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ロング・シーズン 長く遠い殺人|あらすじ・ネタバレ解説

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ロング・シーズン 長く遠い殺人(原題:漫長的季節 The Long Season)』は2023年中国制作のミステリー・サスペンスドラマです。『バッド・キッズ 隠秘之罪』の監督と主演が再びタッグを組んだ話題作で、「10年に一度の完璧なドラマ」と称されるほど高く評価されています!全12話で、1997年、1998年、2016年の3つの時間軸が交錯しながら、ある殺人事件の謎が描かれています。この記事では登場人物とキャスト、各話のあらすじ、ネタバレ、感想と考察などをまとめています。

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登場人物・キャスト

2016年と1997年~1998年にわけて主な登場人物とキャストをご紹介します。

2016年の人物

  • 王響(ワン・シアン) 演:ファン・ウェイ
    高齢のタクシー運転手。かつては樺林鋼鉄の機関車運転士。リストラや息子を亡くしたことで心身ともに疲弊している。偽造ナンバー事件をきっかけに、20年前の事件と再び向き合うことになる
  • 龔彪(ゴン・ビアオ) 演:チン・ハオ
    王響の義弟。愛称は彪子。元樺林鋼鉄の社員で、現在は王響と同じくタクシー運転手。購入した中古車が原因で、偽造ナンバー事件に巻き込まれる
  • 馬徳勝(マー・ドーション) 演:チェン・ミンハオ
    元刑事課長。現在は退職し、ラテンダンスに熱中している。20年前のバラバラ殺人事件の捜査で王響と知り合い、再び彼らの捜査に協力する
  • 王北(ワン・ベイ) 演:史彭元
    王響の現在の息子(血縁なし)。王響を慕い、共に暮らしている。美大受験を目指しながら、事件にのめり込む王響を心配する
  • 黄麗茹(ホワン・リール―) 演:王佳佳
    龔彪の妻で、王響の妻のいとこ。元看護師で、自宅でエステを経営。龔彪との関係に悩んでいる
  • 胡雪露(フー・シュエルー) 演:曾淇
    龔彪の友人で薬剤師。愛称は小露。王響たちの捜査に協力する
  • 邢建春(シン・ジエンチュン) 演:楊一威
    王響の元同僚。尿毒症。偽造ナンバーの受け渡しに関わっている
  • 李巧雲(リー・チアオユン) 演:劉琳
    王響の元同僚。マッサージ店を経営。王響と親しい
  • 李群(リー・チュン) 演:唐曾
    樺林市の公安局局長。馬徳勝の元部下

1997年~1998年

  • 王響(ワン・シアン) 演:ファン・ウェイ
    樺林鋼鉄の機関車運転士。仕事に誇りを持っていたが、リストラ危機に直面。バラバラ殺人事件の解決で手柄を立てようとするが、息子の関与を疑うことになる
  • 羅美素(ルオ・メイスー) 演:林曉傑
    王響の妻。息子の王陽を心配し、夫に就職の世話を頼む
  • 王陽(ワン・ヤン) 演:劉奕鉄
    王響の息子。高校卒業後、進路に悩む中で沈墨と出会い恋に落ちる。高級クラブでバイトをし、バラバラ殺人事件に関わることになる
  • 沈墨(シェン・モー) 演:李庚希
    医大生。複雑な問題を抱えている。高級クラブでピアノ演奏のバイトをしている。1997年に王陽と出会うが、1998年に行方不明
  • 馬徳勝(マー・ドーション) 演:チェン・ミンハオ
    市公安局の刑事課長。バラバラ殺人事件の捜査を担当。王響に協力を求める
  • 龔彪(ゴン・ビアオ) 演:チン・ハオ
    樺林鋼鉄の新入社員。王響に近づき、事件捜査を手伝う中で麗茹に惹かれる
  • 黄麗茹(ホワン・リールー) 演:王佳佳
    王響の妻のいとこで看護師。龔彪からアプローチを受ける
  • 邢建春(シン・ジエンチュン) 演:楊一威
    樺林鋼鉄の警備課長。不正行為に関わっており、王響と対立する
  • 李巧雲(リー・チアオユン) 演:劉琳
    劉全力の妻。樺林鋼鉄の計量室勤務。生活苦から高級クラブでホステスとしても働く
  • 傅衛軍(フー・ウェイジュン) 演:蒋奇明
    沈墨の実弟。耳が不自由。ビデオ館を経営しており、沈墨に深い愛情を注ぐ
  • 隋東(スイ・ドン) 演:王嘯宇
    傅衛軍の弟分。傅衛軍と共に行動する
  • 沈棟梁(シェン・ドンリアン) 演:侯岩松
    沈墨の伯父で育ての親。沈墨に異常な執着を見せる
  • 殷紅(イン・ホン) 演:林曉傑
    〈ビクトリア・クラブ〉のホステス。盧文仲と関係を持ち、沈墨を罠にはめる
  • 盧文仲(ルー・ウェンジョン) 演:彭梓桁
    〈ビクトリア・クラブ〉の常連客。工場長と結託して金儲けを企み、殷紅を利用して沈墨を強姦する
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あらすじ

