームから15番線ホームが見えるのは、1日にわずか4分間しかないという事実を突き止める。
小説の特徴
- 物語の構成: 冒頭の心中事件から始まり、徐々に事件の真相が明らかになっていく一般的な構成
- 舞台設定: 昭和30年代の日本を舞台に、当時の社会情勢や風俗がリアルに描かれている。東京駅や香椎の海岸など、具体的な場所が登場することで、臨場感が増している
- テーマ: 緻密なトリック、社会の暗部、人間の欲望と嫉妬。権力を持つ者の腐敗や、それに翻弄される人々の姿が描かれている
- 作風: 無駄を削ぎ落とした簡潔な文章で、スピーディーな展開が特徴。会話文が多く、読みやすい
- 主人公: ベテラン刑事の鳥飼と、若手刑事の三原。対照的な2人が協力し、事件の真相に迫っていく
感想
松本清張作品を初めて読んだ時は、その読みやすさに驚きました。純文学寄りとか、古典は読みにくいというイメージを勝手に形成していたので、それが覆されるような一冊になりました。シンプルなトリックもさることながら、当時の社会情勢や人間模様が鮮やかに描かれていると思います。ラストの展開には、何とも言えない後味が残りましたし、社会派ミステリーとしても楽しめたと思います。
高評価のポイント
- 読みやすい文章とスピーディーな展開: 無駄を削ぎ落とした簡潔な文章で飽きずに読める!
- トリック: 鉄道のダイヤを巧みに利用した見事なトリック!
- リアルな昭和の時代: 当時の社会情勢や風俗が臨場感たっぷりに描かれています
低評価のポイント
- トリックが現代では通用しない: 現代の技術や捜査方法ではすぐにバレてしまうようなトリックもあるかもしれません
- 最後の展開が駆け足で物足りない: 最後の真相解明に物足りなさを感じる場合もあるかも
- 後味が悪い: 事件は解決しても……という、現実的な結末に複雑な感情を抱きそう
ネタバレ
福岡の香椎海岸で発見された佐山憲一とお時の遺体は、当初、無理心中として処理されます。しかし、博多の刑事・鳥飼重太郎は、佐山の所持品にあった食堂車の領収書に疑問を持ち、東京から来た三原紀一とともに捜査を開始します。
実際のところ、佐山とお時は恋人関係ではなく、それぞれ別の場所で殺害された後、安田辰郎(やすだ・たつお)と安田亮子(やすだ・りょうこ)の偽装工作によって心中に見せかけられています。
安田辰郎は石田部長から汚職事件の真相を知る佐山を口封じを依頼され犯行に及んでいます。ただの実行犯というわけではなく、自身も汚職事件に関与していたため、そのことが発覚するのを恐れての殺人です。
安田亮子はお時に嫉妬していました。夫・辰郎がお時と不倫関係にあると思い込みお時を憎んでいました。これに、病弱で自身の病状が悪化したという事情も加わります。
トリック
- 時刻表トリック
- 安田は、事件当日に東京から北海道へ向かう列車の切符を購入し、実際に乗車したようにみせかけていた
- しかし、実際には途中の駅で下車し、飛行機で福岡へ向かっている
- 復路も同様に、飛行機で東京へ戻り、北海道からの列車に乗り換えている
- これにより、安田は犯行時刻に北海道にいたというアリバイを捏造
- 偽装心中
- 安田と亮子は、別々の場所で佐山とお時を殺害し、香椎の海岸で2人の遺体を並べている
- 2人の所持品を整理し、恋人同士が心中したようにみせた
- 青酸カリ入りのウイスキーを飲ませて、自殺にみせた
- 目撃者の偽証
- 安田は、料亭「小雪」の女中・とみ子に、東京駅で佐山とお時が一緒に列車に乗るのを目撃させた
- これにより、2人が恋人関係にあるという印象を周囲に与え、心中説を信じ込ませようとした
- 実際はお時と別の人物(亮子の手配による)に、あたかも佐山とお時であるかのように装わせて東京駅のホームを歩かせていた
- 13番線ホームから15番線ホームが見えるのは1日にわずか4分間しかないということを利用している
- アリバイ工作
- 安田は、北海道行きの列車に乗車したことを証明するため、乗客名簿に自分の名前を書き込んだ
- また、北海道で目撃証言を得るために、知人に協力を依頼した
- さらに、お時を熱海に5泊させて、安田の妻と会わせることで、お時が安田を信頼しているように見せかけた
結末
最後は2人とも自殺してしまいます。汚職事件の真相は闇に葬られ、関係者は出世していくという、後味の悪い結末です。権力を持つ者は罪を逃れ、弱者が犠牲になるという社会の不条理を描いたラストは、読者の心に深く突き刺さります。
次にオススメの小説
- 松本清張の『砂の器』『ゼロの焦点』など:松本清張ワールドをさらに深く味わいたい方にオススメです!
コメント