SPECは、2010年にTBS系列で放送された戸田恵梨香さんと加瀬亮さんW主演の刑事ものミステリードラマです。警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係(通称「ミショウ」)を舞台に、超能力を持った犯罪者に立ち向かう刑事たちの姿を描いています。
登場人物とキャスト
主な登場人物とキャストです。
名前 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
当麻紗綾 とうま・さや |
戸田恵梨香 | 主人公。未詳の刑事 京大卒の餃子好き |
瀬文焚流 せぶみ・たける |
加瀬亮 | 主人公。未詳の刑事 未詳に左遷された元SIT |
野々村光太郎 ののむら・こうたろう |
竜雷太 | 未詳の係長 不倫中 |
地居聖 ちい・さとし |
城田優 | 大学院生。当麻の元カレ 当麻にプロポーズし振られたらしい |
正汽雅 まさき・みやび |
有村架純 | 婦警 野々村の不倫相手 |
津田助広 つだ・すけひろ |
椎名桔平 | 刑事 謎めいた存在 |
志村美鈴 しむら・みれい |
福田沙紀 | SIT隊員志村の妹 美大の浪人生 |
#1 魔弾の射手
未詳事件特別対策係に左遷された瀬文は、五木谷春樹(金子賢)が占い師の冷泉俊明(田中哲司)に毒殺を予言され、毒殺を回避するために一億円要求されるという事件に巻き込まれる。当麻と瀬文は、早々に冷泉を訪ね、占いを依頼する。ラミパスラミパスルルルルルーという胡散臭すぎる掛け声の冷泉を一切信じない二人だったが、当麻を占った内容が見事に的中し、五木谷の毒殺を危惧することになる。
五木谷のパーティーは、警護が厳重に行われ、飲食物に注意が払われた。クロマトグラフィーにより毒物検出も行われた。しかし、正義党幹事長の管(児玉頼信)が予定にない酒樽を持参してしまう。いろいろあって、ミショウの係長が毒味し、異常はなさそうだった。ところが、酒を飲んだ五木谷が急に苦しみ出し死亡する。体内から毒物らしきものは検出されず、当然のことながら、心臓発作が疑われる。しかし、冷泉の予言が的中したのであれば、それは殺人に違いなかった。
毒殺の真相
事件を整理するため、当麻が儀式を行い「いただきました」と呟く。当麻がパーティー会場で張り込みをしていると、脇(上川隆也)が現れる。犯人は秘書の脇だった。脇はカリウムを五木谷に注射して、心臓発作にみせかけて殺害した。凶器となった注射器はどこにも見当たらなかったが、脇は超人的な肉体能力というスペックを使って注射器を天井に刺していた。
脇はスペックを発揮して手にしていたテニスボールで注射器を破壊する。しかし、犯行に使われた注射器は既に当麻と瀬文によって回収されていた。証拠の隠蔽に失敗した脇は瀬文の拳銃を奪ってその場から逃亡しようとするが、突然現れた謎の青年によって、射殺されてしまう。
#2 天の双眸
脇の一件で、瀬文と当麻は負傷する。聴聞委員会での報告が波紋を広げていた。同じ頃、志村美鈴(福田沙紀)は植物状態の兄・志村勇作(伊藤毅)に触れ、不思議な映像をみる…。
神父の大島優一(佐野史郎)がミショウへとやって来る。死刑囚の桂小次郎(山内圭哉)が警察に挑戦したらしく、その内容は、未解決事件の犯人を24時間以内に捕まえなければ桂が千里眼で天罰をくだすというものだった。当麻と瀬文は大島の情報をもとに、未解決となった青山華道家の事件を再捜査することになる。
事件は新進気鋭の華道家、鬼門拓也(滝藤賢一)のアトリエで発生した。鬼門は、妻である真理子(森脇英理子)と電話中に何者かに襲われたようだった。容疑者は弟子の板野貞雄(斎藤工)と松井和生(岡田義徳)の二人だが、死体発見されておらず、犯人は捕まっていなかった。
千里眼の真相
板野と松井にはアリバイがあった。しかし、当麻はアリバイトリックを見抜き、板野が鬼門をアトリエから連れ出し殺害した犯人であることを突き止める。自宅から電話したと考えられていた被害者の鬼門だが、実は犯人である板野の口車に乗せられて出先から嘘の電話をしていた。板野の車のドリンクホルダーに二つ飲み物が入っていること、電話で鈴虫の鳴き声は聞こえないことなどが証拠だった。
