死ぬまでに読んでおきたいミステリー小説100選
ミステリー小説の魅力を存分に味わえる「死ぬまでに読んでおきたい」傑作100冊を厳選して紹介!トリックの妙、伏線回収の快感、予測不能などんでん返し、そして忘れがたいキャラクターたち……。日本・海外の名作から、近年話題を呼んだ現代作まで、様々なミステリーを網羅しました。初めてミステリーを読む方から、筋金入りのミステリーファンまで、あらゆる読者にとっての運命の一冊がきっと見つかるはずです。
小説一覧
1

この闇と光
服部 まゆみ
KADOKAWA
森の奥に囚われた盲目の王女レイアは、父王の愛と美しい物語に囲まれ育つ。しかし、成長と共にその完璧な世界は歪み始め、やがて信じていた全てが崩壊し、驚愕の真実が明らかになるゴシックミステリ。虚構と現実、光と闇が交錯する。
2

さよならドビュッシー
中山七里
宝島社
ピアニストを目指す高校生・香月遥は、火事で祖父と従姉妹を失い、自身も全身大火傷を負う。絶望の中、ピアニスト岬洋介の指導を受け、コンクール優勝を目指し猛練習に励むが、彼女の周囲で不可解な事件が次々と起こり、やがて殺人事件へと発展していく。遥は、ピアノとミステリーが交錯する中で、事件の真相と自身の運命に向き合うことになる。
3

すべてがFになる
森博嗣
講談社
孤島のハイテク研究所で隔離生活を送る天才工学博士・真賀田四季の部屋から、ウエディングドレスを纏い両手両足を切断された死体が発見される。偶然島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人の謎に挑む本格ミステリィ。
4

そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー
早川書房
孤島に集められた10人の男女が、過去の罪を告発され、童謡「10人の小さな兵隊さん」の歌詞通りに一人ずつ殺されていく。外部との連絡手段は断たれ、疑心暗鬼に陥る中、生存者は減り続け、やがて誰もいなくなる。最後に発見された手記により、完璧な計画殺人の全貌が明らかになる。
5

その可能性はすでに考えた
井上真偽
講談社
山村で起きたカルト宗教団体の集団自殺で、唯一生き残った少女には、首を斬られた少年が自分を抱えて運んだ不可解な記憶があった。探偵・上苙丞は、この首無し聖人伝説のような事件の謎が「奇蹟」であることを証明しようと、あらゆる可能性を否定していく。論理と奇蹟が交錯する斬新なミステリー。
6

その女アレックス
ピエール・ルメートル
文藝春秋
美人看護師アレックスが誘拐・監禁されるが、自力で脱出。しかし、彼女は被害者ではなく、過去の虐待への復讐のため連続殺人を計画していた。カミーユ警部が事件を追う中、アレックスの壮絶な過去と真の目的が明らかになる。物語は予測不能な展開を見せ、驚愕の結末へ向かう。
7

アクロイド殺し
アガサ・クリスティー
早川書房
アガサ・クリスティの推理小説「アクロイド殺し」は、イギリスの静かな村で名士ロジャー・アクロイドが自宅書斎で刺殺される事件から始まる。引退生活を送っていた名探偵ポアロが、隣人のシェパード医師の協力を得て捜査に乗り出す。アクロイド家の関係者全員に動機があり、嘘が錯綜する中、ポアロは驚くべき真犯人を突き止める。物語は語り手であるシェパード医師の手記形式で進み、その結末はミステリ界に衝撃を与えた叙述トリックで知られる。
8

アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂 幸太郎
東京創元社
大学生の椎名は引っ越し先で隣人の河崎に「広辞苑を盗まないか」と誘われる。一方、2年前の物語では、ペットショップ店員の琴美がブータン人留学生ドルジと出会い、ペット惨殺事件に巻き込まれていく。一見無関係な二つの物語が、やがて驚くべき真実と共に繋がっていくミステリー。
9

アリス殺し
小林 泰三
東京創元社
大学院生・栗栖川亜理は、アリスとして不思議の国の夢を見る。夢でハンプティ・ダンプティが墜落死すると、現実でも対応する人物が死亡。夢と現実がリンクする怪死事件が相次ぎ、アリスが容疑者に。亜理は夢と現実の死の謎を追う。
10

イニシエーション・ラブ
乾 くるみ
文藝春秋
乾くるみによる小説「イニシエーション・ラブ」は、1980年代後半の静岡と東京を舞台に、大学生の鈴木と歯科助手の繭子の恋愛を描く。甘くほろ苦い青春物語として展開するが、最後の二行で全く異なる物語に変貌する衝撃のミステリー。読者は必ず二度読みしたくなる仕掛けが施されている。
11

インシテミル
米澤 穂信
文藝春秋
時給11万2千円のバイトに応募した12人の男女が、外部から隔離された「暗鬼館」に集まる。しかし、その実態は高額報酬を巡って参加者同士が殺し合う殺人ゲームだった。閉鎖空間で次々と起こる殺人事件の中、疑心暗鬼に陥る参加者たちは生き残りをかけて究極の心理戦を繰り広げる。
12

