三津田信三の著作まとめ
三津田信三は奈良県出身の小説家。元編集者。2001年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。本格ミステリと土俗的な怪異譚を融合させた独自の作風を確立し、ホラーとミステリの境界を曖昧にする作品で人気を博す。代表作に、怪奇作家・刀城言耶を探偵役とする「刀城言耶」シリーズや、死相が見える探偵が登場する「死相学探偵」シリーズ、自身を登場人物としたメタフィクション的構成の「作家三部作」などがある。2010年『水魑の如き沈むもの』で本格ミステリ大賞を受賞。現実と虚構が交錯する世界観で読者を恐怖と謎解きの深淵へ誘う、唯一無二のホラーミステリ作家である。
小説一覧
1

忌館 ホラー作家の棲む家
三津田信三
講談社
ホラー作家の三津田信三は、自分の名前で応募された覚えのない新人賞の原稿を知る。同時期、彼は洋館を舞台にした怪奇小説を書き始めるが、現実と小説が奇妙にリンクし始める。洋館で起こった恐ろしい事件、近所の子供が見る幽霊、そして現れる謎の女性。様々な謎が絡み合い、読者を恐怖へと引き込む。
2

作者不詳 ミステリ作家の読む本
三津田信三
講談社
三津田信三は、親友の飛鳥信一郎と古本屋で同人誌『迷宮草子』を入手。その本に収録された怪奇譚を読むと、2人は怪異に襲われる。物語に合理的な解決を与えることで怪異から逃れようとするが…。メタフィクション的手法でホラーとミステリが融合した作品。
3

蛇棺葬
三津田信三
講談社
五歳の「私」は父に連れられ、奈良の旧家・百巳家へ。そこは辛く厳しい毎日で、実権を握る祖母から体罰を受ける。孤独な幼少期を過ごす中、因習にまつわる恐怖体験をする。森の中の百蛇堂、禁忌の山で怪異に遭遇。数十年後、義母危篤の報せで再び百巳家へ。葬儀の最中、再び怪異に見舞われる。
4

百蛇堂 怪談作家の語る話
三津田信三
講談社
作家兼編集者の三津田信三は、龍巳美乃歩という男から旧家・百巳家での実話怪談を聞く。後日、送られてきた原稿を読んだ三津田と周囲の人々を怪現象が襲う。『蛇棺葬』に繋がる謎と怪異が膨れあがる、ホラー&ミステリ長編。
5

シェルター 終末の殺人
三津田信三
講談社
ミステリ作家の三津田信三は、核シェルターの取材で富豪の屋敷へ。庭の迷路の先にシェルターがある。見学中、巨大な閃光が走り、避難する人々。外部との遮断、滅亡の予感。そんな中、シェルター内で連続密室殺人が発生。動機不明の殺人劇が、恐怖と謎を呼ぶ。
6

スラッシャー 廃園の殺人
三津田 信三
KADOKAWA
遊園地で映画撮影隊が惨殺される。監督は過去の殺人事件を模倣した映画を撮ろうとしていた。しかし、撮影が進むにつれ、現実と虚構が混ざり合い、新たな殺人が発生する。
7

厭魅の如き憑くもの
三津田信三
講談社
戦後昭和、神々櫛村で「憑きもの筋」谺呀治家と「非憑きもの筋」神櫛家を跨ぎ連続殺人発生。村ではカカシ様の格好で首を吊る者が現れる。怪奇幻想作家の刀城言耶は、村の憑き物信仰と連続殺人の謎を解き明かそうとする。紗霧の日記、刀城の取材ノート、漣三郎の記述録を通して事件が語られる。
8

凶鳥の如き忌むもの
三津田信三
講談社
刀城言耶は、鳥坏島に伝わる秘儀〈鳥人の儀〉に参加するため島を訪れる。18年前の儀式で巫女が断崖絶壁の拝殿から姿を消した事件と酷似した状況下、再び人が消失。大鳥様の奇跡か、鳥女の仕業か?言耶は真相を追うが、謎は深まるばかり。
9

首無の如き祟るもの
三津田信三
講談社
奥多摩の山村、媛首村。古くから怪異の伝承が色濃いこの地で、秘守一族の一守家の双子の十三夜参りの日から惨劇が始まる。戦中戦後に跨る首無し殺人の謎。村に伝わる淡首様や首無の化物の祟りが疑われる中、刀城言耶が事件の真相に迫る。驚愕のどんでん返しが待ち受ける本格ミステリ。
10

山魔の如き嗤うもの
三津田信三
講談社
ある山村の成人詣りの際、郷木靖美は怪異な体験をする。刀城言耶は調査のため奥戸村へ。そこでは童歌になぞらえた連続殺人事件が発生していた。村に伝わる山魔伝説、閉鎖的な家父長制、金脈と姥捨山、そしてらい病。複雑に絡み合う因習の中で、事件は二転三転し、意外な結末を迎える。
11

