法条遥さんの『リライト』は、時間SF×ミステリーにホラー的な要素を複雑に絡ませた、読後感の強烈な作品で、複雑な構成と解釈の難しさ、後味の悪さなどが特徴です!2025年夏には、この小説を原作とした映画が公開される予定です。
あらすじ
1992年の夏、中学2年生の美雪は、西暦2311年から来たという転校生・保彦と出会います。旧校舎崩落事故に巻き込まれた保彦を救うため 、美雪は保彦からもらった「時を超える薬」を使い、10年後の2002年にタイムリープします。
2002年、小説家となった美雪は、10年前の体験を元に小説を執筆します。しかし、タイムリープ当日、10年前の自分は現れません。過去の記憶と現実の間に食い違いが生じていることに気づいた美雪は、不可解な出来事の真相を追い求めます。
感想
時間SF、ミステリ、ホラー小説に興味があり、複雑な構成や、後味の悪い結末を受け入れられる読者におすすめです。難解な作品に抵抗がない、むしろそれを楽しむ読者層に響く作品でしょう。『時をかける少女』のような王道的なタイムリープ物とは全く異なる、ダークで捻れた物語を求める読者にもおすすめです。面白いとは思いますが理解が難しい、後味が悪いと思うかもしれません。
構成やプロットについて
- 複雑で巧妙な構成、時間パラドックスを効果的に用いたストーリー展開がいい!
- 叙述トリックによって読者を巧みにミスリードし、最後まで読ませる力がある
- 『SF史上最悪のパラドックス』というキャッチコピーに偽りなしの衝撃的なラスト!
- 読み進めるうちに増幅する違和感や不穏な空気もGOOD
- 「時をかける少女」へのオマージュとそれを超える独創性も
解釈の難しさや読後感について
- 物語の複雑さや登場人物の多さ、時間軸の複雑さによって理解が難しく感じるかも…
- ラストの解説が強引で、消化不良に終わるかも…/li>
- 後味の悪さや、登場人物への感情移入の難しさが、マイナス評価につながりそう
- 設定の都合よさや、説明不足、
全体について
- イヤミス(異様な気持ち悪さ)、理不尽SFなど、独特のジャンルとして捉えられている
- 『時をかける少女』のオマージュでありながら、全く異なる結末を迎える点が大きな魅力
- シリーズ作品であるため、単独で読むと理解が難しい…シリーズを通して読むことで全体像が見えてくるかもしれません
ネタバレ注意
物語の中盤から、美雪を取り巻く状況に違和感が生じ始めます。1992年の場面では、美雪の名前が章ごとに変わったり、周囲の人物の行動や発言に矛盾が生じたりします。
実は、未来に帰れなくなった保彦は、過去へのタイムリープを繰り返し、クラスメイト全員に1992年の夏と同じ体験を強要していました。そして、その体験を元にした小説を誰かに書かせることで、自身の未来を変えることを企てます。全てのクラスメイトは、保彦の計画に巻き込まれ、それぞれに歪んだ未来(同じような人生)を生きていました。そんな保彦の計画も友恵の行動によって狂ってしまいます。友恵はイジメの復讐を成し遂げ、桜井と長谷川を殺害します。
まとめ
読み終えたあとに衝撃があるのは間違いないと思いますが、残るもやもやとした感覚も、この作品の魅力といえるかもしれません。シリーズ完結作まで読んで、一作目であるこの本を改めて読み返すと新たな発見があるかもしれません!続編は『リヴィジョン』です!!
コメント