オリエント急行の殺人
アガサ・クリスティー
早川書房
名探偵ポアロが乗車したオリエント急行が雪で立ち往生する中、アメリカ人富豪ラチェットが刺殺体で発見される。それは外部からの侵入は不可能で、乗客全員にアリバイがある密室殺人だった…。
13

カササギ殺人事件
アンソニー・ホロヴィッツ
東京創元社
「カササギ殺人事件」は、人気ミステリー作家アラン・コンウェイの新作原稿を巡る「物語の中の物語」形式のミステリー。編集者スーザン・ライランドは、原稿の最終章が欠落していることに気づく。その直後、コンウェイが謎の死を遂げ、スーザンは現実の殺人事件の真相を追うことになる。彼女の調査は、コンウェイの小説内の探偵アティカス・ピュントが解決する事件と奇妙にリンクしていく。
14

カラスの親指
道尾秀介
講談社
人生に敗れ、詐欺を生業とする中年コンビのタケとテツ。ひょんなことから不幸な生い立ちの美人姉妹と青年が加わり、奇妙な共同生活が始まる。しかし、過去の因縁が彼らを襲い、人生を懸けた大計画を企てる。息もつかせぬ驚愕の逆転劇と感動の結末が待つ、どんでん返しが見事なミステリー。
15

クビキリサイクル
西尾維新
講談社
西尾維新のデビュー作。日本海に浮かぶ孤島「鴉の濡れ羽島」に、財閥令嬢・赤神イリアが招いた天才たちが集う。語り手である「ぼく」は、天才技術者・玖渚友の付き添いで島を訪れる。しかしある朝、屋敷内で首斬り死体が発見され、孤島で密室殺人が連鎖していく。
16

クラインの壺
岡嶋二人
講談社
ゲームブック原作がVRシステム「クライン2」に採用された青年・上杉は、テストプレイヤーとして仮想現実へ。しかし、ゲームと現実の境界が曖昧になり、失踪した少女・梨紗の行方を追ううちに、彼は現実と虚構が交錯する恐怖に直面する。
17

クリスマスに少女は還る
キャロル・オコンネル
東京創元社
クリスマスを控えた町で二人の少女が失踪。刑事ルージュは15年前に双子の妹を殺された過去と向き合う。監禁された少女たちは脱出を試み、捜査側は法心理学者と共に事件を追う。過去と現在が交錯し、衝撃の真実が明らかになるサスペンス。
18

ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎
新潮社
伊坂幸太郎の小説「ゴールデンスランバー」は、平凡な宅配ドライバーの青柳雅春が、首相暗殺の濡れ衣を着せられ、巨大な陰謀に巻き込まれる物語。彼は身に覚えのない罪から逃れるため、警察や謎の組織から追われ、孤独な逃亡を強いられる。その中で、過去の友人や知人との絆が彼を助け、事件の真相に迫っていくサスペンス作品。
19

シャーロック・ホームズの冒険
コナン ドイル
新潮社
「シャーロック・ホームズの冒険」は、アーサー・コナン・ドイルによる短編集で、名探偵シャーロック・ホームズと相棒ワトスン博士がロンドンで遭遇する様々な難事件を解決する物語。ホームズの卓越した観察眼と論理的推理が光る「ボヘミアの醜聞」や「まだらの紐」など、全12編の傑作ミステリーが収録されている。
20

ジェリーフィッシュは凍らない
市川 憂人
東京創元社
新型飛行船ジェリーフィッシュの試験飛行中、開発メンバー6人が搭乗した機内で教授が遺体で発見される。さらに自動航行システムが暴走し、機体は雪山に不時着。脱出不可能な状況下で次々と犠牲者が出る中、刑事マリアと九条漣が外部から事件の真相に挑む、「そして誰もいなくなった」形式の本格ミステリ。
21

ドグラ・マグラ
夢野 久作
KADOKAWA
九州帝国大学精神病棟で目覚めた「私」は記憶を失い、自分が殺人事件に関わると告げられる。正木博士の「脳髄は物を考える処に非ず」や「心理遺伝」説が展開され、母親と婚約者を殺害した容疑者・呉一郎との関係が浮上。物語は「私」の正体も事件の真相も闇の中、読者を混乱へと誘う。
22

ナイルに死す
アガサ・クリスティー
早川書房
アガサ・クリスティの推理小説「ナイルに死す」は、エジプトのナイル川を巡る豪華客船を舞台に、名探偵エルキュール・ポアロが遭遇する密室殺人を描く。大富豪の娘リネットは、友人の元婚約者サイモンと略奪婚し新婚旅行中、元婚約者ジャクリーンに付きまとわれる。ポアロの忠告も虚しく、リネットは船内で殺害されるが、ジャクリーンには鉄壁のアリバイがあった。事件の鍵を握る乗客が次々と殺される中、ポアロは“灰色の脳細胞”を働かせ、複雑な人間関係と愛憎が絡み合う事件の真相に迫る。
23

ハサミ男
殊能将之
講談社
殊能将之のミステリー小説。連続美少女殺人犯「ハサミ男」は、3人目のターゲットを物色中、自分の手口を模倣した殺害現場に遭遇する。ハサミ男は、自身の犯行を真似た真犯人を突き止めるため、独自に捜査を開始する。一方、警察もハサミ男を追うが、物語は驚愕のどんでん返しへと向かう。
24

