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メタルギアソリッド3/デルタ|ネタバレ徹底解説・あらすじ【スネークイーター】

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メタルギアソリッド3 スネークイーター(METAL GEAR SOLID 3: SNAKE EATER)』は、コナミからPS2用ソフトとして2004年12月16日に発売されたゲームで、2025年8月にはリメイク版の『メタルギアソリッドΔ(デルタ)』が発売されます。メタルギアシリーズのナンバリング第5作目ですが、時系列としてはシリーズの最も初期を描いており、ビッグ・ボス誕生の物語となっています。なお、3とΔのストーリーは同じとされています。この記事では、スネークイーターのあらすじと登場人物、用語集、ネタバレなどをまとめています。

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あらすじ

1964年冷戦下のソ連領ツェリノヤルスク――CIAの特殊部隊「FOX」に所属するネイキッド・スネーク(のちのビッグ・ボス)は、ソ連の兵器開発者ソコロフの亡命支援という初の実戦任務「ヴァーチャスミッション」に挑むことになる。順調にみえた作戦だったが、突然スネークの師であり伝説の兵士ザ・ボスがソ連への亡命を宣言。GRUのヴォルギン大佐に小型核弾頭「デイビークロケット」を手渡してしまう。ヴォルギンは小型核弾頭をソコロフ設計局に撃ち込み、米ソは一触即発の事態に陥り、スネークは重傷を負うことになる。

ヴァーチャスミッションの失敗から1週間後、事態を収拾するため、アメリカ政府はザ・ボスを抹殺する「スネークイーター作戦」を発動。この任務を託されたスネークは、師を殺すという作戦に苦悩することになる。
再びソ連に潜入したスネークは、KGBの内通者と名乗る美女EVAの協力を得ながら、コブラ部隊の隊員たちやヴォルギン大佐と死闘を繰り広げる。

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登場人物

  • ネイキッド・スネーク(ジョン / ジャック)
    主人公。後のビッグ・ボス。師であるザ・ボスを深く尊敬し、その教えと葛藤の中で成長していく。右目を失明し、眼帯を着用するようになる
  • ザ・ボス(ザ・ジョイ)
    スネークの師であり「特殊部隊の母」と称される伝説の兵士。コブラ部隊のリーダー
  • EVA(エヴァ / タチアナ)
    KGBの諜報員を名乗る美女で、スネークの協力者。バイクを好み、情報提供や装備の調達を行う。その正体は複雑
  • ゼロ少佐(トム少佐 / デイビット・オウ)
    FOX部隊の司令官。スネークの上官であり、作戦を指揮する。イギリス文化と007シリーズを愛する
  • パラメディック
    医療支援担当。スネークの負傷治療や健康管理をサポート。B級映画とクローン技術に強い関心を持つ
  • シギント
    兵器や軍事技術の専門家。装備の調達や解説を行う。後のDARPA局長ドナルド・アンダーソン
  • ヴォルギン大佐
    GRU所属のタカ派軍人。「賢者の遺産」を相続し、世界支配を目論む残忍な拷問マニア。帯電体質の持ち主
  • オセロット(アダムスカ)
    GRU精鋭部隊「山猫部隊」の隊長。若き日のリボルバー・オセロット。射撃の腕は一流だが、未熟さも持つ
  • コブラ部隊
    ザ・ボスが率いる特殊部隊。メンバーはそれぞれ独自の感情をコードネームにしている (ザ・ソロー、ザ・ペイン、ザ・フィアー、ジ・エンド、ザ・フューリー)