各話のあらすじはネタバレを含む内容になっています

第1話

2016年――。タクシー運転手の龔彪(ゴン・ビアオ)は購入したばかりの中古車を見せびらかすが、義兄の王響(ワン・シアン)はその車が水没車であることを見抜く。その後、龔彪の車と同じナンバーの偽造車が人身事故を起こし、龔彪の車は警察に押収される。王響と龔彪は独自に偽造ナンバー車を捜し、修理工場で発見するが逃げられてしまう。事故の被害者も病院から姿を消していた。
被害者らしき人物の写真を見た王響は、20年前のバラバラ殺人事件を思い出す。
1998年、樺林鋼鉄の機関車運転士だった王響は、バラバラ遺体発見現場で刑事の馬徳勝(マー・ドーション)と出会う。バラバラ殺人だと聞き、吐き気を催した王響は病院に運ばれ、そこで看護師の麗茹(リールー)と出会う。王響に付き添っていた龔彪は麗茹に一目惚れ。
1997年、王響の息子・王陽は医大生の沈墨(シェン・モー)と出会い、惹かれ合う。
2016年、王響の前にずぶ濡れの王陽(ワン・ヤン)が現れるが、王陽は既に亡くなっていた。

第2話

1998年、バラバラ殺人の現場を見た王響は入院する。その頃、樺林鋼鉄では原料遅延で騒ぎが起きており、工場長はリストラを決定。騒動参加者はリストラ対象となる。入院中の王響は工場長から模範労働者として称賛され、新聞にも載るが、妻は犯人の報復を恐れる。麗茹に夢中の龔彪は、王響に近づき、事務室で見たリストラ名簿に王響の名前があることを伝える。王響は麗茹との仲を取り持つ代わりにリストラ回避の方法を聞き、事件解決で表彰されることを思いつく。
2016年、王響は偽造ナンバー車の被害者が20年前の犯人だと確信し、龔彪の友人の薬剤師・胡雪露に協力を頼む。胡雪露は被害者との待ち合わせ場所で襲われ重体となる。龔彪は王響を非難し、妻・麗茹は龔彪が無断で金を使ったことを知り家を出る。王響は息子の北京観光を取りやめ、犯人捜しを続ける。

第3話

2016年、王響は胡雪露の入院費を稼ぐため違法賭博をしていた龔彪を見つけ、共に公安局に連行される。王響は入院費を払ったことを伝え、偽造ナンバー車の調査続行を説得。釈放された二人は元刑事の馬徳勝に協力を求めることにする。
1998年、冷麺店の側溝で人骨が発見される。馬徳勝は現場近くの樺林鋼鉄関係者の犯行を疑い、王響に協力を求める。馬徳勝はDNA鑑定を依頼するが断られ、遺体に指関節のしわが4本あるものがあったと聞く。
1997年、医大生の沈墨は高級クラブでピアノ演奏のバイトを始めるが、客とトラブルになる。王陽も同じクラブでボーイとして働き始め、沈墨と再会。王陽は沈墨をいじめた客がバイク乗りの男たちに暴行されるのを目撃。沈墨に話すと、喜ばなかったものの感謝する。