バスカヴィル家の犬
コナン・ドイル
新潮社
バスカヴィル家のチャールズ卿が謎の死を遂げ、その死体のそばには巨大な犬の足跡が残されていた。バスカヴィル家には魔犬の呪いという伝説があり、ホームズは後継者ヘンリー卿を保護するためワトスンを派遣。ワトスンはムーアで奇妙な出来事に遭遇し、やがて事件の裏に隠された恐ろしい陰謀と、伝説の魔犬の正体を突き止める。
25

マリアビートル
伊坂 幸太郎
KADOKAWA
東北新幹線を舞台に、復讐を誓う元殺し屋・木村、裏社会の大物から依頼を受けた殺し屋コンビ・蜜柑と檸檬、そして不運続きの殺し屋・七尾が乗り合わせる。さらに、大人を翻弄することを楽しむ中学生・王子慧も加わり、それぞれの思惑が交錯する中で、身動きの取れない新幹線内で予測不能な事態が巻き起こる。
27

ロートレック荘事件
筒井康隆
新潮社
夏の終わり、ロートレックの絵に彩られた郊外の洋館「ロートレック荘」に集まった青年たちと美貌の娘たち。優雅なバカンスは2発の銃声で一変、美女の死体が発見される。警察の監視下にもかかわらず、次々と美女が殺されていく。邸内の人間の犯行か、アリバイは、動機は。推理小説史上初の叙述トリックが読者を迷宮へと誘う傑作ミステリ。
28

七回死んだ男
西澤保彦
講談社
高校生の久太郎は、同じ一日を繰り返す「反復落とし穴」体質を持つ。資産家の祖父が新年会で殺害され、久太郎は祖父を救うため、繰り返される時間の中で犯人を見つけようと奔走するSF本格ミステリ。祖父は殺されるたび甦り、また殺される。
29

三毛猫ホームズの推理
赤川 次郎
KADOKAWA
女性恐怖症のダメ刑事・片山義太郎は、女子大で起きた密室殺人事件の捜査を命じられる。事件は連続殺人に発展し、片山は苦戦するが、不思議な三毛猫ホームズが彼を導く。ホームズのヒントと兄妹の助けを借り、片山は事件の真相に迫っていく。
30

九マイルは遠すぎる
ハリイ ケメルマン
早川書房
英文学教授ニッキイ・ウェルトが友人の「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、まして雨の中となるとなおさらだ」という何気ない一言から、論理的な推論を重ね、前夜に起きた殺人事件の真相を暴き出す安楽椅子探偵ミステリ。
31

乱れからくり
泡坂 妻夫
KADOKAWA
玩具会社「鶴寿堂」を経営する馬割一族で、不可解な連続殺人が発生する。興信所の新米所員・勝敏夫と所長・宇内舞子が調査に乗り出すが、事件は複雑な様相を呈していく。一族の抱える確執と、「ねじ屋敷」と呼ばれる邸宅の巨大迷路、そしてからくり玩具に隠された秘密が、事件の鍵を握る。
32

仮面山荘殺人事件
東野 圭吾
講談社
婚約者を亡くした樫間高之は、森崎家の山荘に集まった親族ら8人と共に、逃亡中の銀行強盗に監禁される。外部との連絡が絶たれた状況で、山荘内で殺人事件が発生。犯人は強盗ではなく、8人の中にいると判明し、疑心暗鬼の中、驚くべき真相が明らかになる。
33

体育館の殺人
青崎 有吾
東京創元社
風ヶ丘高校の旧体育館で放送部の少年が刺殺され、密室状態から女子卓球部部長が容疑者となる。卓球部員の柚乃は、部長を救うため、学内一の天才だがアニメオタクの裏染天馬に真相解明を依頼する。天馬は論理的な推理で事件の謎を解き明かす本格ミステリー。
34

倒錯のロンド
折原一
講談社
推理小説家志望の山本安雄は渾身の小説「幻の女」を書き上げるが、原稿を紛失。その後、同名の作品が「白鳥翔」名義で新人賞を受賞し、山本は盗作だと主張し白鳥を追い詰める。しかし、物語は盗作と倒錯が繰り返される予測不能な展開を見せ、読者を翻弄する叙述トリックの傑作。
35

儚い羊たちの祝宴
米澤 穂信
新潮社
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」を巡る、邪悪で残酷な五つの事件を描いた短編集。優雅な世界で起こる惨劇と、最後に明かされる真実が読者の脳髄を痺れさせる米澤穂信の暗黒ミステリの真骨頂。
36

八つ墓村
横溝 正史
KADOKAWA
戦国時代、8人の落武者を惨殺した因縁から「八つ墓村」と呼ばれるようになった村で、20数年前には田治見要蔵が村人32人を虐殺し行方不明に。昭和2X年、要蔵の忘れ形見として村に迎えられた寺田辰弥は、目の前で親族や村人が次々と不審死を遂げ、連続殺人事件の渦中へと巻き込まれていく。名探偵金田一耕助が事件の真相に挑む。
37

