米澤穂信の著作まとめ

米澤穂信は1978年岐阜県生まれの推理作家。2001年に『氷菓』で角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。同作から始まる〈古典部〉シリーズはアニメ化もされ人気を博す。日常に潜む謎を解き明かす青春ミステリを得意とし、〈小市民〉シリーズなども手掛ける。緻密な伏線と論理構成、登場人物の心理描写に定評があり、青春ものだけでなく、人間の暗部や社会問題を抉るようなダークな作品、歴史ミステリなど作風は幅広い。2011年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、2014年『満願』で山本周五郎賞、2022年『黒牢城』で山田風太郎賞と直木三十五賞を受賞するなど受賞歴多数。現代ミステリ界を代表する作家の一人として、幅広い読者から支持されている。

小説一覧

1
表紙
氷菓
米澤 穂信
KADOKAWA
「やらなくてもいいことはやらない」が信条の高校一年生・折木奉太郎は、姉の命令で廃部寸前の古典部に入部する。そこで出会ったのは、好奇心旺盛な少女・千反田える。彼女の「わたし、気になります!」の一言から、奉太郎は日常に隠された様々な謎を解き明かすことになる。部員はえるの他に、奉太郎の中学からの腐れ縁である福部里志と伊原摩耶花。彼ら4人は、学園を舞台に、過去の事件や日常の些細な出来事に隠された謎に挑んでいく青春ミステリー。
2
表紙
愚者のエンドロール
米澤 穂信
KADOKAWA
古典部の4人は、文化祭で上映される2年F組制作の自主映画試写会に招待される。しかし映画は、密室で少年が殺される場面で未完となっていた。映画の結末を知りたがる千反田えるの頼みで、古典部員たちは映画の真相解明に乗り出す。監督の入須冬実から探偵役を依頼された奉太郎は、複数の推理を検証していくことになる。
3
表紙
クドリャフカの順番
米澤 穂信
KADOKAWA
神山高校文化祭で、古典部は文集「氷菓」を大量に作りすぎてしまう。そんな中、学内で「十文字」を名乗る人物による連続盗難事件が発生。盗まれたのは、碁石、タロットカード、水鉄砲など。古典部の知名度を上げようと、奉太郎は事件の謎に挑むことになる。
4
表紙
遠まわりする雛
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング)
省エネ主義の高校生・折木奉太郎は、古典部部長の千反田えるに頼まれ、地元の祭「生き雛まつり」に参加。祭りで手違いが発生し開催が危ぶまれる中、えるの機転で祭は何とか成功。しかし、えるはその「手違い」が気になり、奉太郎と共に真相を推理することになる。古典部メンバーの1年間を描いた短編集。
5
表紙
ふたりの距離の概算
米澤 穂信
KADOKAWA
古典部に入部希望の新入生、大日向友子が仮入部後、突然入部を辞退。理由は部室での千反田えるとの会話にあるようだが、詳細は不明。入部締め切り日のマラソン大会中、奉太郎は大日向と関わった出来事を回想し、彼女の心境の変化を推理する。えるは他人を傷つける性格ではないと信じ、奉太郎は真相を追う。
6
表紙
いまさら翼といわれても
米澤 穂信
KADOKAWA
古典部シリーズ第6弾。合唱祭でソロパートを任された千反田えるが、本番前に失踪。奉太郎はえるの居場所と理由を推理する。他に、生徒会長選挙での不正、摩耶花の悩み、伝説の一冊、長い休日など、古典部メンバーの日常に潜む謎を描いた6編を収録。それぞれの謎解きを通して、彼らの新たな一面が垣間見える。
7
表紙
春期限定いちごタルト事件
米澤 穂信
東京創元社
小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、互恵関係にある高校一年生。小市民を目指す二人の周りには、なぜか謎が頻繁に現れる。春期限定いちごタルトを奪われた小佐内は、盗難事件の謎に巻き込まれる。小鳩は持ち前の推理力で、日常に潜む様々な謎を解き明かしていくことになる。各話で自転車盗難事件に関する伏線が張られ、最終話で事件の顛末が明らかになる。
8
表紙
夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤 穂信
東京創元社