第4話

1998年、小涼河で遺体の一部が発見され、被害者が女性と判明。リストラ回避のため手柄を立てたい王響は捜査チーム入りを馬徳勝に頼む。馬徳勝は王響を内部協力者とし、「俺の目になれ」と告げる。王響は遺体遺棄現場と犯行時間について推理を披露。王響は引きこもる息子・王陽と話し、人生に悩んでいると思い込み、事件が片付いたら北京旅行に行こうと励ます。
2016年、王響と龔彪から協力を求められた馬徳勝は、元部下から偽造ナンバーの売人が運輸管理局前にいる情報を得る。王響はそこで元警備課長の邢建春と再会。邢建春を怪しんだ三人はおとりで彼を呼び出し、偽造ナンバーを売りつけようとする現場を押さえる。犯行を認めさせようと詰め寄るが、邢建春は知らないと言い張り、王響は同情して彼を解放する。

第5話

1997年、王響は工場で不審なトラックを見かけ、同僚たちの様子がおかしいことに気づく。積み荷を確認し、廃棄機器の横流しが行われていることを突き止める。仕切っていたのは警備課長の邢建春だった。王響は邢建春に警告するが、口止め料を渡され、断ると報復として家にネズミをぶら下げられる。王響と妻は無職の息子・王陽の就職を心配し、工場長に頼もうとする。王陽は沈墨に詩人になりたい夢を語る。沈墨の伯父夫婦が樺林に来て、伯父は沈墨に異常な執着を見せる。誕生日に弟からポケベルをプレゼントされる。翌日、伯父は沈墨にワンピースを渡し、従えと命じる。王陽は沈墨を映画に誘うが、バイト先で王響に捕まり連れ戻される。映画館で待つ沈墨の前に伯父が現れる。

第6話

1997年、王響は王陽から赤いセーターを贈られるが、素直に喜べない。妻は工場長への賄賂を提案。王響はしぶしぶ工場長事務所へ行くが、工場長が女性と密会しているのを目撃し、慌てて賄賂を渡して帰る。沈墨の伯父はクラブの支配人に掛け合い、沈墨を辞めさせる。王陽は沈墨を橋に呼び出し告白するが振られ、川に飛び込む。沈墨は助けようとして溺れかけ、王陽に助けられる。沈墨は伯父に決別を告げるが、暴力を振るわれ脅される。王陽は工場で邢建春にはめられ窃盗の濡れ衣を着せられる。王響は息子を助けるため邢建春に許しを乞うが、王陽は反発し王響に殴られる。
2016年、王北が北京へ発つ前日、邢建春が王響の家を訪ね、偽造ナンバーを健美団地の住人に届けたと話す。王響は王北に似顔絵を描かせる。王北は美大行きを諦めようとするが、王響に励まされる。王北は王響のために新しい赤いセーターを買う。

第7話

2016年、龔彪は偽造ナンバー車のひき逃げ犯を捕まえる。王響は被害者が王陽を死なせた傅衛軍だと主張するが、顔が写った写真はない。馬徳勝は王陽の死は自殺で傅衛軍は服役中だと否定し、王響と口論になる。龔彪は警察に押収された車を取り戻すが、妻・麗茹に離婚を告げられる。家を追い出された龔彪は王響の家に泊まることに。そして馬徳勝が現れ、傅衛軍が先月獄中死したと告げる。
1997年、傅衛軍は松河へ行き、沈墨の伯父夫婦の息子・沈輝の腕を折る。伯父夫婦は急遽帰郷。沈墨は伯父に二度と来ないよう言うが、脅される。王陽は沈墨に誘われビデオ館へ行き、弟・傅衛軍を紹介される。
1998年、川で被害者のかばんが見つかり、バラバラ遺体の身元が医大生の沈墨と浮上。馬徳勝は沈墨の大学で、彼女の下着写真と告発状が貼られた話を聞く。王陽が公安局に連行され、王響が駆けつける。馬徳勝は王陽が沈墨と付き合っていたことを伝え、捜査から手を引くよう言う。王陽は王響から逃走。沈墨の伯父夫婦が遺体確認。馬徳勝は沈墨を告発した人物が関係者と睨み、松河へ向かう。深夜、王響は王陽の部屋で血まみれの防護服を発見する。