六人の嘘つきな大学生
浅倉 秋成
KADOKAWA
浅倉秋成の小説「六人の嘘つきな大学生」は、IT企業の最終選考に残った6人の就活生が、内定を賭けてグループディスカッションに挑む物語。しかし、課題は「6人の中から1人の内定者を決める」ことに変更され、さらに「○○は人殺し」という告発文が入った封筒が発見され、彼らの嘘と罪が暴かれていく密室サスペンス。
38

十角館の殺人
綾辻行人
講談社
大学ミステリ研究会の7人が、半年前の殺人事件で閉鎖された孤島・角島にある十角形の奇妙な館「十角館」を訪れる。しかし、彼らは一人また一人と殺されていく。一方、本土では元メンバーが死んだはずの建築家からの手紙を受け取り、事件の調査を開始。二つの物語が交錯し、驚愕の真相が明らかになる。
39

占星術殺人事件
島田荘司
講談社
1936年、画家・梅沢平吉が密室で殺され、彼が遺した手記には、6人の処女の肉体から完璧な女性「アゾート」を創る計画が記されていた。その後、手記通りに6人の若い女性がバラバラ死体で発見され、事件は迷宮入りとなる。約40年後、占星術師・御手洗潔がこの猟奇殺人事件の謎に挑む。
40

双頭の悪魔
有栖川 有栖
東京創元社
有栖川有栖の推理小説「双頭の悪魔」は、四国山中の芸術家の村へ行ったまま戻らないマリアを連れ戻すため、英都大学推理研の一行が現地へ向かう。しかし大雨で橋が流され、川の両側に分断された江神・マリアとアリスたちがそれぞれ殺人事件に巻き込まれ、互いに連絡が取れない状況下で真相究明に挑む。読者への挑戦が三度提示される本格ミステリ大作。
41

名探偵のいけにえ
白井智之
新潮社
探偵・大塒は、行方不明の助手・有森りり子を追って、奇蹟を信じるカルト教団の集落「ジョーデンタウン」へ。そこで次々と発生する密室殺人など不可能状況下の連続殺人に、大塒とりり子のコンビが挑む。信仰に支配された特殊な状況下で、複数の解決が提示される多重解決ミステリー。
42

名探偵の掟
東野 圭吾
講談社
名探偵・天下一大五郎と迷脇役の大河原警部が、密室殺人、時刻表トリック、バラバラ死体など、ミステリー小説の定番トリックをユーモラスに解き明かす12の短編からなる。本格推理の「お約束」を逆手に取り、ミステリー界の裏側を風刺しながら、読者に笑いと驚きを提供する異色の傑作。
43

向日葵の咲かない夏
道尾秀介
新潮社
小学4年生のミチオは、終業式の日、欠席したS君の家で首を吊ったS君を発見する。しかし、先生と警察が駆けつけると死体は消えていた。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れ、「僕は殺されたんだ」と訴える。ミチオは妹のミカと共に、S君を殺した犯人を探し始める。
44

告白
湊かなえ
双葉社
中学校教師・森口悠子は、終業式で娘の死がクラスの生徒2人による殺人だと告白し、復讐を仕掛けたと宣告する。物語は、教師、犯人、その家族など複数の視点から語られ、事件の真相とそれぞれの心の闇が明らかになっていく。
45

夏と花火と私の死体
乙一
集英社
9歳の夏、少女「わたし」は親友の弥生に殺される。弥生は兄の健に相談し、二人は「わたし」の死体を隠蔽しようと画策する。死体となった「わたし」の視点で、幼い兄妹が大人たちの追及から逃れながら死体を隠そうとする悪夢のような4日間が描かれるホラーミステリー。
46

夜歩く
横溝 正史
KADOKAWA
横溝正史の「夜歩く」は、キャバレーでの狙撃事件を発端に、夢遊病の令嬢・古神八千代と、彼女にまつわる古神家の複雑な人間関係、そして首なし死体や顔のない死体といった猟奇的な事件が次々と発生する。金田一耕助が、古神家に隠された暗い秘密と、事件の真相に迫る長編推理小説である。
47

大誘拐
天藤 真
東京創元社
天藤真の推理小説「大誘拐」は、スリ師の戸並健次ら3人組が紀州の山林王である老婦人・柳川とし子を誘拐する物語。しかし、誘拐されたとし子が自ら身代金を100億円に設定し、犯人たちを指揮して警察と交渉するという奇想天外な展開となる。警察やマスコミを巻き込み、前代未聞の誘拐劇が繰り広げられる。
48

姑獲鳥の夏
京極 夏彦
講談社
小説家の関口巽は、古本屋にして陰陽師の京極堂こと中禅寺秋彦を訪ねる。関口は、久遠寺医院の娘・梗子が20箇月も妊娠し続け、その夫が密室から失踪したという奇怪な噂を耳にし、京極堂に相談を持ちかける。京極堂は「この世には不思議なことなど何もない」と語り、探偵の榎木津礼二郎らと共に、久遠寺家で頻発する嬰児失踪事件や憑物筋の謎を解き明かしていく。
49

孤島の鬼
江戸川 乱歩
角川書店(角川グループパブリッシング)
貿易会社に勤める蓑浦は同僚の木崎初代と恋に落ちるが、初代は密室で刺殺される。蓑浦は復讐を誓い、探偵趣味の友人・深山木に調査を依頼するが、深山木も殺されてしまう。蓑浦は初代の求婚者だった医学者・諸戸道雄を疑うが、諸戸も事件を追っており、二人は初代の系図と手記を頼りに、諸戸の故郷である孤島・岩屋島へ向かう。そこで彼らを待ち受けていたのは、想像を絶する狂気と出生の秘密だった。
50

