この記事では、中山七里さんのミステリー小説『テミスの剣』のあらすじ、感想、ネタバレなどをご紹介します!読後感などを共有して、未読の方の読むきっかけになればと思います。
あらすじ
昭和59年、浦和で発生した不動産業者夫婦殺害事件。新米刑事・渡瀬は、ベテラン刑事・鳴海とともに容疑者を逮捕する。しかし、その男は冤罪だった…。23年後、仮釈放された真犯人が殺害され、渡瀬は再び事件の真相を追うことになる。正義とは何か、権力とは何かを問いかける、社会派ミステリー。
小説の特徴
冤罪という重いテーマ、警察組織の闇、そして予想を裏切る展開(中山七里さんらしいどんでん返し)などがこの小説の大きな特徴です!まさに社会派ミステリーですね。
感想
ミステリー小説としての魅力はもちろん、社会派小説として読み応えのある作品です。冤罪というテーマを通じて、正義とは何か、人間とは何かを深く考えさせられます。人間の心の闇を描き出しているな~と私は思いました。
ポジティブな感想
冤罪というテーマについて考えさせられつつも、ストーリー展開が面白くて主人公の葛藤がリアルだなと思います。
- 予想を裏切る展開
二転三転するストーリーに引き込まれ、最後まで飽きない!最後の最後に明かされる真相に驚く! - 重厚なテーマ
冤罪、司法制度、警察組織の闇など、現代社会が抱える問題に深く切り込んでいます - 主人公の魅力
渡瀬が魅力的です。過去の過ちと向き合いながらも、正義を貫こうとする強い意志に勇気をもらえます - 読みやすい文章
中山七里さんの文章は読みやすいです!
ネガティブな感想
冤罪というテーマがさすがに重すぎる、後味が悪い、この展開は強引ではないかと思ったりもします。
- テーマ重すぎ
冤罪事件の被害者やその家族について思うと読んでいて辛くなります… - 後味の悪さ
ここでは詳しくは書けませんが…読後感がスッキリしないかもしれません - 展開の強引さ
ご都合主義的な部分を感じる場合もありそうです - 主人公の行動
渡瀬の正義感は素晴らしいと思いますが自己中心的にも思えます。主人公が警察組織の妨害を乗り越えて真実を暴き出すというのも、現実離れしているかもしれません
ネタバレ
昭和59年、浦和インター近くのラブホテル街で不動産業を営む夫婦が殺害される事件が発生。浦和署の刑事、渡瀬は先輩刑事の鳴海とともに捜査に当たる。状況証拠から楠木明大という男が容疑者として浮上し、鳴海の強引な取り調べによって自白。楠木は逮捕、起訴され、死刑判決を受ける。しかし、楠木は一貫して無罪を主張し、獄中で自殺してしまう。
5年後、渡瀬は別の強盗殺人事件の捜査で迫水二郎という男を逮捕。迫水は余罪として、かつての不動産業者夫婦殺害事件も自供する。楠木明大は冤罪だった…。渡瀬は上司に真相を報告し真相を明らかにしようとするが、組織は過去の誤りを隠蔽する。
渡瀬は警察内部からの妨害を受けながらも、裁判官の高遠寺静や検事の恩田嗣彦に相談して協力を仰ぎ、マスコミを利用して事件の真相を暴露します。その結果、関係者は処分され、渡瀬自身も組織内で孤立してしまう――。
真相
23年後、仮釈放された迫水が出所直後に殺害される事件が発生。渡瀬は独自に捜査を進め、事件の真相に迫る。
迫水を殺害したのは、楠木明大の父親だった。楠木の父親は、息子を冤罪に陥れた者たちへの復讐を誓っていた。楠木の父親に迫水の出所情報を教えたのは、渡瀬が信頼していた検事・恩田だった。恩田は、過去の事件で自身の不正が露見することを恐れ、迫水を抹殺しようとしていた。渡瀬は恩田を告発し、恩田は逮捕される。
まとめ
冤罪という重いテーマを扱い、考えさせられるメッセージ性を持った作品でありながらも、読者を飽きさせない展開やミステリー要素のある作品です。ミステリー好きはもちろん、社会問題に関心のある方にもおすすめです!
この本を読んだ読者へのおすすめ
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