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メタルギアソリッドポータブルオプス|ネタバレ徹底解説・あらすじ

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メタルギアソリッド ポータブル・オプス(MPO)』は『メタルギアソリッド3 スネークイーター』から6年後の出来事を描いたメタルギアシリーズの作品です。1970年冷戦下の南米コロンビア沿岸に位置する架空の地「サンヒエロニモ半島」を舞台とするこのエピソードは、ネイキッド・スネーク(後のビッグ・ボス)の伝説となります。この記事では、あらすじ、登場人物、ネタバレ、感想などをまとめています。

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あらすじ

「BIGBOSS」の称号を得て除隊していたスネークは、突如謎の武装集団に拉致され、拘置所で目を覚ます。そこでスネークを待ち受けていたのは、FOX部隊の捕虜尋問官カニンガムによる「賢者の遺産」の在り処を巡る尋問だった。スネークは同じく拘束されていた若きグリーンベレー隊員ロイ・キャンベルと出会い、共に脱出を試みることになる。
その後、スネークは、通信によってスネーク自身もかつて所属したFOX部隊の反乱を知る。首謀者としてゼロ少佐が国家反逆罪で拘束され、スネーク自身も手配されていた。東側・西側の両陣営から追われる身となったスネークは、自らの潔白を証明し、真の首謀者を捕らえるため、敵兵をも仲間に引き入れながら新たな部隊「FOXHOUND」を結成。ジーン率いる反乱部隊FOXの鎮圧、さらには、奪われた新型兵器「メタルギアRAXA」の破壊、そして謎の組織「サイファー」の企みとその首謀者ジーンの真の目的である傭兵国家アーミーズ・ヘブンの創設阻止へと乗り出す。

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登場人物

  • ネイキッド・スネーク
    スネークイーター作戦で世界を救いBIGBOSS(ビッグ・ボス)の称号を得た伝説の元FOX隊員。本作では、自身の部隊を率いて指揮官としての才能を開花させ、FOXHOUND創設の礎を築くことになります
  • ロイ・キャンベル
    若き日のグリーンベレー隊員。サンヒエロニモ半島で部隊を壊滅させられ捕虜となるが、スネークと共に脱出。戦闘には参加せず、情報収集や捕虜尋問、無線サポートでスネークを支えます。のちにFOXHOUND総司令官となる片鱗をみせています
  • ジーン
    FOX隊員で今回の反乱の首謀者。コードネームは「ヴァイパー」。強力なESP能力とカリスマ的な演説力で兵士を操ります
  • カニンガム
    FOXの捕虜尋問官。コードネームは「ボア」。戦闘で片足を失った恨みからFOXの母体であるCIAに不満を抱く
  • パイソン
    FOX隊員で、スネークのかつての戦友。北ベトナムでの作戦で死亡したと思われていましたが、CIAによって「アンチスネーク兵士」として生かされていました。体温調節機能に異常が生じ、常に液体窒素を満たした特殊な冷却スーツを装着しています
  • ヌル(フランク・イェーガー)
    FOX隊員で「絶対兵士」と呼ばれる青年兵士。後のグレイ・フォックス。任務の度に記憶と感情をリセットされていましたが、スネークと相対することで過去の記憶が蘇ります
  • ウルスラ / エルザ
    ジーンに付き従うFOXの「少女隊員」。ウルスラは強力なESP能力を持ち、エルザはFOXの医療チーフ。エルザは核兵器を嫌悪し、スネークに協力しますが、ジーンの覚醒によりウルスラとしてメタルギアRAXAを操りスネークと対峙します
  • ゼロ少佐
    特殊部隊FOXの創設者であり指揮官。表向きは国家反逆罪で拘束されていますが、裏ではオセロットと共謀し、賢者の遺産を手に入れるための一連の事件を仕組んだ黒幕の一人です
  • パラメディック
    バーチャスミッションおよびスネークイーター作戦でビッグ・ボスの医療サポートを務めた人物。本作ではシアトルでパラメディック制度を導入しており、スネークの無線連絡に答えてFOXの現状を伝えます
  • シギント
    元FOX隊員で、スネークイーター作戦でビッグ・ボスの技術サポートを務めた人物。ARPAnetの立ち上げに貢献していました。スネークに事態の詳細を伝え、部隊結成を提案します
  • オセロット
    ソ連GRUの少佐であり、CIAおよび賢者達の三重スパイ。ゼロ少佐と共謀し、ジーンを操って核攻撃の危機を演出することで、CIA長官から「賢者の遺産」を回収するという壮大な計画を実行に移します
  • ジョナサン
    元ソ連兵。ジーンの思想に賛同していましたが、スネークとキャンベルの説得により最初にスネークの仲間となります。スネークへの忠誠心を見せ、彼の命を救うために犠牲となります
  • ニコライ・ステパノヴィッチ・ソコロフ(ゴースト)
    シャゴホッドの設計者。ヴォルギン大佐に殺されたと思われていましたが生還し、ジーンに強制収容所から助け出されたことで恩義を感じ、メタルギア開発に携わります。しかし、計画の真意を知り「ゴースト」と名乗ってスネークに情報を提供します
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ネタバレ