容疑者Xの献身
東野 圭吾
文藝春秋
隣人である天才数学者・石神は、元夫を殺害した花岡靖子とその娘を守るため、完璧なアリバイと巧妙なトリックを仕掛ける。しかし、旧友である物理学者・湯川学が事件に介入し、石神の献身的な計画の裏に隠された驚くべき真実が徐々に明らかになる。愛と犠牲が交錯する、緻密な心理戦が描かれる物語。
51

屍人荘の殺人
今村 昌弘
東京創元社
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と明智恭介は、探偵少女・剣崎比留子に誘われ、いわくつきの映画研究会夏合宿に参加。合宿先のペンション紫湛荘で、想像を絶する事態に遭遇し立て籠もる。その極限状況下で連続殺人事件が発生し、彼らは生き残りを懸けて真相を追うことになる。
52

幻の女
ウイリアム アイリッシュ
早川書房
妻と喧嘩したスコットは、バーで出会った見知らぬ女性と一夜を過ごす。帰宅すると妻が殺されており、スコットは逮捕される。唯一のアリバイである「幻の女」は誰も覚えておらず、秘書キャロルが彼の無実を証明するため奔走する。死刑執行が迫る中、キャロルは真犯人を追う。
53

悪魔が来りて笛を吹く
横溝 正史
KADOKAWA
戦後、銀座の宝石店で毒殺事件が発生し、元子爵の椿英輔が容疑者となるが釈放される。その後、英輔は失踪し死体で発見されるが、家族は彼の生存を疑う。金田一耕助は、英輔の娘の依頼で椿家を訪れる。そこで「悪魔が来りて笛を吹く」という不気味な曲が流れる中、連続殺人が起こり、金田一は椿家の血塗られた秘密と復讐劇に挑む。
54

悪魔の手毬唄
横溝 正史
KADOKAWA
金田一耕助は、因習深い鬼首村で20年前の未解決事件を追う。そんな中、村に伝わる手毬唄に見立てた連続殺人が発生。人気歌手の帰郷を機に、由良家と仁礼家の対立が絡み合い、複雑な人間関係の中で次々と犠牲者が出る。金田一は、過去の事件と手毬唄の謎を解き明かし、真犯人に迫る。
55

慟哭
貫井 徳郎
東京創元社
貫井徳郎の小説「慟哭」は、連続幼女誘拐事件の捜査に当たる捜査一課長の佐伯と、新興宗教に傾倒し娘を失った男・松本の二つの視点が交互に描かれる。難航する捜査と警察内部の不協和音、マスコミの追及に苦悩する佐伯。一方、松本は失った娘を生き返らせようと黒魔術に手を染める。物語は二つの視点が次第に交錯し、衝撃の真実が明らかになる叙述トリックが特徴の社会派ミステリー。
56

戻り川心中
連城 三紀彦
光文社
大正歌壇の寵児・苑田岳葉は、二度の心中未遂事件で二人の女性を死なせ、その情死行を歌に遺して自害した。彼が本当に愛したのは誰か、そして女たちを死なせてまで求めたものとは何か。歌に秘められた男の野望と女の哀れを描く表題作。
57

折れた竜骨
米澤 穂信
東京創元社
米澤穂信の「折れた竜骨」は、12世紀末のソロン諸島を舞台にしたファンタジーミステリ。領主の娘アミーナは、騎士ファルクから父が暗殺騎士に狙われていると告げられる。魔術が跋扈する世界で、自然の要塞であるはずの島で領主が殺害され、不死の青年が牢から消えるなど不可解な事件が続発。魔術や呪いが絡む謎に対し、推理の力で真相に迫る物語。
58

斜め屋敷の犯罪
島田荘司
講談社
北海道宗谷岬に建つ傾いた館「斜め屋敷」でクリスマスパーティが開かれるが、翌日、密室で招待客の死体が発見される。人々が恐慌に陥る中、さらなる惨劇が続き、名探偵・御手洗潔がこの難解な連続密室殺人の謎に挑む本格ミステリー。
59

方舟
夕木春央
講談社
夕木春央の推理小説「方舟」は、山奥の地下建築に閉じ込められた9人が、地震による浸水で水没の危機に瀕する中、脱出には1人の犠牲が必要と判明する。そんな極限状況で殺人事件が発生し、犯人を犠牲にしようとタイムリミットが迫る中で犯人探しが始まるクローズドサークルミステリー。
60

星降り山荘の殺人
倉知淳
講談社
広告代理店勤務の杉下和夫は、左遷先でスターウォッチャー星園詩郎のマネージャー見習いとなる。雪に閉ざされた山荘で、UFO研究家や作家ら癖のある面々と共に滞在中に殺人事件が発生。外部との連絡が途絶えたクローズド・サークルの中、星園が事件の謎に挑む本格推理小説。
61

