東野圭吾さんの『雪煙(せつえん)チェイス』は、広大なスキー場を舞台に、無実の罪を着せられた大学生が雪煙が舞うゲレンデで繰り広げる、手に汗握る逃走劇です。この記事では、あらすじ、感想や評価ポイント、ネタバレなどをまとめています。
あらすじ
東京都三鷹市で強盗殺人事件が発生する。被害者は主人公・脇坂竜実がかつてアルバイトをしていた家の老人・福丸陣吉だった。警察は、脇坂の関与を疑うが、脇坂には事件当日、彼は遠く離れた新月高原スキー場でスノーボードを楽しんでいたというアリバイがあった。
脇坂の無実を証明できるのは、スキー場で偶然出会った、白地に赤の水玉模様のウェアを着た美人スノーボーダーだけ。警察の捜査が迫る中、脇坂は友人の波川省吾と共に彼女のホームグラウンドである里沢温泉スキー場へと向かう。そして広大な雪山を舞台に、唯一のアリバイ証人を探すことになる。
- スキーやスノボが好き!
雪山の美しい景色や、スノーボードの疾走感を味わいたい方におすすめ - 気軽に読めるミステリーを探している人
複雑なトリックや謎解きは苦手だけど、サスペンスを楽しみたい方におすすめ - ハッピーエンドで終わりたい人
読後感が良く、温かい気持ちになりたい方におすすめ
特徴
- 雪山を舞台としたチェイス
タイトルの通り、雪山の追跡劇がストーリーの軸です - 疾走感と魅力的な登場人物
スピーディーな展開!里沢温泉スキー場のパトロール隊員や旅館の女将など、個性豊かなキャラクターたちも登場! - シンプルなストーリーと緊迫感のある展開
複雑なトリックや謎解きは控えめながらも、主人公が追い詰められていく様子や警察とのスリリングな駆け引きが読みどころ! - ライトな作風
ゴリゴリな推理小説や重厚な社会派ミステリーを期待する読者には物足りないかもしれませんが…気軽に楽しめるエンターテイメント作品です!
読む順番
〈スキー場〉シリーズの読む順番は別のページにまとめています!
感想
雪山という閉鎖された空間での逃走劇にハラハラドキドキでした。人間ドラマも魅力的で、最後まで飽きることなく楽しめました。ただ、真犯人の動機があっさりしすぎていた点は少し残念だったでしょうか。トリックとか意外性とかを求める感じのミステリー小説ではないかもしれないですね。あとはありきたりかもしれないですけど、スノボがしたくなりました(笑)。
高評価のポイント
- 読みやすい文章とスピーディーな展開
東野圭吾作品ならではの、読みやすい文章とテンポの良いストーリー展開が魅力 - 魅力的な登場人物と温かい人間関係
主人公を助ける友人や、親身になってくれる地元の人々などが魅力的 - 読後感の良さ(ハッピーエンド)
最後は事件がキレイに解決し、登場人物たちもそれぞれの幸せを見つけるという温かい結末
低評価のポイント
- トリックや意外性の少なさ
本格的なミステリーを期待する読者には、トリックや謎解きの要素が少ない点が物足りないかもしれません - 犯人の動機があっさりしている
真犯人の動機が物語のスケールに比べてやや弱いかもしれないです
ネタバレ
状況証拠から犯人に仕立て上げられそうになった主人公が、アリバイを証明することで無罪を証明するストーリーです。
殺人事件の犯人は、被害者の囲碁仲間である岡倉貞夫で、借金問題が原因で犯行に及んだことが判明します。岡倉は福丸に借金を頼んだが断られ、息子に連絡すると言われたため、口封じのために殺害しました。また、主人公のアリバイを証明してくれる女神は、ゲレンデで行われる結婚式の新婦・成宮葉月であることがわかります。しかし、彼女は妊娠しており、当初はスノーボードをしていたことを隠していました。
結末
主人公は無事に容疑を晴らし、真犯人も逮捕されます。スキー場ではゲレンデウェディングが盛大に開催され、根津と千晶も結婚に向けて新たな一歩を踏み出すというハッピーエンドを迎えます。脇坂は、事件を通じて得た経験を胸に、新たな人生を歩み始めます。
コメント