    • 深淵なる悲哀 ザ・ソロー
      コブラ部隊の元隊員。戦場で「哀しみ」を見出した人物。霊媒能力に長けた霊媒兵士(シャーマン)。ザ・ボスの最高のパートナーであり、オセロットの実父。1962年にザ・ボスによって殺害されており、ゲーム中では亡霊として登場
    • 至高の痛み ザ・ペイン
      コブラ部隊の元隊員。戦場で「痛み」を見出した人物。「蜂兵士」と呼ばれ、大量の蜂を自在に操る
    • 至純の恐怖 ザ・フィアー
      コブラ部隊の元隊員。戦場で「恐怖」を見出した人物。腕の関節が二重になっており、奇怪な移動と素早い動きが特徴。「蟻蜘蛛兵士」とも呼ばれる
    • 真実の終焉 ジ・エンド
      コブラ部隊の元隊員。戦場で「終焉」を見出した人物。老齢の狙撃兵で、年齢は100歳を超える。「現代狙撃技術の考案者」とされる。光合成能力を持つ寄生虫により若々しい肉体を保つ。森と会話ができ、観測手なしで狙撃を行う。麻酔銃に改造したモシン・ナガンを使用
    • 無限の憤怒 ザ・フューリー
      コブラ部隊の元隊員。元宇宙飛行士で「火焔兵士」と呼ばれる。火焔放射器を操り、ロケットブースターで飛行する。大気圏突入時の事故で全身に大火傷を負い、痛覚を失う。その際に「怒り」を見出した。コブラ部隊で唯一、戦場以外の場所で感情を見出した人物
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用語集

ゲームをより深く理解するために知っておきたい主要な用語の解説です。

ゲームシステム

CQC(Close Quarters Combat)
「近接格闘術」の略。本作で新たに導入された戦闘システムで、ナイフと拳銃を同時に用いた格闘術。相手を拘束したり、投げたり、尋問したりと、ステルス行動から直接戦闘まで幅広い状況で活用できます。ザ・ボスとネイキッド・スネークによって考案されたという設定です
カムフラージュ率
スネークが周囲の環境にどれだけ溶け込んでいるかを示す数値。フェイスペイントや迷彩服を状況に合わせて選択することで数値が変化し、高いほど敵兵に発見されにくくなります。移動方法(走る、歩く、忍び歩き)によっても変動します
サバイバルビュアー
ゲーム中でスネークの負傷治療や食事を行うためのメニュー画面。ジャングルでのサバイバル生活を表現するために導入されました。ここで野生の動植物を食料にしたり、受けた傷を応急処置したりします
スタミナゲージ
スネークの体力と空腹度を兼ねたゲージ。食事を取ることで回復し、極度に減少すると空腹音が鳴り、敵に気づかれやすくなるなど、行動に影響が出ます
HALO降下(高高度降下低高度開傘)
「High Altitude Low Opening」の略。高高度からパラシュート降下し、低高度でパラシュートを開く潜入技術。ヴァーチャスミッションの冒頭でスネークが使用します。当時はまだ極秘の技術でした
ソリトンレーダー
過去のメタルギアソリッドシリーズで、敵兵の位置や視覚情報を表示していたレーダー。MGS3の時代設定(1964年)ではまだ開発されていないため、本作には登場しません。代わりに動体探知機やアクティブソナーといった別の探知装置が使われます
動体探知機 / アクティブソナー
ソリトンレーダーがないMGS3で、敵の位置を把握するために使用するアイテム。動体探知機は動くものを、アクティブソナーは音波で敵の位置を感知します
ホールドアップ
敵兵に気づかれずに背後から銃を突きつけ、身動きを封じる行動。倒れた状態の敵にも行うことができ、尋問したりアイテムを奪ったりすることが可能です
スタミナキル
敵のライフ(体力)を削り切るのではなく、スタミナゲージをゼロにして気絶させる倒し方。MGS3では、特定のボスキャラクターをスタミナキルで倒すことで、特別な迷彩服などが得られます