密室の如き籠るもの
三津田信三
講談社
旧家の猪丸家に現れた記憶喪失の女・葦子は、蔵座敷で“狐狗狸さん”を始める。そこは当主の前妻たちが死んだ場所。刀城言耶が訪れた日も“狐狗狸さん”が行なわれるが、密室と化した蔵座敷の中で血の惨劇が起こる。他に3編を収録した短編集。
12

水魑の如き沈むもの
三津田信三
講談社
奈良の山奥、波美地方の四つの村で、数年ぶりに風変わりな雨乞いの儀式が行われる。儀式に訪れた刀城言耶の眼前で不可能犯罪が発生、神男連続殺人の幕が上がる。水神を祀る村、奇怪な儀式、湖上の密室殺人。ホラーとミステリが融合した本格ミステリ。
13

生霊の如き重るもの
三津田信三
講談社
刀城言耶が学生時代に遭遇した事件。奥多摩の旧家、谷生家では、生霊の目撃談が語り継がれていた。それは奇っ怪な分身で、現れるとき、当人に死の影が指すと恐れられていた。谷生家を訪れた言耶は、そこで不可解な復員兵の死と、生霊の謎に挑む。
14

幽女の如き怨むもの
三津田信三
講談社
13歳で遊女として売られた少女・緋桜。彼女が身を置く遊郭では、戦前、戦中、戦後と時代を跨ぎ、3人の花魁が謎の身投げを遂げていた。それは「幽女」の仕業か、それとも人為的なものか。刀城言耶は、謎と怪異に満ちた遊郭を舞台に、事件の真相に迫る。
15

碆霊の如き祀るもの
三津田信三
講談社
海と断崖に囲まれた強羅地方の村々で、刀城言耶は怪談をなぞる連続殺人に出くわす。死体に残された笹舟、開かれた密室の謎。「碆霊様」が遣わすという「唐食船」とは何か?伝承と怪異、村の因習が絡み合う中、言耶は真相に迫り、驚愕の結末を迎える。
16

魔偶の如き齎すもの
三津田信三
講談社
所有者に福と禍をもたらすという奇妙な文様が刻まれた土偶「魔偶」。刀城言耶は、その魔偶を確かめるため旧家・宝亀家を訪問する。すでに集まっていた客たちは、当主との話もそこそこに、次々と魔偶が収められた「卍堂」へ向かう。そこで次々と起こる不可解な出来事。魔偶が齎すのは福か、それとも禍か。
17

忌名の如き贄るもの
三津田信三
講談社
生名鳴地方の虫絰村で、尼耳家の跡継ぎである少年が殺害される。その村には「忌名の儀礼」というものがあり、儀式の最中に様々な怪異が現れる。刀城言耶は、友人の婚約者が14歳の時にその儀礼で恐ろしい目に遭ったことを聞き、事件の真相に挑む。
18

十三の呪
三津田 信三
KADOKAWA/角川書店
死相が見える探偵・弦矢俊一郎の元に、美貌の女性・紗綾香が依頼に訪れる。彼女はIT社長に見初められるが、婚約者が急死。婚約者の実家では怪異が続発し、彼女自身にも不吉な影が。俊一郎は、次々と起こる不可解な死の謎を追うことになる。
19

四隅の魔
三津田 信三
KADOKAWA
大学のオカルトサークル「百怪倶楽部」で、女子寮の地下室で行われた「四隅の間」という遊びの最中に、メンバーが突然死する。死相学探偵・弦矢俊一郎は、事件の真相を追うことになる。
20

六蠱の躯
三津田 信三
KADOKAWA
東京近郊で若い女性の連続殺人事件が発生。「六蠱」と名乗る犯人から犯行声明文が届く。刑事の依頼で、死相学探偵・弦矢俊一郎が事件に挑む。犯人は女性の「部位」を狙い、完璧な女性を創造しようとしているようだった。弦矢は事件の真相に迫っていく。
21

五骨の刃
三津田 信三
KADOKAWA
忌まわしき無辺館を訪れた男女4人。過去に連続殺人事件が起きたその館で、彼女たちは恐怖に遭遇する。真相解明を依頼された死相学探偵・弦矢俊一郎が、禍々しい死相の謎に挑む。恐怖をテーマにした芸術展での凄惨な殺人事件と、参加者への呪いが展開される。
22

十二の贄
三津田 信三
KADOKAWA
大面グループ総帥・幸子が遺言状を残し死亡。遺産相続人である13人の生死で遺産の取り分が増減するというものだった。相続人の一人、悠馬が引き取られた先で事件が起きる。探偵・弦矢俊一郎は死相を手掛かりに解決を目指すが、次々と犠牲者が。相続人たちは十二星座に対応しており、デスゲームのような様相を呈していく。
23