時計館の殺人
綾辻行人
講談社
大手出版社・稀譚社の新米編集者・江南孝明は、オカルト雑誌の取材で、10年前に少女が死亡した「時計館」を訪れる。霊能者や大学の超常現象研究会メンバーらと宿泊するが、凄惨な連続殺人事件が幕を開ける。館外では推理作家・鹿谷門実が謎を追う。
62

暗闇坂の人喰いの木
島田荘司
講談社
江戸時代の処刑場だった暗闇坂に立つ樹齢二千年の大楠の周辺で、次々と奇怪な事件が発生し、人々を狂気に駆り立てる大楠の謎に名探偵・御手洗潔が挑む本格ミステリー。
63

月光ゲーム
有栖川 有栖
東京創元社
有栖川有栖のデビュー作。夏合宿で矢吹山のキャンプ場を訪れた英都大学推理小説研究会の面々が、火山の噴火により陸の孤島と化したキャンプ場で連続殺人事件に巻き込まれる。残されたダイイングメッセージ「Y」の謎を、江神二郎と有栖川有栖が解き明かす本格ミステリ。
64

本陣殺人事件
横溝 正史
KADOKAWA
横溝正史の長編推理小説「本陣殺人事件」は、金田一耕助シリーズの第1作。雪に閉ざされた旧家の離れで、新婚初夜の新郎新婦が日本刀で惨殺される密室殺人が発生。現場には三本指の血痕と琴、庭には凶器の日本刀が突き刺さっていた。金田一耕助は、探偵小説マニアの三男・三郎の協力を得て、巧妙なトリックと意外な真相を解き明かす。
65

模倣犯
宮部 みゆき
新潮社
宮部みゆきによる長編小説。公園で発見された女性の右腕とハンドバッグを端緒に、失踪中の女性・古川鞠子の祖父・有馬義男やルポライター・前畑滋子らが、劇場型犯罪を仕掛ける真犯人「ピース」の巧妙な罠と対峙する連続誘拐殺人事件を描く。
66

殺人鬼
綾辻 行人
KADOKAWA
綾辻行人による推理小説「殺人鬼」は、夏季合宿で双葉山を訪れた親睦団体「TCメンバーズ」の一行が、突如出現した殺人鬼によって次々と惨殺されていくスプラッタ・ホラー。手足切断、眼球抉り出しなど凄惨な描写が続き、殺人鬼の正体と驚愕のトリックが明かされる新本格ミステリー。
67

殺戮にいたる病
我孫子武丸
講談社
東京の繁華街で猟奇的殺人を繰り返すサイコ・キラー、蒲生稔。彼は永遠の愛を求め、女性を惨殺し、その一部を持ち去る。息子の不審な行動に疑惑を抱く母親の雅子、そして被害者遺族の妹と協力して犯人を追う元刑事の樋口。三者の視点から物語は進むが…。衝撃のラストで全ての真相が明らかになり、読者は二度読みをせずにはいられないサイコ・サスペンス。
68

氷菓
米澤 穂信
KADOKAWA
「省エネ主義」の高校生、折木奉太郎は、姉の勧めで廃部寸前の古典部に入部する。そこで好奇心旺盛な千反田える、旧友の福部里志、伊原摩耶花と出会い、えるの「わたし、気になります!」の一言から、日常に潜む様々な謎や、33年前(アニメ版では45年前)の古典部にまつわる因縁の真相を解き明かしていく青春学園ミステリー。
69

満願
米澤穂信
新潮社
米澤穂信の推理小説「満願」は、人生を賭けた激しい願いが引き起こす6つの奇妙な事件を描いた短編集。人を殺め刑に服した妻の真の動機が明かされる表題作のほか、交番警官、在外ビジネスマン、フリーライターなど、切実に生きる人々が遭遇する謎が、精緻なロジックと流麗な文章で綴られる。
70

火車
宮部 みゆき
Audible Studios
休職中の刑事・本間俊介は、遠縁の男性に頼まれ、彼の婚約者・関根彰子の行方を追う。彰子は自らの意思で失踪し、徹底的に足取りを消していた。なぜ彼女はそこまでして存在を消す必要があったのか。謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。本間は、彰子の過去と、彼女が背負う多重債務の闇に迫っていく。
71

犬神家の一族
横溝 正史
KADOKAWA
信州の大富豪・犬神佐兵衛が莫大な遺産を残し死去。遺言状には、恩人の孫娘・珠世が佐兵衛の三人の孫(佐清、佐武、佐智)から婿を選べば全財産を相続すると記されていた。この奇妙な遺言を巡り、犬神家では血みどろの連続殺人が発生。名探偵・金田一耕助が事件の真相と一族の隠された過去に迫る。
72

獄門島
横溝 正史
KADOKAWA
戦友の遺言で瀬戸内海の孤島・獄門島を訪れた金田一耕助は、「三人の妹が殺される」という予言通り、俳句に見立てられた連続殺人事件に遭遇する。閉鎖的な島で、複雑な人間関係と因習が絡み合う中、金田一は事件の真相と犯人の恐るべき動機に迫る。
73

生ける屍の死
山口 雅也
光文社
アメリカで死者が蘇る現象が続発する中、霊園を経営するバーリイコーン一族の青年グリンは毒殺されるも蘇生。彼は死を隠し、遺産相続絡みの自身の死と、当主の通夜で起きた長男刺殺事件の真相を、肉体が腐りきるまでのタイムリミットの中で追う。生と死の境界が曖昧な世界で、謎の殺戮者も暗躍する。
74

