『サイレントヒル4 ザ・ルーム(SILENT HILL 4: THE ROOM)』はコナミから発売された〈サイレントヒル〉シリーズの4作 目です。「知らない土地での恐怖ではなく、帰るべき自分の部屋での恐怖」をメインコンセプトに据え、死者の霊や怨念といった概念も取り入れられたホラーゲームです。この記事では、あらすじや登場人物、ネタバレなどをまとめています。
あらすじ
サウスアッシュフィールドハイツ302号室の住人である主人公のヘンリー・タウンゼントは、ある日突然、部屋に閉じ込められてしまう。玄関は内側から鎖と錠で封鎖され、電話もテレビも通じず、窓も割れない。 閉じ込められて5日目、バスルームの壁に巨大な穴が開く。その穴を通じて、ヘンリーは異世界へと足を踏み入れることになる。
異世界では、近所の地下鉄駅に似た場所やサイレントヒルの森、円筒形の牢獄、建物が乱立する市街地など、異様な空間を探索することになる。ヘンリーはシンシア・ベラスケス、ジャスパー・ゲイン、アンドリュー・デサルボ、リチャード・ブレインツリーといった人々と出会うのだが、彼らは次々と何者かに惨殺され、体に5桁の数字が刻まれていく。ラジオから流れるニュースによれば、現実世界でもこれらの殺人事件が起きているようだった。
事件の背後には、10年前に10人を殺害し自殺したとされる連続殺人犯ウォルター・サリバンが関わっていた。
ヘンリーの部屋の前の住人であるジャーナリストのジョセフ・シュライバーが残した日記や手紙からは、この異世界がウォルターによって作られたものであること、そしてウォルターが「21の秘跡」という儀式を行っていることが明らかになる。
その後、隣人のアイリーン・ガルビンも異世界に取り込まれる。ウォルターに襲われ重傷を負うが、謎の幼い少年に助けられ一命を取り留める。
ヘンリーはアイリーンと合流し、共に異世界の最深部を目指す。探索を進めるうちに、ウォルターの過去や「21の秘跡」の真の目的が明らかになっていく。最終的に、ヘンリーは302号室の隠し部屋でウォルターの死体を発見し、そこから鍵を入手して部屋から脱出。 しかし、アパート全体が異世界と同化しており、ヘンリーとアイリーンはウォルターの本体と対峙することになる。ヘンリーは「赤の書」の記述に従い、ウォルターを撃破し、儀式を阻止しようとする。
登場人物
- ヘンリー・タウンゼント(Henry Townsend)
主人公。サウスアッシュフィールドハイツ302号室の住人。冷静で穏やかな性格ですが、時折動揺を見せることもあります。カメラマンであると推測されています - アイリーン・ガルビン(Eileen Galvin)
ヒロイン。ヘンリーの隣の303号室に住む23歳の女性。優しい性格ですが、他人に頼りがちな一面もあります。儀式の影響で異世界に取り込まれ、ウォルターに重傷を負わされますが、幼いウォルターに助けられます - ウォルター・サリバン(Walter Sullivan)
物語の鍵となる人物で、目撃者からは「コートの男」と呼ばれます。彼は302号室で生まれ、両親に捨てられた後、「希望の家」で育ちました。教団によって洗脳され、302号室を母親だと思い込み、「21の秘跡」の儀式を実行します。逮捕後に自殺しますが、超常的な力で復活し、肉体と「偶像」に分離します
ウォルター・サリバンの関連人物
- 幼い少年(Little Walter)
母親を求めて異世界を徘徊する幼い少年。ウォルターの「純粋に母親を求める想い」が具現化した存在です - シンシア・ベラスケス(Cynthia Velasquez)
異世界の地下鉄でヘンリーが出会う女性。ウォルターに惨殺され、16番目の犠牲者となります - ジャスパー・ゲイン(Jasper Gein)
異世界の森でヘンリーが出会うオカルトマニアの青年。ウォルターに操られ焼身自殺し、17番目の犠牲者となります - アンドリュー・デサルボ(Andrew Desalvo)
元「希望の家」の監視員。水牢の世界でウォルターに殺害され、18番目の犠牲者となります - リチャード・ブレインツリー(Richard Braintree)
SAFハイツ207号室の住人。ウォルターに感電死させられ、19番目の犠牲者となります - フランク・サンダーランド(Frank Sunderland)
SAFハイツの管理人で、『サイレントヒル2』の主人公ジェイムスの父親。34年前にウォルターを保護し、そのへその緒を保管していました - ジョセフ・シュライバー(Joseph Schreiber)
ヘンリーの前の302号室の住人であるフリージャーナリスト。ウォルター・サリバン事件を調査中に異世界に取り込まれ、15番目の犠牲者となりますが、ヘンリーにウォルターを止めるための手掛かりを残します
その他の人物
- ロビー君(Robbie the Rabbit)
サイレントヒルの遊園地のマスコットキャラクター。本作ではぬいぐるみや気球、タトゥーとして登場します - アレッサ・ギレスピー(Alessa Gillespie)