今回の反乱の首謀者であるジーンの正体は、ザ・ボスをモデルに相続者計画によって造られた「最高の指揮官」です。ジーンは「兵士が充足する戦場」を世界に創出するため、実体のない闇の傭兵国家「アーミーズ・ヘブン」の創設を目論んでいました。そして、形骸化した賢者達の支配から世界を解き放ち、新たなパワーバランスを築こうともしていました。
最終的にスネークに敗れ去るものの、スネークに自身の野望とアーミーズ・ヘブンのデータ、人材、資金を託し、将来必要になると予言して息を引き取ります。

ウルスラとエルザの双子の少女は実は同一人物で、人工的に超能力を開発する過程で二重人格となっていました。エルザは最終的にジーンにナイフで刺されながらも、ジーンの思考を読んで核発射を阻止します。このとき、エルザは「ウルスラが見た未来も自分がが見た未来も同じ物だった」「メタルギアを破壊するのもあなた、新たなメタルギアを作るのもあなた」「あなたの息子が世界を滅ぼし、あなたの息子が世界を救う」という、スネークの未来、ひいてはシリーズ全体の未来を暗示する予言を残して絶命します。

「絶対兵士ヌル」は、ソリッド・スネークの宿敵となるグレイ・フォックスの少年時代です。彼はモザンビークの反政府ゲリラで少年兵フランク・イェーガーとして活動していた頃にスネークと出会い、救われた過去を持っていました。ジーンの命令でスネークと戦い、一度は捕らえますが、スネークとの二度目の戦いで記憶を取り戻し、再びスネークに救われます。

カニンガムは国防省と繋がり、CIAの弱体化を図るため、ジーンを利用して今回の事件を仕組んでいました。スネークを連行したのも、ジーンを追い詰めてメタルギアを使わざるを得ない状況にし、CIAに致命的な打撃を与えるためでした。彼は核砲弾で基地ごとスネークを始末しようとしますが、スネークに敗れ、自らの乗るフライングプラットフォームの爆発に巻き込まれて死亡します。

スネークイーター作戦の真相についても、ジーンの口から衝撃的な解釈が語られます。MGS3で描かれたヴォルギン大佐の凶行やザ・ボスの死は、すべて「国と国を憂う奸智に富む一人の策略家」によって仕組まれたものであったとジーンは主張。スネークはその策略家の正体を問いますが、ジーンは答えず「ジャック、私につけ」と誘うに留まります(策略家は他のシリーズ作品からゼロ少佐と考えられます)。

エンディング後にはオセロットの暗躍が描かれます。オセロットは米国「賢者達」の一員であるCIA長官を暗殺し、残りの「賢者の遺産」を回収。その直後、オセロットは裏で通じていたゼロ少佐と思われる人物と電話で会話し、絶対兵士の戦闘データや遺伝子を利用した新たな計画に着手すること、そして「愛国者達」を創設するために「BIGBOSSの協力が欲しい」と進言します。これは、MGSシリーズにおける「愛国者達」の誕生、そしてその後のビッグ・ボスとの確執へと繋がります。

ポータブル・オプスのストーリーには、メタルギアシリーズ全体に関わる重要な事実が登場していますが、スピンオフ作品という位置づけのため、のちのシリーズ作品と矛盾が生じていたりもします(詳しくは矛盾点の項目に記載)

ポータブル・オプスの位置づけ

この作品の扱いは発売後のコナミの方針や小島秀夫監督の発言によって変化しております。メインとなるメタルギアシリーズ作品との相違点もありますが、公式は完全にシリーズ外作品と断定しているわけではありません。

公式の扱い

発売当初、MPOは『メタルギアソリッド3』とMSX版『メタルギア』の間の「ミッシングリンク(空白期間)」を埋める「正統続編」として大々的にプロモーションされました。小島監督自身も2006年当時のインタビューでMPOを「サーガを補間する非常に重要な物語」と語り、メタルギア20周年記念サイトではサーガの一部として紹介され、2008年発売の『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(MGS4)』の作中デモシーンでもMPOの映像が引用されるなど、当初は正史として強力に推されていました。

しかし、2010年に小島監督が自ら監督・脚本を手掛けた『メタルギアソリッド ピースウォーカー(MGSPW)』が発売された頃から、MPOの公式における扱いは変化し始めます。MGSPWがMGS3とMGの間の空白を埋める新たな物語として登場したことで、MPOはシリーズ紹介や年表から除外されるようになりました。
小島監督は2014年のインタビューで、自身が「監督」を務めた作品(A HIDEO KOJIMA GAME)と「プロデューサー」を務めた作品を区別していると発言しており、MPOはこの後者に該当します。この棲み分けの背景には、MGSPW以降の監督作品がMPOの整合性に縛られずに開発を進めたいという小島監督の意向があったと推測されています。