異邦の騎士
島田 荘司
講談社
公園で目覚めた男は記憶を失っていた。ひょんなことから出会った良子と同棲を始めるが、見つかった免許証から自分の名前を知る。過去を取り戻すことを躊躇する中、失われた記憶が蘇り、愛する妻子を殺したのかと戦慄する。名探偵・御手洗潔が関わる傑作ミステリー。
75

白夜行
東野圭吾
集英社
1973年、大阪で質屋が殺害され、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂は、その後別々の道を歩むが、二人の周囲では不可解な犯罪が次々と起こる。証拠はないが、刑事は二人の関与を疑い、19年にわたる彼らの「共生」の闇を追う。
76

硝子の塔の殺人
知念 実希人
実業之日本社
知念実希人による推理小説。雪深い森に建つ硝子の塔に招かれたミステリ愛好家たちが、塔の主人を皮切りに次々と起こる密室殺人事件に巻き込まれる。名探偵と医師が謎を追う中、13年前の事件との因果も解き明かされ、驚愕の真相が明らかになる本格ミステリ。
77

神様ゲーム
麻耶雄嵩
講談社
小学四年生の芳雄が住む町で連続猫殺し事件が発生。そこに転校してきた自称「神様」の鈴木太郎が犯人を言い当てる。その後、殺人事件が起こり、芳雄は「神様」に真実を求めるが、その真相は読者に衝撃を与える。
78

空飛ぶ馬
北村薫
東京創元社
北村薫のデビュー作「空飛ぶ馬」は、文学部の女子大生「私」と落語家・春桜亭円紫が、日常に潜むささやかな謎を解き明かす連作短編集。見られるはずのない夢、大量の砂糖を入れられた紅茶、幼稚園から一晩だけ消えた木馬など、殺人事件ではない日常の不可思議な出来事を通して、人生の機微や人間の感情の明暗を描く"誰も死なない"ミステリの金字塔的作品である。
79

第三の時効
横山秀夫
集英社
横山秀夫の推理小説「第三の時効」は、15年前に発生したタクシー運転手殺人事件の時効成立が迫る中、熱血刑事・森と冷徹刑事・楠見が、犯人・武内を追う物語。武内が海外渡航していたため、通常の時効後に「第二時効」が存在し、事件の鍵を握る武内と被害者の娘・ありさの接触を予測し捜査を進めるが、楠見の不可解な行動に森は翻弄される。
80

絡新婦の理
京極 夏彦
講談社
京極夏彦の「絡新婦の理」は、房総の女学校で起こる連続殺人事件と、女性ばかりを狙う目潰し魔事件が、一見無関係に見えながら複雑に絡み合うミステリー。京極堂は、事件の背後に潜む完璧な犯罪計画と、関係者全員の行動を読み込んだ「蜘蛛」の存在に挑む。
81

緋色の研究
コナン・ドイル
新潮社
軍医ワトスンは下宿を探し、風変わりな男シャーロック・ホームズと共同生活を始める。ある日、空き家で男性の死体が発見され、ホームズは警察と共に捜査を開始。遺体には外傷がなく、壁には血文字が残されていた。ホームズは卓越した観察力と推理力で事件の真相に迫り、犯人を突き止める。事件の背景には、アメリカでの悲劇的な復讐劇があったことが明らかになる。
82

羊たちの沈黙
トマス・ハリス
新潮社
FBI訓練生のクラリス・スターリングは、女性の皮を剥ぐ連続殺人鬼「バッファロー・ビル」を追うため、収監中の天才的な精神科医で人食い殺人鬼ハンニバル・レクター博士に助言を求める。
83

翼ある闇
麻耶雄嵩
講談社
麻耶雄嵩のデビュー作「翼ある闇」は、京都近郊の古城「蒼鴉城」で起こる首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人といった怪奇な連続殺人に、私立探偵の木更津と名探偵メルカトル鮎が挑むが、二転三転する推理の果てに壮絶な結末を迎える物語。
84

葉桜の季節に君を思うということ
歌野 晶午
Audible Studios
自称「何でもやってやろう屋」の成瀬将虎は、後輩に頼まれ悪徳商法「蓬莱倶楽部」の調査を開始。同時期、自殺を図ろうとした麻宮さくらを助け、交流を深める。二つの出来事が交錯し、やがて驚愕の真実が明らかになる叙述トリックが光るミステリー。
85

虚無への供物
中井英夫
講談社
推理小説「虚無への供物」は、昭和29年の洞爺丸沈没事故で両親を失った氷沼家に、密室での紅司の死、叔父の橙二郎のガス死など、次々と不審な死が襲いかかる物語。探偵作家志望の奈々村久生らが推理合戦を繰り広げるが、事件が起きる前から推理を始めるなど荒唐無稽な展開が特徴のアンチミステリー。
86

迷路館の殺人
綾辻行人
講談社
推理作家・宮垣葉太郎の還暦祝いに招かれた作家たちが、迷路のような館で遺産相続をかけた推理小説の競作を始める。しかし、彼らは自作の小説に見立てられたかのように次々と殺されていく。探偵役の島田潔が事件の真相に迫るが、そこには二重三重の仕掛けが隠されていた。
87