『サイレントヒル(初代)』の登場人物。本作では名前のみ登場します - ダリア・ギレスピー(Dahlia Gillespie)
『サイレントヒル(初代)』の登場人物。本作では名前のみ登場し、 ウォルターに歪んだ思想を植え付けた人物とされています - ジェイムス・サンダーランド(James Sunderland)&メアリー・シェパード・サンダーランド(Mary Shepherd-Sunderland)
フランクの息子夫婦。『サイレントヒル2』の主人公とその妻。本作では10年前にサイレントヒルで行方不明になったとされています
ネタバレと考察
ウォルターは、自身が生まれた302号室を母親だと思い込み、その母を目覚めさせるために〈21の秘跡〉という儀式を行っていました。この儀式は、21人の生贄を捧げることで聖母(邪神)を降臨させるというものです。
- 第一の啓示
1番目から10番目までの犠牲者を殺害し、心臓を抜き取ります - 第二の啓示
集めた10人の心臓と自身の血を捧げることで、肉体から解放され、不死身の存在となります。この時、ウォルターの純粋な想いが「幼いウォルター」として分離します - 第三の啓示
誘惑(シンシア)、起源(ジャスパー)、監視(アンドリュー)、混沌(リチャー ド)を殺害します - 最後の啓示
母体(アイリーン)、知恵(ヘンリー)を殺害することで儀式が成就し、聖母(邪神)が降臨します
エンディング
本作には4種類のエンディングがあり、自室の侵食度と最終決戦におけるアイリーンの生死によって分岐します。
- 脱出(Escape)
自室の侵食度が一定以下で、なおかつ、アイリーンが生贄になる前にウォルターを倒した場合に到達するグッドエンディングです。ヘンリーとアイリーンは無事に生還します。そして、「新しい部屋を探そう」という内容の会話をします - 母(Mother)
自室の侵食度が一定以上の場合で、アイリーンが生贄になる前にウォルターを倒した場合に到達します。ヘンリーとアイリーンは生還しますが、アイリーンは「サウスアッシュフィールドハイツに帰らなきゃ」と話し、アパートに意識が囚われた状態であることが示唆されます - アイリーンの死(Eileen’s Death)
自室の侵食度は一定以下でも、アイリーンが生贄になった場合はこのエンディングとなります。ヘンリーは生還しますが、ラジオのニュースでアイリーンが死亡したことを知り、絶望します - 21の秘跡(21 Sacraments)
自室の侵食度が一定以上で、アイリーンも生贄になった場合に到達するバッドエンディングです。ウォルターの儀式が成就し、ヘンリーも死亡。幼いウォルターが302号室に入り、ウォルターの偶像が部屋に佇む中、アパートの他の住民にも異変が起こります
感想
ストーリーや雰囲気は概ね好評のようです。部屋がプレイヤーに常に不安感を与える点など、現実と妄想の境界を曖昧にすることで、非常に不気味なゲーム体験を提供していると思います。
ゲームプレイの変更点については賛否両論があるようです。
というのも、従来のシリーズ作品とは異なる点が非常に多いです。主な変更点としては、移動操作が2Dに固定されたこと、一度に持ち運べるアイテム数が10個に制限されたこと、懐中電灯や携帯ラジオといったシリーズ恒例のアイテムが登場しないことなどが挙げられます。また、ダメージを与えても倒せない敵「ゴースト」が登場するのも特徴です。
シリーズに新鮮さをもたらすために必要だったと評価する声がある一方で、従来のパズル要素やボス戦が廃されたことへの落胆や、システム面での制約に対する批判もあります。
考察
- 鎖の謎
ヘンリーが部屋に閉じ込められたのは、ウォルターが「知恵」であるヘンリーを儀式に巻き込むため、あるいは恐怖感を植え付けるためだったと考えられます - アイリーンの謎
アイリーンが異世界の文字を読めるのは、幼い頃にウォルターと出会い、彼から教わった可能性が示唆されています。また、彼女が「母体」の生贄として選ばれたのは、幼いウォルターに人形をあげたという過去の繋がりが関係しているかもしれません - ジョセフの謎
ジョセフはウォルターの事件を調査するジャーナリストでしたが、彼自身も異世界に取り込まれ、最終的には「絶望」の犠牲者となります。しかし、彼はヘンリーにウォルターを止めるための重要な手掛かりを残しており、儀式を阻止しようとする「赤の書」側の人間だった可能性も考えられます - フランク・サンダーランドとジェイムスの関係
フランクがウォルターのへその緒を保管してい たこと、そして彼が『サイレントヒル2』の主人公ジェイムスの父親であることから、ウォルターとジェイムスが異母兄弟であるという考察も存在します - ウォルターの不死性
ウォルターは自殺後、超常的な力で復活し、肉体と偶像に分離することで不死身となります。 しかし、最終決戦では「母の身体の一部」(へその緒)と「聖母の槍」によって弱体化させられ、倒すことが可能になります
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