『Q対A延長戦』は探偵学園Qの単行本6巻に収録されているエピソードです。QクラスとAクラスの推理バトルのあと、キュウが軽井沢で起きた密室殺人事件について調べ始めます。
あらすじ
QクラスとAクラスの推理バトルは時間切れのため、引き分けというかたちで終わりを迎える。推理バトルの最後の問題は未解決に終わった軽井沢の密室殺人事件で、事件に興味をもったキュウは一人で現場となった軽井沢へと向かう。
軽井沢は京宝映画祭の真っ最中で、密室殺人の被害者の栗田澄香は以前行われた映画祭にコンパニオンとして参加していた女性だった。現場はまるで独房のような部屋で、ドア以外に人が通れそうな出入口はなく、あるのは鉄格子のはまった小さな窓だけだった。被害者はその部屋で、布団で寝たまま窒息死していたという。キュウは捜査を開始するが、その夜、栗田礼香が澄香と同じような状況で殺害されそうになる…。
登場人物
主な登場人物をご紹介します。キュウ、メグ、キンタ、カズマ、リュウ、団守彦、七海光太郎などは除いています。
- 栗田澄香(くりた・すみか)
窒息死した女性。コンパニオン。死亡する前に脅迫状を受け取っていたという - 栗田礼香(くりた・れいか)
コンパニオン。19歳。澄香の死に疑問を抱き、DDCに調査を依頼していた - 立川桃子(たちかわ・ももこ)
コンパニオン。17歳 - 高村渚(たかむら・なぎさ)
コンパニオン。18歳。帰国子女 - 山咲夏実(やまさき・なつみ)
コンパニオン。20歳。コンパニオンの中では一番年上 - 大井英次郎(おおい・えいじろう)
イベントマネージャー - 氷川美鈴(ひかわ・みすず)
転落死した女性。コンパニオン。ナンバー1ともいえそうな女性だった - 雪平桜子(ゆきひら・さくらこ)
推理バトルでキュウの対戦相手だったAクラスの生徒。学園の許可を得て正式に事件を調査している
ネタバレ
栗田澄香を殺害し、栗田礼香も殺そうとした犯人は大井英次郎です。大井は氷川美鈴と密かに付き合っていました。事故で亡くなったと考えられていた美鈴ですが、実は栗田姉妹が転落死に大きく関わっており、大井は栗田姉妹に復讐するため、今回の事件を起こしています。
栗田姉妹は主役候補の幽霊嫌いの美鈴を驚かして、イベントを辞退させようとしていました。なにも知らない美鈴は露天風呂に現れた幽霊に仰天し、転落死してしまいます。その幽霊は栗田姉妹の変装でした。
大井は姉妹の会話を耳にし、この事実を知ることになります。姉妹は責任を感じている様子はなく、むしろ開き直っている様子でした。この態度に大井は憤激し、仇討ちを計画することになります。
密室トリック
犯人の大井はイベント用の大きなアドバルーンを使い、密室状態の部屋で被害者を窒息させています。
まずヘリウムガスボンベのホースにアドバルーンをつなぎ、しぼんだままのアドバルーンを鉄格子から部屋に入れます。ボンベの栓をひらけば、アドバルーンはどんどん膨らみます。数分後には、部屋いっぱいにアドバルーンが膨らみ、部屋で寝ていた人物は口や鼻を塞がれて窒息します。途中で気付かれないようにするため、犯人は被害者に睡眠薬を飲ませています。また、アドバルーンを割る恐れがある洋服かけは事前に片付けています。
澄香殺害は上手くいったトリックでしたが、礼香のときは部屋の照明がつけっぱなしだったため、電球の熱でアドバルーンが溶け、完全に窒息する前に風船が割れています。
結末
犯人の大井は意識不明の状態で運ばれた礼香を殺すため、夜中に彼女の病室に忍び込む。そこにいたのはキュウだった。キュウにトリックを暴かれた大井は犯行を自供する。その直後、大井は山咲夏実に背中を刺されるが、一命を取り留める。
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