重力ピエロ
伊坂幸太郎
新潮社
伊坂幸太郎の小説「重力ピエロ」は、遺伝子研究をする兄・泉水と、ピカソの生まれ変わりを自称する弟・春の兄弟が、仙台で発生する連続放火事件の謎を追う物語。放火現場に残されたグラフィティアートと遺伝子のルールが奇妙にリンクし、謎を解き明かす中で、家族が抱える辛い過去と真実が明らかになる。家族の絆と過去の闇に立ち向かう姿を描いたミステリー作品。
88

鉄鼠の檻
京極 夏彦
講談社
昭和28年、箱根の旅館で古物商の今川が僧侶の変死体を発見。時を同じくして箱根を訪れていた京極堂こと中禅寺秋彦と作家の関口巽も事件に巻き込まれる。仏弟子が次々と殺される謎の巨刹・明慧寺を舞台に、京極堂が「箱根山連続僧侶殺害事件」の真相に挑む。
89

鏡の中は日曜日
殊能将之
講談社
殊能将之の推理小説。梵貝荘で起きた殺人事件は名探偵により解決するが、14年後、現代の名探偵・石動戯作が再調査を依頼される。多重な叙述トリックと作中作が絡み合い、事件の全容が変貌していく本格ミステリ。
90

霧越邸殺人事件
綾辻 行人
KADOKAWA
吹雪で外界と閉ざされた信州の山奥にある謎めいた洋館「霧越邸」。偶然迷い込んだ劇団「暗色天幕」の一行は、怪しい住人たちに迎えられる。やがて邸内で不可思議な現象が起こり始め、北原白秋の童謡に見立てた連続殺人の幕が上がる。閉鎖空間で繰り広げられる美しき惨劇の真相とは。
91

青の炎
貴志 祐介
KADOKAWA
湘南に住む高校生・櫛森秀一は、母と妹との平和な生活を送っていた。しかし、10年前に母と離婚した義父・曾根が突然現れ、傍若無人に振る舞い、家族を脅かす。法律や社会のシステムが頼りにならないと知った秀一は、愛する家族を守るため、曾根を殺害する完全犯罪を計画し、実行に移す。彼の心に静かに燃え上がる「青の炎」は、家族への深い愛情と孤独な決意の象徴だった。
92

首無の如き祟るもの
三津田信三
講談社
奥多摩の因習深い媛首村で、秘守一族の双子の十三夜参りから惨劇が始まる。戦中戦後にわたり、古くから伝わる「首無の化物」の伝承になぞらえた首無し殺人が連続発生。驚愕のどんでん返しが待ち受ける本格ミステリとホラーの傑作。
93

魍魎の匣
京極 夏彦
講談社
元映画女優の妹・加菜子が駅で転落し重傷を負うが、搬送先の研究所から忽然と消える。時を同じくして連続バラバラ殺人事件が発生し、「御筥様」という新興宗教の噂が広まる。小説家・関口、刑事・木場、探偵・榎木津らがそれぞれの事件を追ううちに、箱型の建物との繋がりが判明。彼らは憑き物落としの古書店主・京極堂の元へ集結し、複雑に絡み合う怪奇事件の真相を解き明かす。
94

黒い仏
殊能将之
講談社
名探偵・石動戯作が唐の僧・円載の秘宝探しを依頼される一方、福岡では指紋が拭き取られた身元不明の変死体が発見される。無関係に見える二つの事件は、やがて驚くべき形で交錯し、常識を覆す真相が明らかになる異色のミステリ。
95

13階段
高野 和明
講談社
傷害致死で仮釈放中の青年・三上純一は、刑務官・南郷正二から、冤罪の疑いがある死刑囚・樹原亮の再調査を依頼される。樹原は10年前の殺人事件で死刑判決を受けたが、事故で記憶を失い「階段を上っていた」という曖昧な記憶しかなかった。死刑執行が迫る中、二人は真犯人を追う。
96

46番目の密室
有栖川有栖
講談社
推理作家・真壁聖一は、クリスマスに北軽井沢の別荘で開かれた集まりで、最後の密室ものを執筆中だと宣言する。しかし翌朝、密室状態の部屋で真壁の死体が発見される。彼は自らが考案した46番目の密室トリックで殺されたのか、犯罪学者・火村英生と作家・有栖川有栖が真相に挑む。
97

ABC殺人事件
アガサ・クリスティー
早川書房
エルキュール・ポアロのもとに「ABC」と署名された挑戦状が届く。予告通り、Aで始まる地名でイニシャルAの人物が殺され、傍らにはABC鉄道案内が残される。同様にB、Cとアルファベット順に殺人が続き、ポアロは相棒ヘイスティングズと共に犯人の巧妙なトリックと真の動機を暴くため、連続殺人事件の謎に挑む。
98

Xの悲劇
エラリー・クイーン
東京創元社
満員の市電で株式仲買人が毒針で殺害される。警察は捜査に行き詰まり、元舞台俳優の名探偵ドルリー・レーンに協力を依頼。その後、第二、第三の殺人が発生し、事件は複雑化する。レーンは論理的な推理で犯人Xの正体に迫る。