事件はまだ終わっておらず、桂小次郎が告げた通り、「もう一人の犯人」が浮上する。鬼門殺しを唆したのは板野と不倫関係にあった妻の真理子だった。そんな真理子も松井によって絞殺されてしまう。
桂のスペックは千里眼だと考えられたが、実は優れた聴覚だった。つまり、盗み聞きの達人だったわけである。そんな桂の死刑執行は進み、謎の青年が現れるも、結局、桂は絞首刑になってしまう。
#3 漂泊の憑依者
瀬文は海野という人物に、植物状態の元部下・志村を治療できる医者の情報がミショウのデータベースにあると教えられる。取り引きを拒否した瀬文だったが、その直後、肩の骨折を謎の女性に瞬時に治療される。
不可解な出来事が起きたあと瀬文と当麻は公安からの指示により、とりあえずガソリンスタンドで張り込みをすることになる。すると、アルバイトの武藤がバイクや他の店員、止めに入った当麻にガソリンを撒き、火を付けようとする事件が発生。瀬文が何とか取り押さえ事なきを得るが、取調べ中に突然京都弁で話し始めた武藤は、誰かに憑依されていると言い出す。憑依女は林実巡査にも憑依し、自分の能力を証明するため日本中の「林実」という名の人物に憑依すると話す。
しばらくして、憑依女から警察に挑戦状が送られてくる。その内容は48時間以内に憑依女を捕まえることができなければ、公けの場に登場するというものだった。実際、林実という名前の人物がわいせつ事件などのトラブルを起こしていた。そしてついに大学病院の教授殺害事件が発生する。防犯カメラの映像などが証拠となって助手の林実が逮捕されたるが、彼もまた憑依を訴え始める。
憑依の真相
林実助手は憑依というスペックを持つ人物だった。教授殺害は林実自身の意志によって行われ、憑依ではなかった。教授に研究成果を奪われた林実は様々な人物に憑依してトラブルを起こしていた。こうすることで、自身の殺人も憑依にみせようとしていた。
真相を明かされ追い込まれた林実は、別の警察官に憑依して悪あがきをする。憑依して当麻を撃ち殺そうとするが、瀬文に本体を撃たれて捕らえられる。
拘束された林実は地下で謎の青年に殺害されてしまう。地下室に電流扉を仕掛けていた当麻は、防犯カメラで一(ニノマエ)の姿を確認する。
#4 希死念慮の饗宴
自殺者遺族ネットワークの古戸久子(奥貫薫)が、娘からのメールを受け取り、ミショウを訪れる。古戸の娘は自殺サークル<パーフェクト・スーサイド>に参加し、一年前に失踪していた。娘の遺書や遺品は届いたのだが、遺体はまだ見つかっていなかった。
サークルの参加者は一斉に毒入りの飲み物を飲み自死する。用意された飲み物は、一つだけ毒ではなく睡眠薬が入っており、一人だけ生き残る仕組みになっていた。その人物は<幹事>と呼ばれ、遺体の処理、遺品の送付、次回の集会の準備などを行うという。
捜査を進めることになった当麻は、一年前の参加者名簿見つけ出し、瀬文や古戸と共に遺族を訪ねる。名簿にあった七名全員の遺品が集まり、一人だけ、遺品の傷のない人物がいるようだった。古戸はその人物こそが幹事で、自殺を装って参加者を殺害しているのではないかと話す。
さらなる調査のため、当麻、古戸は自ら<パーフェクト・スーサイド>に登録して、潜入を試みる。勝手に登録された瀬文と近藤も参加することになり、偽の自殺志願者四名は山中の屋敷へ向かう。
サークルの正体
当麻達はフードをかぶった幹事に出会う。遺品や遺書を届けるため、宅配便の伝票を記入し、乾杯が始まる。すると、古戸が幹事を詰め寄り、幹事の頭が転がる。幹事はただの人形だった。その直後に、スプリンクラーで油が降り注ぎ始める。参加者が屋敷を出るとそこにフルフェイスの人物がいた。幹事らしきその人物はバイクで逃亡するが、途中で死んでしまう。
幹事は自殺したと考えられたが、実際は古戸のスペックによる殺人だった。古戸のスペックは念動力で、その力を使ってバイクのブレーキレバーを破壊していた。古戸はバイクのレバーを左右両方とも破壊していたが、片方はクラッチなので、破壊する必要はなかった。このことを知らなかったのは、<パーフェクト・スーサイド>に参加した人物の中で古戸だけだった。