小市民を目指す高校生、小鳩常悟朗は、夏休みに入り、同じく小市民を目指す小佐内ゆきに「小佐内スイーツセレクション・夏」と称したスイーツ店巡りに誘われる。しかし、その道中、小佐内が不良グループに誘拐される事件が発生。小鳩は、小佐内からのメールをヒントに、友人の健吾と共に彼女の救出に向かう。事件の裏には、小佐内の過去が関わっており、事件を通して、小鳩と小佐内の関係は変化していく。
9
表紙
秋期限定栗きんとん事件
米澤 穂信
東京創元社
高校二年の二学期、小鳩は仲丸さんと付き合い始める。同時期、新聞部の瓜野は学内新聞の改革を目指すが上手くいかない。しかし、小佐内さんと付き合うようになってから、瓜野にチャンスが訪れる。木良市で毎月起こる放火事件に共通点を見つけた瓜野は、学内新聞を盛り上げていく。一方、小鳩と小佐内は新たな恋人と付き合うことになり…。
10
表紙
巴里マカロンの謎
米澤 穂信
東京創元社
小佐内さんと小鳩くんは新しく開店した店でマカロンを食べることに。しかし、3種類のマカロンセットに、あるはずのない4つめのマカロンが。誰がなぜ置いたのか?二人は謎を解き始める。小市民を目指す二人の日常ミステリー。
11
表紙
冬期限定ボンボンショコラ事件
米澤 穂信
東京創元社
小市民を目指す高校3年生の小鳩は、同級生の小佐内と下校中、ひき逃げに遭い重傷を負う。右足骨折で受験も困難に。小佐内は「犯人をゆるさない」とメッセージを残す。さらに、小鳩の中学時代の同級生が自殺したという知らせも届く。小鳩のひき逃げ事件と、小佐内との出会いのきっかけとなった3年前のひき逃げ事件。二つの事件が同時進行し、意外な真相が浮かび上がる。
12
表紙
王とサーカス
米澤 穂信
東京創元社
2001年、新聞社を辞めた太刀洗万智は、ネパールで王族殺害事件に遭遇。取材中、情報提供者の軍人が殺害され、事件に巻き込まれる。太刀洗は、事件の真相を追う中で、報道の倫理と自身のジャーナリストとしての信念を問い直される。王宮事件の裏に隠された真実とは何か。
13
表紙
真実の10メートル手前
米澤 穂信
東京創元社
高校生の心中事件を追うジャーナリスト太刀洗万智。事件の違和感に気づき真相を探る中、彼女は己の身に痛みを受けながらも、報道のあり方を問い続ける。表題作を含む短編集で、太刀洗万智の記者としての活動記録を通して、真実とは何かを深く考えさせる作品。
14
表紙
本と鍵の季節
米澤穂信
集英社
高校二年の図書委員である堀川次郎は、同じく図書委員の松倉詩門と放課後の図書室で当番をしていた。ある日、図書委員を引退した先輩が、亡くなった祖父が遺した開かずの金庫の鍵の番号を探してほしいと依頼してくる。図書室に持ち込まれる謎に、二人の男子高校生が挑む。
15
表紙
栞と噓の季節
米澤 穂信
集英社
高校の図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門は、返却本に挟まれたトリカブトの押し花栞を見つける。校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見し、教師が中毒で救急搬送される事件が発生。同級生の瀬野とともに、栞の謎を追うことになる。それぞれの嘘が交錯する中、3人は真相に迫っていく。
16
表紙
さよなら妖精
米澤 穂信
東京創元社
1991年、高校生の守屋はユーゴスラビアからの留学生マーヤと出会う。彼女の異文化への好奇心に触発され、守屋は日常に潜む謎を解き明かす。しかし、ユーゴスラビア紛争が激化し、マーヤは帰国。守屋は彼女の帰郷先を特定しようとする中で、異文化への理解を深め、自身の無力さを痛感する。
17
表紙
犬はどこだ
米澤 穂信
東京創元社
皮膚病で銀行を辞めた紺屋長一郎は、故郷で犬専門の探偵事務所を開業。最初の依頼は、失踪した女性の捜索と古文書の解読だった。助手の半田平吉と調査を進めるうち、二つの依頼は繋がりを見せる。女性の足取りを追う紺屋は、意外な真相に近づいていく。
18
表紙
ボトルネック
米澤 穂信
新潮社
恋人の弔いの為、東尋坊を訪れた嵯峨野リョウは崖から転落。しかし、見慣れた金沢で目覚める。自宅には見知らぬ姉が。リョウは自分が存在しない世界に来たことを悟る。姉と共に元の世界との違いを探る中、死んだはずの恋人と再会。世界のずれに翻弄されながら、真相を追う青春ミステリー。
19
表紙
インシテミル
米澤 穂信
文藝春秋
高額な時給に誘われ、12人の男女が「暗鬼館」と呼ばれる場所に集められる。そこでは、参加者同士が殺し合う殺人ゲームが行われていた。各部屋には凶器が用意され、人を殺せば報酬が増える。疑心暗鬼の中、参加者たちは次々と殺されていく。生き残るのは誰か?