八獄の界
三津田 信三
KADOKAWA
黒術師を崇拝する者たちが現れ、黒術師が主催するバスツアーに、死相学探偵・弦矢俊一郎が潜入捜査することに。しかし、参加者全員に死相が見えていた。俊一郎たちは次々と怪事件に巻き込まれていく。「死相学探偵」シリーズ、絶体絶命の第6弾。
24

九孔の罠
三津田 信三
KADOKAWA
超能力者を養成するダークマター研究所で、リストラの噂が流れる中、超能力者の沙紅螺が黒い影に追われる。死相学探偵・弦矢俊一郎は彼女の死相から惨劇を予感し、研究所へ。そこでは、九つの穴から血が流れ出すという呪術による連続殺人が発生。俊一郎は事件の真相と、宿敵・黒術師の右腕との対決に挑む。
25

死相学探偵最後の事件
三津田 信三
KADOKAWA
黒術師の居所を突き止めるべく、黒捜課のメンバーと俊一郎、祖父母たちは孤島へ。そこでは奇妙な言動のスタッフと、不可解な連続殺人事件が待ち受けていた。黒術師の罠を警戒する一行を嘲笑うかのように事件は続く。犯人は誰か、目的は?姿を見せない黒術師の正体とは?
26

禍家
三津田 信三
KADOKAWA
両親を亡くした12歳の棟像貢太郎は、祖母と東京郊外の家へ。初めてのはずなのに、どこか知っているような気がしていた。そんな中、怪異が次々と貢太郎を襲い始める。友達になった少女・礼奈とともに、家に隠された戦慄の秘密を探っていく。
27

凶宅
三津田 信三
KADOKAWA
小学四年生の翔太は、山の中腹に建つ一軒家に引っ越す。周囲は未完成の家ばかりで、妹は「山の者が来た」と話す。翔太は家で黒い影を目撃し、過去の住人の日記から忌まわしい秘密を知る。家族を守るため、翔太は怪異に立ち向かう。
28

魔邸
三津田 信三
KADOKAWA
小学6年生の優真は、父の死後、母の再婚で義父ができる。義父の海外赴任が決まり、叔父と曰くありげな別荘で暮らすことに。そこは“神隠し”の伝承がある森に建つ家だった。最初の晩から家の中に何かの気配を感じ、不気味な出来事が優真に降りかかる。
29

どこの家にも怖いものはいる
三津田信三
中央公論新社
作家の三津田は、編集者の三間坂から「家」に関する五つの怪談を提示される。それらは人物、時代、内容がバラバラだが、奇妙な共通点があった。新築の家に現れる怪異、異次元屋敷に現れる割れ女、幽霊物件での体験、光子の家での怪異、狂女の予言。それぞれの話は独立しているように見えながらも、読んだ者の「家」に何か影響を及ぼすような、最凶の幽霊屋敷怪談。
30

わざと忌み家を建てて棲む
三津田信三
中央公論新社
「烏合邸」と呼ばれる、曰く付きの事故物件を繋ぎ合わせた家が舞台。筆者は三間坂から、八真嶺という人物が建てたその家で、心霊現象の記録者を募集していたという話を聞く。黒い部屋、白い屋敷、赤い医院、青い邸宅という各部屋で起こる怪異を、日記、手記、録音、記録を通して体験する。
31

そこに無い家に呼ばれる
三津田信三
中央公論新社
作家の三津田と編集者の三間坂は、「家」にまつわる禍々しい話を知る。さらに、奇妙な体験談が記された〈烏合邸〉という屋敷にまつわる記録が発見される。それは「家そのものが幽霊」であるという内容だった。
32

黒面の狐
三津田 信三
文藝春秋
戦後まもない北九州の炭鉱で、落盤事故と連続怪死事件が発生。現場からは黒い狐の面を被った人影が目撃される。満洲から帰国した波矢多は炭鉱で働き始めるが、同僚の死をきっかけに事件に巻き込まれる。炭鉱の闇と因習、そして黒面の狐の謎に、波矢多が挑む。
33

白魔の塔
三津田 信三
文藝春秋
敗戦後、物理波矢多は灯台守として轟ヶ埼灯台へ。そこは「白もんこ」と呼ばれる怪異が伝わる地だった。白い森、白い家、白い女…。怪異に惑わされる中、波矢多は20年前の奇怪な謎に挑む。大胆な構成で描かれる異色のホラーミステリー。
34

赫衣の闇
三津田 信三
文藝春秋
戦後、物理波矢多は闇市「赤迷路」で若い女性を付け回す怪人「赫衣」の正体調査を依頼される。調査中、パチンコ店で殺人事件が発生、容疑は依頼人に。連続密室殺人と赫衣の謎に波矢多が挑む。戦後の猥雑な風俗の中で、真相が明らかになる。
35