古戸は逃げた幹事が娘を無理矢理自殺させたと考えていた。しかし、実際は、幹事こそが娘だった。娘は幹事としての仕事を進めていたのだが、そこに母親が現れたので、追い払おうとし、そして逃亡したのだった。
娘を殺したことに気付いた古戸は念動力を解き放って暴走する。瀬文が古戸を感電させて、動きを封じるが、そこに、津田達が乱入する。
#5 堕天刑事
当麻紗綾と瀬文焚流は念動力というスペックの持ち主である古戸久子を追い詰めたが、結局、犯人を拉致されてしまう。目を覚ますと、滅茶苦茶になった部屋の中には誰もいなかった。
病院を訪れたニノマエは、医師である海野亮太の診察を受け、カルテから里中梨花の住所を盗み見る。同じ頃、瀬文は特殊事件捜査係SIT時代の先輩である里中貢と飲んでいた。警察を退職した里中は貿易会社に勤めるという。里中は警察時代からは想像できないほどに変わり、家族を愛するパパになったようだった。志村美鈴は兄の主治医である海野に呼び出されていた。決断を迫られた美鈴は、兄に一言謝りたいと呟く。
翌日、ミショウに公安の秋元課長代理がやってくる。ここ一ヶ月以内に公安の潜入捜査官五人が立て続けに自然死しているらしく、その死因を調べろとの御命令だった。五人は全員、健康診断を受けており、いずれも問題はなかった。不審な点といえば、五人ともが最近健康診断を受けていることで、時期が被るのは不自然だった。
その後、瀬文のIDで公安の機密情報にハッキングした疑いが浮上する。瀬文は里中貢を疑っていた。当麻は野々村のIDを使って公安の機密データにハッキングし、死亡した公安の潜入捜査官について調べる。すると、里中も彼らと同じように潜入捜査をしており、さらに、冷泉について調べていたことも明らかになる。
当麻と瀬文は調査のため、里中小百合を訪ねる。里中貢と小百合の娘・里中梨花はある日突然、重い病に倒れたという。
堕天刑事の行く末
居酒屋で当麻は瀬文や野々村に病を処方するスペックを持つ人物が潜んでいると話す。里中の娘を狙ったのは、里中に冷泉を拉致させるねらいがあると考えられた。
里中は特殊部隊を引き連れて冷泉が監禁されている証人保護施設へと忍び込む。そこに待ち構えていたのは瀬文だった。格闘の末、里中は逃亡するが、既に保護施設は警察に囲まれていた。両手を挙げて降伏する里中。犯人の名前を口にしようとした瞬間、何者かに撃たれて死んでしまう。
#6 病の処方箋
瀬文の先輩・里中が射殺され、その死の真相は公けにならぬまま、事故死として処理される。里中の葬儀が執り行われたのち、当麻と瀬文は里中の自宅を訪れる。そこで、何者かが家探しした痕跡を発見。里中が何かを残したと推理する。
当麻の推理は正しく、里中は図書館の本にマイクロSDカードを残していた。そこには、SPECホルダーのリストが保存されていた…。
病の処方
瀬文と当麻は難病を処方されてしまった里中の娘を救うため、病を処方するSPECホルダーを捜す。海野医師から情報提供を受けた瀬文は宮崎という男を調べることになる。この宮崎こそが、病を処方する人物だと考えられたが、既に自殺していた。
行き詰まったかに思えた捜査だったが、実は海野こそが『病を処方する能力』の持ち主だった。海野は瀬文に偽の情報を伝え、捜査をかく乱していた。
真相に気付いた瀬文と当麻は海野を問い詰めるが逃げられてしまう。そんな海野も怪しい追っ手に取り囲まれてしまう。
#7 覚吾知真
海野の居場所を突き止めた瀬文と当麻だったが、海野は既に姿を消しており、行方を追う手掛かりはなかった。そんな折、入院していた志村の強制尊厳死が決まる。瀬文は志村を救うため、病を治すスペックホルダーを探そうとし、当麻と共に予知能力者・冷泉の居場所を突き止めようとする。そこへ、人の心を読む能力者・サトリが姿を現す。
サトリは瀬文の心を読んで冷泉の居場所を知り、付き添いの津田を殺して冷泉を拉致する。拉致された冷泉はサトリのボスのために、重要人物の寿命を予言するよう強制されてしまう。
サトリ
なんでも悟ってしまうサトリに対抗するため、当麻はタイミングを計っていた。同じ頃、サトリは冷泉のスキを突いて心を読み、当麻の計画を見破って車で逃亡を図っていた。そして地下駐車場へと入ったのだが、そこで瀬文に銃を突きつけられることになる。
