湊かなえの著作まとめ
湊かなえは広島県出身の日本の著名な推理作家です。2007年に「聖職者」で小説推理新人賞を受賞し、翌年刊行のデビュー作『告白』は2009年本屋大賞を受賞、映画化もされ大ヒットし社会現象となりました。人間の心の奥底に潜む悪意や嫉妬、後悔といった暗い感情を、複数の登場人物の視点から緻密に描き出す手法を得意とし、その読後感の悪さから「イヤミス(後味の悪いミステリー)の女王」と呼ばれています。巧みな心理描写と予測不能な展開は多くの読者を魅了し、『贖罪』、『Nのために』、『夜行観覧車』、『リバース』など多数の作品がベストセラーとなり、テレビドラマや映画化もされています。現代ミステリー界を牽引する人気作家の一人です。
小説一覧
1

告白
湊かなえ
双葉社
中学校教師の森口悠子は、娘を教え子に殺されたと告白する。犯人は少年AとB。少年法に守られた彼らに、森口は独自の復讐を開始する。物語は各章で語り手が変わり、事件の真相、生徒や家族の心情が複雑に絡み合い、衝撃的な結末へと向かう。
2

少女
湊かなえ
双葉社
高校2年の夏休み前、由紀と敦子は「死」に興味を持つ。由紀は病院で重病の少年の死を、敦子は老人ホームで入居者の死を目撃しようとする。それぞれの場所で出会う人々との関わりの中で、少女たちは「死」の意味を問い始める。しかし、彼女たちの行動は予期せぬ結末へと向かう。
3

贖罪
湊かなえ
双葉社
ある田舎町で少女エミリが殺害され、一緒に遊んでいた4人の少女は犯人の顔を思い出せない。エミリの母は少女たちに「償い」を要求。15年後、罪の意識を抱えながら生きてきた彼女たちは、過去の事件と向き合い、それぞれの形で「贖罪」を果たそうとする。しかし、それは更なる悲劇を招くことになる。
4

Nのために
湊かなえ
双葉社
超高層マンションで野口夫妻が殺害され、現場には20代の男女4人が居合わせる。それぞれの証言から事件の真相が明らかになるにつれ、彼らが抱く「N」への想いが浮かび上がる。Nのために罪を犯した彼らの、切なくも衝撃的な純愛ミステリー。
5

夜行観覧車
湊かなえ
双葉社
高級住宅街ひばりヶ丘に引っ越した遠藤家は、街のしきたりに苦しむ。唯一親しくしていた高橋家で、ある日突然、父親が殺害される事件が発生。高橋家の崩壊と、遠藤家の家庭内暴力、それぞれの家族が抱える秘密が、事件の真相を浮かび上がらせていく。観覧車が見下ろす街で、何が起こったのか。
6

往復書簡
湊かなえ
幻冬舎
過去の事件の真相が手紙のやり取りで明らかになる連作ミステリー。「十年後の卒業文集」では、結婚式で再会した元放送部員たちが過去の事故の真相を探る。「二十年後の宿題」では、教師が過去の事故を目撃した教え子たちの近況を報告する。「十五年後の補習」では、過去の事件で同級生を亡くした二人が手紙で事件の詳細を思い出す。手紙だからつける嘘、許せる罪、できる告白が描かれる。
7

花の鎖
湊 かなえ
文藝春秋
梨花は、祖母の入院費に困り、両親の死後に援助を申し出た「K」に手紙を出す。美雪は、子宝に恵まれず悩んでいたが、夫が転職した建築事務所で悲劇が起こる。紗月は、かつて想い合っていた浩一の妻から、夫を助けて欲しいと懇願される。3人の女性は「K」で繋がり、運命が交錯する。
8

境遇
湊かなえ
双葉社
絵本作家の陽子と新聞記者の晴美は親友。共に幼い頃に親に捨てられた過去を持つ。ある日、陽子の息子が誘拐され、「真実を公表しなければ命はない」と脅迫状が届く。晴美と共に奔走する陽子は、絵本のファンだという女性の存在を知る。犯人の示す「真実」が明らかになるとき、二人の境遇=人生の意味が浮き彫りになる。
9

