綾辻行人の著作まとめ
綾辻行人は1960年京都府生まれの推理作家。京都大学大学院在学中の1987年に『十角館の殺人』でデビューし、本格ミステリに新たな潮流をもたらす「新本格ムーヴメント」の先駆けとなった。同作から始まる「館」シリーズは、奇抜な館で起こる連続殺人を扱い、緻密な論理と驚愕の結末で人気を博す。特に、読者の先入観を巧みに利用する叙述トリックを得意とし、多くの作品でどんでん返しが見られる。1992年には『時計館の殺人』で日本推理作家協会賞、2018年には日本ミステリー文学大賞を受賞。ホラー要素の強い作品も多く手掛け、『Another』シリーズなどもベストセラーとなっている。妻は小説家の小野不由美。
小説一覧
1

十角館の殺人
綾辻行人
講談社
角島にある十角館。半年前に起きた殺人事件の真相を確かめるため、大学のミステリ研メンバー7人が合宿に訪れる。しかし、館内で一人ずつ殺されていく。一方、本土では、元ミス研メンバーの江南のもとに死んだはずの中村青司から手紙が届き、過去の事件を調査し始める。島と本土、2つの視点から事件の真相が明らかになる。
2

水車館の殺人
綾辻行人
講談社
岡山県にある奇妙な建築「水車館」で、家政婦の転落死と焼却炉での遺体発見が起こる。犯人と思われた人物は行方不明に。一年後、再び館で殺人事件が発生。探偵・島田潔は、行方不明の友人の真相を追う。過去と現在が交錯する中、隠された真相が明らかになる。
3

迷路館の殺人
綾辻行人
講談社
推理作家・宮垣葉太郎が建てた奇妙な地下の館「迷路館」。宮垣は還暦祝いに招いた作家たちに、館を舞台にした推理小説の競作を遺言で指示する。莫大な遺産を賭け競作に挑む作家たちだが、小説の内容通りに殺人が発生。密室と化した館内で、連続殺人事件が幕を開ける。
4

人形館の殺人
綾辻行人
講談社
彫刻家の父が遺した京都の屋敷「人形館」に、飛龍想一は叔母と移り住む。屋敷にはマネキン人形が置かれ、街では通り魔殺人が続発。想一は脅迫を受け、旧友・島田潔に助けを求める。過去と連続殺人、メッセージが複雑に絡み合い、破滅へのカウントダウンが始まる。
5

時計館の殺人
綾辻行人
講談社
大手出版社に勤める江南は、オカルト雑誌の取材で、10年前に少女が死亡した時計館へ。霊能者や大学研究会メンバーと調査を行うが、参加者が次々と殺害される。一方、館の外では、推理作家の鹿谷が時計館の謎を追う。凄惨な連続殺人の果てに驚愕の結末が待つ。
6

黒猫館の殺人
綾辻行人
講談社
稀譚社の編集者・江南は、記憶喪失の老人・鮎田から奇妙な依頼を受ける。鮎田は、自分が管理人をしていた「黒猫館」で起きた殺人事件の手記を所持しており、その内容を元に記憶を取り戻したいという。江南は推理作家・鹿谷と共に事件の真相を追うことになる。
7

暗黒館の殺人
綾辻行人
講談社
熊本の孤島に建つ黒い館、暗黒館。大学生の中也は当主の息子、玄児に招かれ奇妙な宴に参加する。嵐で外界と隔絶された館で連続殺人が発生。ダリアの宴の真実、浦登家の秘密が明らかになるにつれ、謎は深まる。幻想的な世界観で描かれる長編ミステリー。
8

びっくり館の殺人
綾辻行人
講談社
お屋敷町の「びっくり館」で、少年・三知也は不思議な少年トシオと出会う。奇妙な噂、風変わりな人形、そしてクリスマスの夜に密室殺人が発生!三知也は、館に住む少年と友だちになるが、少年の祖父が演じる異様な腹話術劇におののく。悪夢の果てに待ち受ける戦慄の真相とは!?
9