組織

FOX
CIAに所属する特殊部隊。ネイキッド・スネークが所属し、ゼロ少佐が指揮を執ります。本作の「ヴァーチャスミッショ ン」と「スネークイーター作戦」は、このFOXの正式な部隊編成を賭けた初の実戦任務です
KGB
旧ソ連の「国家保安委員会」の略称。ソ連の秘密警察・情報機関であり、対外諜報活動や国内の治安維持などを担当していました。作中では、ソコロフの護衛やスネークへの協力者(EVA)を派遣する組織として登場します
GRU
旧ソ連の「参謀本部情報総局」の略称。ソ連軍の軍事情報機関で、KGBとは対立関係にありました。本作ではヴォルギン 大佐が所属し、ソコロフやシャゴホッドを奪取しようと画策します
賢者達 / 賢人会議
20世紀初頭にアメリカ、中国、革命直後のロシアの権力者たちが秘密裏に結成したとされる裏組織。莫大な資産を持ち、世界を裏で支配していました。しかし、第二次世界大戦終結後に対立し分裂します
賢者の遺産
「賢者達」が残したとされる莫大な資金と、その記録が収められたマイクロフィルム。総額1000億ドルとも言われ、各国の諜報機関がその奪取を目論んでいました。本作の主要な争奪の対象となります
FOXHOUND
「FOX」部隊のノウハウを活かし、後にビッグ・ボスが設立する特殊部隊。MGS1、MGS2の舞台となる組織です
愛国者達(ザ・パトリオッツ)
「賢者達」の遺産を引き継ぎ、後に世界を裏で管理する巨大なAIシステムとして発展する組織。MGS3のエピローグでその結成が示唆されます

兵器

シャゴホッド
ソコロフが開発した新型核兵器搭載戦車。道路をマッハの速さで移動し、核ミサイルを発射できる能力を有する。ヴォルギン大佐がこの兵器を強奪し、世界を脅かす存在となります
デイビークロケット
ザ・ボスがソ連に亡命する際に手土産として持ち込んだとされる小型核弾頭。ヴォルギン大佐によってソコロフ設計局に発射され、国際的な大問題を引き起こします
メタルギア
グラーニンが構想していた「二足歩行戦車」の概念。シャゴホッドよりも優れた兵器として語られます。MGS3の時点ではまだ設計図段階ですが、後のシリーズに登場する兵器「メタルギア」の原型となります

その他

時系列
物語の時間の流れ。メタルギアシリーズは発売順と時系列が異なることが特徴で、MGS3はシリーズ全体の物語の中で最も過去(1964年)を描いています
プロローグ / エピローグ
物語の導入部分(ヴァーチャスミッション)と、物語の結びの部分(任務完了後のスネークの心情や、その後の世界の動向が描かれるパート)
デブリーフィング
任務終了後に行われる帰還報告や情報報告。MGS3では、このデブリーフィングの場面でザ・ボスの真実が明かされ、物語の最大の衝撃をもたらします
タイムパラドックス
時間軸の矛盾。MGS3では、特定のキャラクター(例:オセロット、ソコロフ)を殺害すると、その後の歴史が矛盾するため「タイムパラドックス」としてゲームオーバーになります

ネタバレ

「スネークイーター作戦」の主な任務はソコロフの奪還(のちに死亡が判明)、新型兵器シャゴホッドの破壊、そしてザ・ボスの抹殺です。スネークは様々な困難を乗り越え、シャゴホッドを破壊し、ヴォルギンを倒します。 そして、ついに白い花畑でザ・ボスとの最後の対決に臨み、死闘の末、ザ・ボスを倒します。そして、涙ながらに師を銃殺します。

その後、スネークはEVAからザ・ボスの真実を知らされることになります。
実はザ・ボスの亡命は「偽装亡命」です。ザ・ボスがソ連に亡命したのは、アメリカ政府が仕組んだことでした。その目的は、ヴォルギン大佐が不法に相続していた莫大な資金「賢者の遺産」を奪取することにありました。しかし、ヴォルギンが想定外に核弾頭を発射したことで事態は悪化し、アメリカ政府は自らの潔白を証明するため、ザ・ ボスを「裏切り者」として公に抹殺する必要が生じました。
その任務は、ザ・ボスが最も愛する弟子のスネークに託されました。ザ・ボスは祖国と世界平和のために、自らの名誉と命を犠牲にし、愛弟子に殺される運命を受け入れた真の「愛国者」だったわけです。