サファイア
湊かなえ
角川春樹事務所
「サファイア」は、7つの宝石を題材にした短編集の一つ。きらびやかな宝石が持つミステリアスでダークな側面を、湊かなえならではの切り口で描かれています。各短編で人間の欲望や心理が描かれ、読者の感情を揺さぶる作品です。
10

白ゆき姫殺人事件
湊かなえ
集英社
美人OLが殺害され、容疑者として地味な同僚・城野美姫に疑惑が。ワイドショーやネットで噂が広まり、彼女の人物像は歪んでいく。フリーライター赤星は関係者に取材するうちに、噂の真相に疑問を抱く。美姫は魔女なのか、それとも…。噂が真相を覆い隠す、現代社会の闇を描くミステリー。
11

母性
湊かなえ
新潮社
女子高生が自宅で倒れているのが発見され、事故か自殺か世間が騒ぐ。遡ること11年前、台風の日に幸福は奪われた。母の手記と娘の回想が交錯し、真相が浮かび上がる。娘を愛せない母と、母に愛されたい娘。それぞれの視点から、母と娘の関係を描くミステリー。
12

望郷
湊かなえ
文藝春秋
瀬戸内の島々で生まれ育った人々の、故郷への愛憎を描いた連作短編集。「みかんの花」では、島を出て看護師として働く女性が、故郷の島で起きた事件と向き合う。「海の星」では、島で教師をする女性が、教え子の死を通して島の閉鎖性を感じる。「夢の国」では、本土の遊園地に行けなかった少女が、島に残ることを決意する。
13

高校入試
湊 かなえ
KADOKAWA
県下有数の公立進学校・橘第一高校の入試前日、新任教師の春山杏子は教室に「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を見つける。迎えた入試当日、試験内容がネット掲示板に実況中継されていく。学校側の対応が遅れる中、保護者からの糾弾、受験生たちの疑心暗鬼が広がる。杏子たち教員が事件解明に奔走するが、入試に関わる全員が容疑者となる。人間の本性をえぐり出したミステリー。
14

豆の上で眠る
湊かなえ
新潮社
小学一年生の結衣子の姉、万佑子が失踪。2年後、姉を名乗る少女が戻るが、結衣子だけは違和感を抱く。大学生になった今も拭えない疑念。「お姉ちゃん、あなたは本物なの?」辿り着いた衝撃の真実とは。姉妹の絆、家族の秘密、そして identity を問いかけるミステリー。
15

山女日記
湊 かなえ
幻冬舎
百貨店勤務の律子は結婚に悩む。「妙高山」登山で同僚・由美の不倫を知り苛立つ。翻訳家の希美は姉と「利尻山」へ。仕事の不満と姉への劣等感を抱く。帽子デザイナーの柚月は「トンガリロ」へ。かつての恋人との思い出と孤独を感じる。悩みや葛藤を抱えながら山を登る女性たちが、それぞれの光を見出す連作長編。
16

物語のおわり
湊 かなえ
朝日新聞出版
小説家を目指す女性が書いた未完の物語「空の彼方」は、北海道を旅する様々な人生の岐路に立つ人々にリレー形式で渡される。妊娠中の女性、夢を諦めたカメラマン、将来に悩む学生、夫婦関係に悩む中年、仕事に疲れた女性など、各々が物語の結末を想像し、自身の人生と重ね合わせる。それぞれの解釈を通じて、彼らは新たな決意を胸に未来へと歩み出す。
17

絶唱
湊かなえ
新潮社
作家になった土居千晴が、トンガで出会った尚美に宛てた手紙という形式で物語は進む。阪神淡路大震災で友人を亡くした後悔を抱え、誰かのために何もできない自分を認識した千晴は、逃げるようにトンガへ。そこで出会った尚美との交流を通し、過去と向き合い、小説を書き続けられることに感謝する。喪失と再生、そして希望が描かれる。
18

リバース
湊かなえ
講談社
深瀬和久は平凡なサラリーマン。趣味はコーヒーを淹れること。ある日、越智美穂子と出会い恋人となるが、「深瀬和久は人殺しだ」という告発文が届く。深瀬は過去を語り始める。大学時代、ゼミ仲間と旅行中に起きた事故、親友の死。隠された真相を究明するミステリー。
19