第8話

1998年、王陽はビデオ館にいた隋東に何があったか聞くが、傅衛軍からのメモ「17日の夜、樺運専用線で」を渡されるだけ。王響は王陽の友人・曲波とビデオ館に行き、王陽を連れ帰る。王響は王陽の部屋で血のついた防護服を見せ、「人を殺したのか?」と問う。王陽はいつか説明すると答え、王響は王陽を部屋に監禁する。
1997年、王響は王陽の窃盗疑惑を工場長に説明するが信じてもらえず、工場長の不倫をちらつかせ怒りを買う。その後、麗茹が工場長の部屋に入るのを見る。沈墨は再びクラブでバイトし、盧文仲に気に入られる。ホステスの殷紅と出会い、泥酔した殷紅をビデオ館に泊める。翌日、殷紅は盧文仲と一夜を過ごすが、盧文仲の目的は沈墨だった。傷ついた殷紅は傅衛軍に髪飾りをプレゼントされるが、追い返す。沈墨の大学に不品行を訴える告発状と写真が貼られる。王陽は沈墨に「自分を安売りするな」と言い、沈墨は傷つきもう会わないと言う。殷紅は沈墨を誘い出し、酒を飲む。殷紅は母親の自殺を話し、沈墨は話せる過去ならいいと返す。殷紅は沈墨の酒に睡眠薬を入れる。眠った沈墨を店に残し、殷紅は立ち去る。

第9話

2016年、王響は李巧雲に沈墨と傅衛軍について聞くが、巧雲は知らないと言う。馬徳勝は公安局で沈墨の伯父・ 沈棟梁を見かけ驚く。偽造ナンバー車でひき逃げ事故を起こした男は沈棟梁の息子・沈輝だった。馬徳勝は局長の李群に1998年の調書を見せるよう頼むが断られる。馬徳勝、王響、龔彪の三人は、先月獄中死した傅衛軍の火葬が行われた葬儀場へ行く。遺骨は沈棟梁が引き取っていた。三人は沈棟梁の自宅を訪ね、沈棟梁の遺体を発見する。公安局で聴取を受け、馬徳勝は李群に捜査妨害だと叱責される。警察の調べで沈棟梁は刺殺され、妻も酸素吸入器が外されていたことがわかる。自宅から見つかった傅衛軍宛の私信は、内モンゴルの殷紅からだった。李群は殷紅を捜すよう命じる。
1997年、ビデオ館に不良グループが報復に来て、隋東は拷問され、傅衛軍も怪我をする。殷紅に騙され盧文仲に手籠めにされた沈墨はクラブを辞める。殷紅は盧文仲から金を受け取り店を出す計画。沈墨は殷紅をなじるが、殷紅は悪びれない。王陽はホステスの会話で沈墨が盧文仲と関係を持ったことを知り、盧文仲に詰め寄り店をクビになる。王陽がビデオ館に行くと、沈墨が怪我した傅衛軍を手当していた。荒らされた店内を見て王陽は「俺たち三人、世界で一番不運だな」と言うが、沈墨は「不運なのは奴らよ」と返す。

第10話

ビクトリア・クラブで飲んでいた盧文仲に沈墨から電話。再び一夜を過ごせると思い込み、沈墨に会いに行くが、殷紅は嫉妬する。沈墨は盧文仲をビデオ館に誘い込む。二人きりになると盧文仲は沈墨をベッドに押し倒し体を奪おうとする。隠れていた王陽が盧文仲を殴り、傅衛軍と二人で押さえつけ、沈墨が注射で眠らせる。拘束された盧文仲は慰謝料として80万元の手形を渡す。翌朝、王陽と傅衛軍は手形を換金しようとするが、支払期日以降でないとできないと言われる。ビデオ館に戻ると盧文仲は亡くなっていた。沈墨は自分が殺したと打ち明ける。王陽は防護服を着て、傅衛軍と遺体を工場の溶鉱炉に投げ入れる。沈墨は傅衛軍と身を隠すことを決意し、王陽に別れを告げ帰らせる。沈墨が荷造りしていると殷紅がビデオ館に来る。沈墨が盧文仲から80万元受け取ったと知り、脅迫する。沈墨は金を持っていけば望み通り私になれると言って手形を渡し、帰ろうとした殷紅を殺害する。ビデオ館に戻った傅衛軍は遺体を見て沈墨が殷紅を殺したことに気づく。沈墨は王陽には黙っててと頼み、殷紅を身代わりにするため自分の指を切断する。傅衛軍は工場の用水路に殷紅の遺体が入った袋を投げ込む。