しかしながら、完全にMPOがシリーズから切り離されたわけではありません。小島監督退社後の2023年に発売された『メタルギア ソリッド:マスターコレクション Vol.1』に付属するデジタルマスターブックに、MPOは「正史につながる出来事を描いたスピンオフ作品」と明記され、年表にも「サンヒエロニモ半島事件」が記載されています。

矛盾点

MPOには、小島監督作品と矛盾する点がいくつかあります。

  • グレイ・フォックス(ヌル)の経歴と年齢
    MPOでは、ヌルが1966年のモザンビーク独立戦争でビッグ・ボスと初めて出会い、救われたと語られます。しかし、MSX2版『メタルギア2 ソリッド・スネーク』では、ビッグ・ボスとの最初の出会いは故郷ベトナムでの強制労働時、その後モザンビークの戦場で再び救われたとされており、経歴に矛盾が生じます。また、MPOでのヌルの容姿から1970年時点で10~15歳と推測される彼の年齢は、『MGS1』でナオミ・ハンターが1980年代に「兄も少年兵士だった」と語る内容と照らし合わせると、当時のフランクが20代であることから「少年兵士」とは言えない年齢となります
  • オセロットとゼロ少佐の会話
    MPOのラストでオセロットがゼロ少佐と思われる人物と交わす会話には、『MGS4』以降で語られた「愛国者達」の創設経緯と矛盾する部分があります。オセロットが「愛国者達」となるためにビッグ・ボスの協力が必要だと進言する場面は、MGS4で描かれる「恐るべき子供達計画」が、ビッグ・ボスへの反発からゼロ少佐自身が発案したという事実と合致しません。また、MPO時点ではまだ「愛国者達」の創設に至っておらず、その「計画」の目的が明確でない点も問題視されます。さらに、『メタルギアソリッドV ファントムペイン(MGSV:TPP)』では、創設当初「愛国者達」は「サイファー」と呼ばれており、オセロットが「愛国者達」という名称に苦言を呈する描写があるため、MPOで彼がそのワードを口にしていることにも矛盾が生じます
  • スネークイーター作戦の真相
    ジーンが語る「スネークイーター作戦は、ザ・ボスの死も含めてすべて『奸智に富む一人の策略家』によって仕組まれた」という真相は、後の作品で語られるゼロ少佐のザ・ボスへの個人的な敬愛や、彼がザ・ボスを失ったことに傷心したという描写と矛盾する可能性があります。MGS4やMGSPW、MGSV:TPPでは、ゼロ少佐がザ・ボスへの畏敬の念から「愛国者達」を創設したことが示唆されており、最初から彼女の死を計画していたとは考えにくいからです。また、MGSPWでCIA中米支局長ホット・コールドマンが「あの作戦は私が立案した」と発言していることも、ジーンの話との辻褄が合わない点として挙げられます

感想

携帯ゲーム機であるPSPの可能性を最大限に引き出した意欲作といえます。GameRankingsで86.95%、Metacriticで87/100という高評価を獲得し、ファミ通ゲームアワード2006のポータブル賞を受賞するなど、各メディアで絶賛されました。

最大の魅力は、従来の「戦略諜報アクションゲーム」をPSPで再現しつつ、革命的な新システムを導入した点にあります。主人公であるスネークだけでなく、捕らえた敵兵を味方にしてチームを編成し、交代で任務を遂行するという「仲間集め」と「部隊編成」の要素は、後の『メタルギアソリッド ピースウォーカー』や『メタルギアソリッドV』におけるマザーベース、FOBといったシステムへと発展します。諜報、技術、医療といったサポートチームを編成することで、ミッション攻略に戦略的な楽しみと自由度を与えています。

また、PSPの無線LAN機能を活用したオンライン対戦、すれ違い通信による兵士トレード、APスキャンによる兵士獲得、GPSレシーバー連携など、当時の携帯ゲーム機としては最先端のコミュニケーション要素を盛り込んでいました。さらに、リアルタイムポリゴンデモではなく、アシュレイ・ウッド氏によるコミック形式のイベント演出はシリーズ独特のシリアスかつアーティスティックな世界観を見事に融合させています。

ストーリー面では、ネイキッド・スネークが「BIGBOSS」から「FOXHOUND」を創設し、後の「OUTER HEAVEN」へと至るまでの「ミッシングリンク」が描かれています。若き日のロイ・キャンベル、そして後のグレイ・フォックスとなるヌルとの出会いは、シリーズファンにとっては、とても興奮する内容になっています。ザ・ボスの真意、スネークイーター作戦の裏側、そして「愛国者達」誕生の序章が描かれるなど、シリーズ全体の壮大な物語の深部に触れる重要な内容が盛り込まれており、その正史性が議論されることも含めて、メタルギアサーガをより深く理解し、考察するための不可欠なピースとなっています。

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