ユートピア
湊かなえ
集英社
太平洋を望む港町・鼻崎町。大手食品会社勤務者、地元住民、移住芸術家など様々な人々が暮らす。仏具店を営む菜々子の娘は事故で車椅子生活。陶芸家のすみれは娘を広告塔に福祉ブランドを立ち上げるが、「歩けるのでは?」という噂が広まり始める。母親たちの価値観や秘密が顕わになる中、子供たちが行方不明になる。
20

ポイズンドーター・ホーリーマザー
湊 かなえ
光文社
湊かなえの短編集。母と娘の関係を軸に、愛憎や葛藤を描く。「ポイズンドーター」では、毒親に苦しむ娘と友人の視点から真実が覆される。「ホーリーマザー」では、聖母のような母の裏の顔が暴かれる。それぞれの立場で語られる物語は、人間の複雑な心理と、ままならない関係性を描き出す。
21

未来
湊かなえ
双葉社
ある日、章子のもとに未来の自分から手紙が届く。それは、家にも学校にも居場所のない少女を救う手紙だった。過去に辛い経験をした小学校教師、AV出演を暴露され退職。未来の自分からの手紙に隠された真相とは? 湊かなえが描く、衝撃のミステリー。
22

ブロードキャスト
湊 かなえ
KADOKAWA
陸上の夢を絶たれた圭祐は、放送部へ。そこで脚本家志望の正也と出会い、ラジオドラマ制作に没頭する。全国高校放送コンテストを目指す中、制作の方向性を巡り部内で対立が勃発。圭祐は新たな夢を見つけられるのか。青春小説。
23

落日
湊かなえ
角川春樹事務所
映画監督の長谷部香は、15年前の笹塚町一家殺害事件を題材に映画を撮りたいと考え、脚本家の甲斐真尋に脚本の相談を持ちかける。事件は、引きこもりの兄が妹を刺殺、放火して両親も死亡したというもの。香は、殺された女子高生・沙良と幼い頃に交流があった。真尋は事件を調べるうちに、沙良の悪評や、姉が事件に関わっていたことを知る。
24

カケラ
湊かなえ
集英社
美容外科医の橘久乃は、幼馴染の志保から「痩せたい」と相談を受ける。カウンセリングの中で、同級生の横網八重子の娘、有羽が自殺したことを知る。有羽はドーナツに囲まれて亡くなっていたという。久乃は有羽の死の真相を探るため、関係者に話を聞いていく。周囲の証言は食い違い、それぞれの主観や憶測が入り混じる。有羽はなぜ死を選んだのか、真相を追うミステリー。
25

ドキュメント
湊 かなえ
KADOKAWA
事故で陸上を諦めた圭祐は放送部へ。ドローン撮影中、陸上部員・良太の喫煙を発見。真相を探ると意外な人物が。部員同士の関係がギクシャクし、作品作りは困難に。事件の真相とは?放送部は再び一つになれるのか? 興奮と感動の部活小説。
26

残照の頂 続・山女日記
湊かなえ
幻冬舎
亡き夫への後悔を抱く女性、人生に迷う会社員、失踪した仲間を思う音大生、娘の夢を応援できない母親。山を舞台に、それぞれの思いを抱える女性たちの物語が展開されます。過去を認め、未来へ進む彼女たちの姿を描いた連作小説です。
27

人間標本
湊 かなえ
KADOKAWA
高名な画家の息子である昆虫学者の榊史朗は、美少年を蝶に見立て標本にする。手記には、少年達を蝶に見立てて標本にしていく様子が綴られていた。5体目の標本が完成し、最高傑作として息子を標本にしようとする。事件の真相を追ううちに、意外な人物が事件に関わっていることが明らかになる。
28

山猫珈琲
湊 かなえ
双葉社
「山」「猫」「珈琲」は著者が大切にしているもの。上巻は、著者初の書き下ろしエッセイ集で、雑誌に寄せたエッセイや、シナリオ応募から小説家デビューまでを綴った連載などが収録されている。地方での生活、青年海外協力隊時代の話、家族との日常を通して、作家・湊かなえがどのように誕生したのかが描かれている。