奇面館の殺人
綾辻行人
講談社
推理作家・鹿谷門実は、容姿が似た日向京助から、富豪・影山逸史の別荘での集まりに身代わりとして出席を依頼される。会場の奇面館では、招待客は仮面を被るルールがあった。翌朝、影山と思われる頭部と指が欠けた死体が発見され、客たちは仮面を外せなくなる。吹雪で孤立した館で、鹿谷は事件の謎に挑む。
10

緋色の囁き
綾辻行人
講談社
名門女子学園に転校した冴子は、ルームメイトの焼死をきっかけに連続殺人事件に巻き込まれる。学園には陰鬱な雰囲気が漂い、生徒たちは秘密を抱えていた。「私は魔女なの」という謎の言葉、そして冴子自身の過去に隠された赤い記憶が、事件の真相に迫っていく。閉鎖的な学園で繰り広げられる恐怖と狂乱を描いた物語。
11

暗闇の囁き
綾辻行人
講談社
黒髪を切られた女性家庭教師、眼球と爪を奪われた従兄と母。美貌の兄弟の周りで連続する異様な死。遠い記憶の闇から響く「囁き」が呼び覚ますものは何か?「緋色の囁き」に続く、異色の長編推理「囁き」シリーズ第二弾。
12

黄昏の囁き
綾辻 行人
講談社
医学生の翔二は、兄の急死の報を受け帰郷。事故として処理された兄の死に不審を抱き、真相を追う。幼馴染たちは「ね、遊んでよ」という謎の言葉に怯え、次々と殺されていく。翔二は封印された幼い日の記憶に、事件の鍵が隠されていることに気づく。
13

殺人方程式 切断された死体の問題
綾辻行人
講談社
新興宗教団体の教祖が、儀式中に神殿から姿を消し、頭部と左腕を切断された死体で発見される。厳重な監視をかいくぐり、不可能犯罪はいかにして行われたのか?2ヶ月前の前教祖の奇妙な死との関連は? 警視庁の刑事の双子の兄が、事件の謎に挑む。
14

鳴風荘事件 殺人方程式II
綾辻行人
講談社
1982年、女流作家・美島紗月が惨殺された。6年後、妹・夕海そっくりの姿に変貌した深雪は、夫の双子の兄・響と鳴風荘へ。そこは10年前にタイムカプセルを埋めた場所だった。しかし翌朝、夕海が殺害され、髪が切り取られていた。過去の事件と酷似した状況下、深雪は再び事件に巻き込まれる。
15

殺人鬼 覚醒篇
綾辻 行人
KADOKAWA
双葉山を訪れたTCメンバーズの8人は、謎の大男による惨殺に遭う。メンバーは次々と殺され、恐怖に怯えながら逃げ惑う。生き残りをかけた死闘の末、衝撃の結末が待ち受ける。叙述トリックが仕掛けられた、残酷描写満載のホラーミステリー。
16

殺人鬼 逆襲篇
綾辻 行人
KADOKAWA
双葉山の惨劇から3年、殺人鬼が再び現れた。他人の目になる能力を持つ少年・真実哉は、休暇中の家族が次々と殺される現場に遭遇する。殺人鬼は山を下り麓の街へ。病院や家庭を地獄に変える。真実哉は殺人鬼に立ち向かうが、絶望的な闘いの末に驚愕の結末が待っていた。
17

深泥丘奇談
綾辻 行人
KADOKAWA
ミステリ作家である「私」が住む、もう一つの京都「深泥丘」。そこは日常に潜む怪異が蠢く場所。古い病院の壁、丘の向こうの鉄路、長雨の日、送り火の夜…。奇妙で魅惑的な出来事が「私」の日常を侵食し、見慣れた風景を一変させる。9つの短編で綴られる、怪談小説集。
18

深泥丘奇談・続
綾辻 行人
KADOKAWA
ミステリ作家である「私」は、古都・京都の深泥丘で体験する数々の怪異に遭遇する。廃神社に響く鈴の音、閏年に狂い咲く桜、神社で起きた死体切断事件など、幻想と恐怖に彩られた物語が展開され、「私」は妖しい目眩とともに異界へと誘われていく。読む者の現実を揺さぶる、変幻自在の怪談集。
19