サトリは睡魔に襲われて能力が鈍っていた。当麻は、サトリがシンデレラと呼ばれていること、夜中にバス事故に巻き込まれてむち打ちになっていることなどを手掛かりに、夜は眠気に勝てないと推理していた。その推理は正しく、サトリは謎解きの最中に眠りに落ちてしまう。
サトリと冷泉を捕らえた瀬文は、冷泉だけは逃がす決断をする。代わりに冷泉は予知能力を使って瀬文に病を治す能力者の居場所、当麻には一十一の居場所を伝えるのだった。
#8 魑魅魍魎
冷泉から一十一の自宅を教えられた当麻は十一と対峙することになる。しかし、気付くと当麻の自宅のベッドで寝ていた。一方、瀬文は病を治す能力者(ヒーラー)の居場所へ向かい、そこで、取り引きを持ち掛けられる。それは公安零課に所属する津田を引き渡すことだった。サトリの一味に殺されたようにみえた津田は防弾チョッキを身に着けており、実は死んでいなかった。
同じ頃、別行動をとっていた当麻は未詳の野々村係長から零課の存在を教えられる。津田の一存によって未詳は解散が決まり、野々村は解雇が決まっていた。
取引の結果
津田の居場所を突き止めた瀬文は一十一と共に、津田がいる国会議事堂へと潜入する。十一の時を止める能力によって、津田の拉致は成功し、ヒーラーの手によって志村は回復する。瀬文と志村の妹・美鈴は感動の再会を果たすのだが、怪しい二人の男が現れて、志村は死んでしまう…。
#9 冥王降臨
大人の事情ということで志村は死んだ。組織から子ども扱いされた一十一は、組織の態度に反発し虐殺を始める。同じ頃、解散になった未詳では野々村係長と当麻が瀬文の帰りを待っていた。当の瀬文は公安零課の津田にスカウトされ、公安零課に所属することを決意する。『津田』はいわば世襲制らしく、同じ顔をした津田が何人も存在するとのことだった。
一十一殺害のため、瀬文は零課の人間と共に十一を襲撃するが失敗に終わり、『津田』も皆殺しに…。そして、一人で十一を説得しようとした野々村係長も重傷を負ってしまう。
一十一
当麻は美鈴(みれい)のスペックを使って一十一の隠れ家を見つけ出す。瀬文も同僚から隠れ家を教えられ、十一を訪ねる。合流した当麻と瀬文だったが、十一のスペックに圧倒され窮地に立たされる。しかし、当麻が意図的に降らせた雪によって十一は猛毒を浴び、スペックを使えなくなる。
一十一のスペックは時の停止ではなく、誰よりも早く移動する能力だった。高速で移動する十一には誰もが停まってみえた。ただし、その分、雪に混じった毒を摂取することになってしまった。
十一のスペックは解除され、当麻と瀬文はついに勝利した。当麻は倒れた十一に近づき、首筋にヒトデ型の痣をみつける。それは、当麻の弟と全く同じ痣だった…。するとそこに何故か当麻の元カレ・地居聖(ちい・さとし)が姿を現す。地居は自身のスペックを使って当麻と瀬文の記憶を改ざん。黒幕は地居だったことが判明する。
#10 百年の孤独(最終話)
地居聖こそが黒幕だった。当麻と一十一の因縁や瀬文の異動などは全て十一を始末するために地居が仕組んだことだった。地居によって記憶を奪われた当麻と瀬文は全てを忘れてしまう。当麻が弟の十一を殺したことも、もちろん綺麗さっぱり忘れていた。美鈴の登場によって記憶を取り戻しそうになるが、美鈴も地居の手に落ちてしまう。
八方ふさがりの当麻と瀬文だったが、脳ではなく体が覚えたことで記憶を取り戻し、地居が黒幕であることに気付く。そして、当麻は地居を協会へ呼び出し告発。瀬文と美鈴もその場に駆け付ける。
結末
当麻、瀬文、美鈴が黒幕の地居を追い詰めたようにみえたが、追い詰められたのは当麻達の方だった。協会は既にスペックホルダーに取り囲まれていた。地居は津田助広(つだ・すけひろ)を名乗って、スペックホルダーから渡された銃で三人を殺そうとするが、瀬文の吐き出した奥歯が額にぶっ刺さってひるむ。
その隙に当麻がギプスを外して仕込んでいた銃を取り出す。直後に当麻と地居が発砲し、相撃ちになったように思えたが、またしても時が止まる。すると次の瞬間には地居が自分の放った弾丸に撃たれていた。
一十一が蘇ったかのように思えたが、スペックを発揮したのは当麻紗綾のようだった。
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