スネークに協力していたEVAは、KGBのスパイと名乗っていましたが、その正体は中国の工作員です。EVAの目的は「賢者の遺産」とシャゴホッドのデータを奪取することにありました。EVAは「賢者の遺産」のフィルムを手に入れますが、実はそれはオセロットが仕掛けた偽物でした。オセロットこそが、CIA側が送り込んだ本物の内通者「ADAM」であり、三重スパイとして各国の思惑を巧みに操り、最終的に本物の「賢者の遺産」をアメリカに持ち帰ることになります。

結末

ネイキッド・スネークはアメリカに英雄として迎えられ、「ザ・ボスを超える者」として「ビッグ・ボス」の称号を授けられます。しかし、その表情は暗く、複雑な感情を抱えていることがわかります…。なお、ビッグ・ボスの右目は拷問中にオセロットの銃弾で失われ、トレードマークとなる眼帯を着用するようになります。

ヴォルギン将軍は、ザ・ボスに裏切られたと誤解し、小型核弾頭を暴走させようとしますが、スネークによって倒されま す。 シャゴホッドを破壊された後も執念深くスネークを追撃しますが、最終的には落雷を受け、体に巻かれた弾薬が引火し爆死しま す。

感想

『メタルギアソリッド3』は、その壮大で奥深いストーリー、革新的なゲームシステム、そして登場人物たちの心理描写の秀逸さから、シリーズ最高傑作の呼び声が高い作品です!戦争や平和、国家と個人の関係といった普遍的なテーマを深く問いかける、まさに「作品」と呼ぶにふさわしい傑作です。その感動と衝撃は、発売から20年以上経った今も色褪せることはありません。

  • 没入感の高い映画的ストーリー
    小島秀夫監督が「映画とゲームの橋渡し」を目指したという言葉の通り、まるで一本の映画を観ているかのような没入感があります。冷戦という史実を背景にしながらも、フィクションが巧みに織り交ぜられ、プレイヤーはスネークと共に「時代」に翻弄される兵士の生き様を深く体験します。 特に、ザ・ボスの真実が明かされる終盤のデブリーフィングシーンは衝撃もありながら、感動的でもあります
  • 革新的なステルスアクション
    「カムフラージュ率」や「CQC(近接格闘)」、「サバイバルビュアー」といった新システムが導入され、よりリアルで戦略的な潜入ミッションが楽しめます。ジャングルという自然環境を舞台にしたこ とで、食料の現地調達や負傷の治療といったサバイバル要素も加わり、ゲームプレイの幅が大きく広がっています
  • 人間味あふれるキャラクター
    若き日のビッグ・ボスとなるスネークは、これまでのシリーズ主人公と異なり、人間味あふれる描写がされています。個性豊かな仲間たち(ゼロ少佐、パラメディック、シギント、EVA)との無線での掛け合いは、シリアスな物語ながらも、コミカルな要素が満載です。また、コブラ部隊のメンバーそれぞれが持つ「感情」をテーマにしたボス戦も印象的です
  • 考察の余地とシリーズの根幹
    本作は後のシリーズの根幹となる「賢者達(愛国者達)」の誕生、メタルギアの構想、オセロットの行動の萌芽など、重要な設定が多数描かれています。物語は完結しますが、登場人物たちの行動や言葉には深い意味が込められており、プレイするほどに新たな発見があり、考察が尽きません。ザ・ボスがスネークに「ゲーマーとしてのカンを信じなさい」と語りかけるなど、ゲームとプレイヤーの関係をメタ的に捉える演出も健在です
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