のぞきめ
三津田 信三
KADOKAWA
辺鄙な貸別荘地に訪れた若者たちが、禁じられた廃村に迷い込み怪異に襲われる。そこは「弔い村」と呼ばれ、「のぞきめ」という化物の伝承が残る呪われた村だった。民俗学者の四十澤が残したノートから、村の過去と「のぞきめ」の真相が明らかになる。
36

みみそぎ
三津田 信三
KADOKAWA
作家・三津田信三のもとに、編集者・三間坂秋蔵から祖父・萬蔵の怪異記録ノートが届く。そこには、怪談会で聞いたおぞましい単語、真夜中の温泉での怪談、父親の呟きに耳を塞ぐ家族など、異様な内容が綴られていた。三津田は内容に戦慄し、読む者に障りがあることを危惧する。これは萬蔵のノートの一部再現と、その後起きたことの記録である。
37

七人の鬼ごっこ
三津田信三
中央公論新社
自殺志願者の男が失踪し、彼の幼馴染たちが次々と謎の死を遂げる。かつて同じ「死のゲーム」に参加していたホラー作家の速水晃一は、事件を追ううちに、封印された少年時代の記憶に辿り着く。錯綜する推理の先に現れる真相とは。
38

六人の笛吹き鬼
三津田信三
中央公論新社
公園で笛吹き鬼をして遊ぶ少女たちが、奇妙な笛の音と共に姿を消す。数年後、事件の当事者でホラー作家となった背教聖衣子が真相を追うと、封印されたはずの「笛吹き鬼」が蘇る。禍々しい信仰が残る地で、新たな事件が発生し、聖衣子は過去の記憶と向き合いながら、事件の真相に迫っていく。
39

子狐たちの災園
三津田 信三
KADOKAWA
6歳の奈津江は、失せ物を見つける不思議な力を持つ。両親を相次いで亡くし、実の親でないと知らされる。実姉と名乗る深咲に連れられ、父が経営する子供たちの施設「祭園」へ。そこは鬱蒼とした森に囲まれ、狐面の女や奇妙な祈祷所「廻り家」があった。奈津江の秘密が明らかになる時、惨劇が幕を開ける。
40

赫眼
三津田 信三
光文社
転校生の美少女、目童たかりは、目を奪う美貌と色香を持つ謎めいた存在。彼女が学校を休んだある日、少年が届け物を届けに彼女の家を訪れると、家の奥には禍々しい何かが横たわっていた。他に、合わせ鏡に取り憑かれた男を襲う怪異など、悪夢のような短編を収録。
41

ついてくるもの
三津田信三
講談社
少女が廃屋で美しい雛人形を見つけ持ち帰る。その後、彼女の周りで不幸な出来事が頻発する。人形を処分しようとするも、なぜか手元に戻ってくる。恐怖を感じながらも人形を捨て続けるが、人形は必ず戻ってくる。少女は人形に付きまとわれる恐怖に怯える。
42

誰かの家
三津田信三
講談社
三津田信三の短編集。再会した友人が語る奇妙な話。それは幽霊屋敷と噂される奇妙な邸宅の話だった。無人ではなく、時折人影が見えるという。彼は悪友と、その館に忍び込む。日常の裂け目に潜む恐怖が迫りくる、怪異ホラー短編集。
43

怪談のテープ起こし
三津田信三
集英社
作家になる前の編集者時代、三津田信三はライターの吉柳から、自殺者が死の間際に残したメッセージを録音したテープを集めて記事にする企画を提案される。しかし、吉柳は突然失踪。後日、三津田の元に届いたテープには何が記録されていたのか。テープに記録された怪異な体験談と、それらを連載する裏話的なエピソードが展開される。
44

忌物堂鬼談
三津田信三
講談社
得体の知れない何かに追われる由羽希は、遺仏寺へ助けを求める。そこは祟られる「忌物」だらけの本堂だった。住職の天山天空は、彼女も忌物を持つと告げる。記憶を失った由羽希は、天空の調査中、毎夜寺で忌物にまつわる怪異譚を聞くことになる。やがて彼女自身に真の恐怖が迫る。
45

犯罪乱歩幻想
三津田 信三
KADOKAWA
三津田信三が江戸川乱歩の世界を再構築したミステリ短編集。退屈な日々を送る青年が体験する奇妙な出来事「屋根裏の同居者」、猟奇的な倶楽部への招待状「赤過ぎる部屋」、G坂で発生した殺人事件に遭遇するミステリ作家志望の「G坂の殺人事件」など、乱歩作品をモチーフにした刺激的な物語が展開される。