第11話

1998年、王響は王陽の殺人関与を疑い、自宅に監禁しビデオ館へ行く。そして、無人のビデオ館で遺体が入っていたものと同じ袋を見つける。袋を持って公安局へ行くが馬徳勝は不在だった。
その頃、馬徳勝は沈墨について質問するため、沈棟梁の家を訪ねていた。このとき馬徳勝は沈の家にあったポットを見て、彼が大学に告発状と写真を貼った犯人と確信する。馬徳勝が沈棟梁を車に乗せ樺林へ向かう途中、沈棟梁は「沈墨を大切にしてきた」と言って開き直る。さらに「俺が殺したかった」とも言い放つ。この言葉に馬徳勝は激怒し、沈を車から引きずり降ろし暴行を加えてしまう。
一方、沈墨は男装し傅衛軍と行動していた。傅衛軍は「王陽と逃げて。全部俺が引き受ける」とメッセージを残し、銀行で手形を換金しようとして逮捕されてしまう。
自宅に閉じ込められていた王陽は母を騙して逃走。王響は王陽を連れ戻すため龔彪に加勢を頼むが、龔彪は麗茹と深い関係に…。王響は武器を持ち線路へ行き、男装した沈墨を見つけるが王陽の不良仲間と思い込む。「王陽を返してくれ」と懇願する王響に罪悪感を抱きながらも、沈墨は彼を襲い失神させ、王陽のもとへ向かう。沈墨と王陽が橋で再会。沈墨は二人で逃げようと言うが、王陽は自首すると言う。沈墨は殷紅を殺したこと、バラバラ遺体には自分の指を混ぜてあり、遺体は自分だと思われていることを王陽に打ち明ける。一緒に逃亡することを訴える沈墨に、王陽は何も答えられない。沈墨はそんな王陽の反応を見て「やっぱり私とは違う」とつぶやく。
樺林鋼鉄の従業員総会が開かれ、リストラ対象者が発表される。麗茹と一夜を共にした龔彪は結婚を決めるが、麗茹が工場長と不倫し、妊娠していることを知る。龔彪は総会中に工場長につかみかかり、リストラ対象になってしまう。王響も工場長に殴りかかり、騒動を起こす。騒動に巻き込まれた麗茹は流産。
王響のもとに馬徳勝が現れ、王陽が河原で遺体で見つかったと告げるが、王響は息子の死を受け入れられない様子だった。

2016年、王響は李巧雲と仲直りするため花を買い、巧雲に想いを寄せる男性と出会う。王響は二人のデートをお膳立てし、身を引く。龔彪は麗茹との仲を取り戻そうとするが、離婚に応じる決意をする。その夜、龔彪は離婚合意書に署名し、麗茹に別れを告げる。王響、馬徳勝、龔彪の三人はカラオケ店で夜を明かす。馬徳勝は真相解明を決意するが体調悪化で意識を失う。朝食を買いに出た龔彪も交通事故に遭い、川に転落し死亡してしまう。
1998年、龔彪は流産した麗茹を見舞い、抱きしめる。

第12話(最終回)

1998年、王陽を弔うため王響の家に人々が集まる。沈痛な雰囲気の中、羅美素は明るく振る舞う。馬徳勝が王陽の死因を自殺と説明するが、王響は信じず怒りをぶつける。その後、王響が首を吊った羅美素の遺体をバスルームでみつける。
傅衛軍を逮捕した李群は、殺人事件を解決したため称賛されることに。一方、馬徳勝は沈棟梁への暴行で謹慎を命じられる。そして、朱局長に罵倒されて辞職へ。