深泥丘奇談・続々
綾辻 行人
KADOKAWA
ミステリ作家の「私」が住む、もう一つの京都「深泥丘」。妖しい目眩とともに異界の扉が開き、日常が怪異に侵食されていく。深泥丘病院の奇妙な医師や看護師、土地に根付く言い伝え、そして「私」自身を彷彿とさせる存在が、円環状に閉じた世界で奇妙な物語を紡ぐ。恐ろしくも魅惑的な怪談集。
20

Another
綾辻 行人
KADOKAWA
1998年春、夜見山北中学に転校してきた榊原恒一は、クラスの異様な雰囲気に気づく。クラスメイトたちは何かに怯え、隠している様子。彼は眼帯をした少女、見崎鳴に惹かれるが、謎は深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げ、クラスに隠された秘密が明らかになっていく。
21

Another エピソードS
綾辻 行人
KADOKAWA
1998年夏、見崎鳴は両親と海辺の別荘へ。そこで彼女は、11年前に起きたバス事故の生存者である賢木晃也の幽霊と出会う。賢木は事故後の記憶を失い、自分の死体を探していた。鳴は彼に協力し、謎めいた湖畔の屋敷で、幽霊と共に死体探しの冒険を始める。やがて、賢木の死の真相と幽霊の正体に隠された真実が明らかになる。
22

Another 2001
綾辻 行人
KADOKAWA
1998年の災厄から3年後、2001年。夜見山北中学3年3組に、3年前見崎鳴と出会った少年・比良塚想が入学する。今年も死者が紛れ込む「現象」に備え対策を講じる想たちだが、クラスの不安と疑心が募り、惨劇が幕を開ける。榊原恒一の助言を得て事態に立ち向かうも、残酷な死の連鎖と謎が深まっていく。
23

霧越邸殺人事件
綾辻 行人
KADOKAWA
劇団「暗色天幕」の一行は、慰安旅行中に吹雪で信州の山奥にある霧越邸に迷い込む。そこは奇妙な洋館で、怪しい住人たちが彼らを迎え入れる。外界から閉ざされた邸内で、劇団員たちは不可思議な現象に遭遇し、やがて童謡に見立てた連続殺人事件が発生する。
24

眼球綺譚
綾辻 行人
KADOKAWA
『眼球綺譚』は、綾辻行人が狂気と幻想の世界へ誘うホラー短編集です。全編を通して「由伊」という名の女性が登場しますが、それぞれ異なる物語で重要な役割を担っています。再生する妻を待ち続ける男、ゲテモノ料理を嗜む夫婦、誕生日にナイフを贈られる女性など、奇妙で恐ろしい物語が展開されます。表題作では、無差別殺人の謎と甘美な記憶が交錯し、読者を恐怖へと突き落とします。
25

フリークス
綾辻 行人
KADOKAWA
狂気の科学者J・Mは、5人の子供に人体改造を施し「怪物」と呼んで虐待。ある日、彼は惨殺される。精神病院を舞台に、3つの中編で構成され、患者の日記を挟み込み、ミステリーとホラーが展開される。異常な愛、記憶喪失、二重人格など、読者を深淵へと誘う異色作。
26

どんどん橋、落ちた
綾辻行人
講談社
ミステリ作家・綾辻行人のもとに持ち込まれる難事件の数々。崩落したどんどん橋の向こう側で、殺しはいかにして行われたのか?表題作「どんどん橋、落ちた」や、「伊園家の崩壊」など、5つの超難問“犯人当て”作品集。読者に挑戦する、驚愕必至の短編集。
27

最後の記憶
綾辻 行人
角川書店
若年性認知症を患い記憶を失いつつある母・千鶴。彼女に残されたのは、幼い頃の凄まじい恐怖の記憶だけだった。白い閃光、ショウリョウバッタの飛ぶ音、子供たちの悲鳴…。死を前に苦しむ母を救うため、息子の森吾は母の記憶の謎を追う。
28

怪談えほん(8) くうきにんげん
綾辻 行人
岩崎書店
「くうきにんげん」は、誰も気づいていないけれど世界中にたくさんいる。普通の人間を襲って空気に変えてしまう。もしかしたら、あなたのそばにもいるかもしれない。綾辻行と牧野千穂が見えない魔物を描く。