20
表紙
儚い羊たちの祝宴
米澤 穂信
新潮社
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件を描いた連作ミステリー。
21
表紙
追想五断章
米澤穂信
集英社
大学生の菅生芳光は、古書店でアルバイトをしながら、北里可南子から依頼を受ける。それは、亡き父・参吾が書いた結末が伏せられた5つの小説(リドルストーリー)を探してほしいというものだった。調査を進めるうちに、芳光は22年前に起こった未解決事件「アントワープの銃声」の存在を知り、小説と事件の繋がりを疑い始める。5つの物語は事件の真相を解き明かす鍵となるのか。
22
表紙
折れた竜骨
米澤 穂信
東京創元社
舞台は魔術が存在する12世紀末のソロン諸島。領主アミーナの父は、暗殺騎士に命を狙われていると騎士ファルクから告げられる。しかし、父は魔術で殺害され、容疑者は父が集めた傭兵たち。更に不死の青年が牢から消え、「呪われたデーン人」の襲来も迫る。ファルクは真相を追う。
23
表紙
リカーシブル
米澤 穂信
新潮社
越野ハルカは、父の失踪により母の故郷へ。過疎化が進む町で、弟サトルが未来を予言するような言動を始める。町には「タマナヒメ」という予知能力を持つ姫の伝承があり、ハルカは弟との関連を疑う。同時期、町では高速道路誘致を巡る暗闘が。過去には推進派の学者が事故死しており、弟の予言と事件の真相が交錯し、ハルカは町の闇に迫っていく。
24
表紙
満願
米澤穂信
新潮社
『満願』は、弁護士の藤井が、かつて担当した鵜川妙子の事件を回想する形で物語が進みます。妙子は、勤務先の社長を殺害した罪で起訴され、藤井は彼女の弁護を担当。妙子は献身的な女性で、殺害の動機が見当たらず、事件は不可解でした。藤井は事件の真相を追求するうちに、妙子の過去や人間関係に潜む複雑な事情を知り、事件の真相に近づいていきます。
25
表紙
Iの悲劇
米澤 穂信
文藝春秋
限界集落・簑石を再生するため、市役所「甦り課」の万願寺、観山、西野はIターン支援を行う。移住者たちの間で騒音トラブル、鯉の失踪、少年失踪、食中毒、仏像を巡る騒動など、次々と謎が発生。彼らはそれらの謎を追ううちに、限界集落の現実に直面し、衝撃の真相にたどり着く。
26
表紙
黒牢城
米澤 穂信
KADOKAWA
時は戦国、織田信長に叛旗を翻した荒木村重が有岡城に籠城。城内で不可解な事件が続発し、人心は動揺。村重は、土牢に幽閉した知将・黒田官兵衛に謎解きを依頼する。官兵衛は牢から事件の真相を推理し、村重は奔走する。
27
表紙
可燃物
米澤 穂信
文藝春秋
群馬県警を舞台に、葛警部が難事件に挑む連作短編集。スキー場で首を刺された男性、凶器は不明(「崖の下」)。深夜の交通事故、目撃証言の矛盾(「ねむけ」)。バラバラ遺体遺棄事件、動機は(「命の恩」)。連続放火事件、犯行が止まった理由は(「可燃物」)。ファミリーレストランでの立てこもり(「本物か」)。卓越した捜査能力を持つ葛警部が見えざる共通項を探り、事件の真相を解き明かす。
28
表紙
米澤穂信と古典部
米澤 穂信
KADOKAWA
「古典部」シリーズは、省エネ主義の高校生・折木奉太郎が、姉の命令で古典部に入部し、好奇心旺盛な千反田えるら部員たちと様々な謎を解き明かす学園ミステリー。日常に潜む小さな謎や過去の出来事に挑む中で、奉太郎の思考や人間関係が変化していく。シリーズを通して、彼らの成長と青春が描かれる。
29
表紙
米澤屋書店
米澤 穂信
文藝春秋
米澤穂信の頭の中にある書棚を公開するエッセイ集。学生時代から現在まで、彼が読んできた本についてのエッセイや書評、対談を集め、ミステリーを中心とした様々な本を紹介。本音満載の脚注も加筆され、米澤作品のルーツや創作の背景が垣間見える、本好きにはたまらない一冊。巻末には直木賞受賞エッセイも収録。