2016年、龔彪が交通事故で死亡する。脳梗塞で倒れた馬徳勝は記憶喪失となるが、事件の真相に気づき王響と公安局へ向かう。公安局では局長の李群たちが沈棟梁事件を追っていた。DNA鑑定により、沈棟梁殺害の犯人が沈墨であることがわかる。そして、偽造ナンバー車の運転手は沈輝ではなく 沈棟梁だったことも明らかになる。
傅衛軍の手紙で沈墨の居場所を知った沈棟梁は、沈墨を樺林に呼び出し轢き殺そうとする。沈墨は軽傷で済んだが、傅衛軍の遺骨を奪うため沈棟梁の家を訪れ殺害する。
馬徳勝が、沈墨が沈棟梁から性的虐待を受けていたこと、養母が見て見ぬふりをしていたことを告げる。沈棟梁は遺体確認で沈墨が生きていると確信し捜索したが、逆に沈墨が復讐を果たしていた。次の狙いは養母に違いないということになり、李群は病院へ向かうが、養母は既に沈墨に殺害されていた。
病院を出た沈墨がタクシーに乗り込む。運転手は王響。王響は沈墨に王陽の死の真相を問う。小涼河にタクシーを走らせ沈墨を川に沈めて復讐しようとするが、沈墨から王陽が自分を助けて死んだと聞き急ブレーキすることになる。あの夜、沈墨は自殺を図り、王陽が助けて命を落としていた…。タクシーは河原で横転炎上。王響は脱出し、沈墨を助け出す。そして、沈墨は逮捕される。

1998年、妻と息子を失った王響は自殺を図るが、赤ん坊の泣き声を聞き思いとどまり、線路に捨てられていた赤ん坊(王北)を拾う。
2017年、王響と李巧雲は王北を駅まで送り、王響はかつての線路を見て過去の自分に「前を見ろ。振り返るな。前を向くんだ」と叫ぶ。

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ネタバレまとめ

  • バラバラ遺体の身元
    ビクトリア・クラブのホステス、殷紅。沈墨が殺害し、身代わりにするため自身の指を混ぜた
  • 失踪した香港人の正体
    ビクトリア・クラブの常連客、盧文仲。沈墨が殺害し、王陽が溶鉱炉に遺棄した
  • 王陽の死因
    1998年に川に身投げした沈墨を助けようとして溺死。警察は自殺と判断した
  • 羅美素の死
    1998年、息子・王陽の死を受け入れられず、後を追って自殺
  • 王響と龔彪の解雇
    1998年、工場長の宋玉坤が麗茹と不倫し妊娠させたことに激怒し、宋を暴行したため
  • 馬徳勝の辞職
    1998年、沈棟梁への暴行と、上司の意向に反して殺人事件を追い続けたため
  • 偽造ナンバー車でひき逃げ事故を起こした犯人
    沈墨の伯父、沈棟梁。息子・沈輝の車を使い、偽造ナンバーで沈墨を轢こうとした
  • 胡雪露を襲った犯人
    沈墨。自身がひき逃げされた後、正体がばれるのを恐れて胡雪露を襲った
  • 王北の経緯
    1998年、妻と息子を失い自殺を図った王響が、線路に捨てられていた赤ん坊として拾った養子

感想・考察

過去と現在が入れ子になっており、物語が進むにつれて断片的だった情報が繋がっていきます。こういった構成は、最初はかなり謎めいていますが、最終的にすべてがつながってとても面白いです。細部にまでこだわった演出や伏線回収は、二度見することでさらに深く味わうことができると思います。
物語のトーンは全体的に陰鬱ですが、中年達のどこかコミカルなやり取りや、過去パートでの若者たちの瑞々しい描写などが、息抜きになりました(それでもその軽妙さの裏には常に不安感が付きまといますが…)。

印象的なのは、過去と現在で同じ俳優が演じる登場人物たちの変化です。特殊メイクや演技によって、20年間の歳月や経験がリアルに表現されています。特にチン・ハオ演じる龔彪や、チェン・ミンハオ演じる馬徳勝の変貌ぶりは驚きです。
映像表現や音楽も秀逸で、各エピソードの雰囲気に合わせた選曲が効果的に使われています。特に第10話のエンディングで流れる『美しく青きドナウ』は、衝撃的な展開と相まって強烈な印象を残します。

沈墨が抱える過去のトラウマや、それによって引き起こされる悲劇は、観る者の胸を締め付けます。頼るべき大人たちに裏切られ、孤立していく若者たちの姿は痛々しく、彼らが自らの手で事態を解決しようとした結果、取り返しのつかない事態へと発展していく過程が克明に描かれています。
王響の息子・王陽への深い愛情と、彼の死を巡る苦悩は、物語の核の一つです。赤いセーターのエピソードは、父子のすれ違いと愛情を象徴するアイテムとして効果的に使われています。王響が最後に過去と決別し、新たな希望を見出すラストシーンは、切なくも温かい余韻を残します。

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