『ロッカー』は『世にも奇妙な物語』レギュラー版の初期(1990年5月3日)に放送されたエピソードで、多くの人々にトラウマを植え付けたことでも知られています。2025年5月31日には「世にも奇妙な物語35周年スペシャル」で再放送されます。
あらすじ
ある夜、産業スパイの悟(織田裕二)は研究所に侵入し、研究データをコピーしていた。
コピーの最中、悟は研究所職員の佐口邦夫(段田安則)に見つかり、揉み合いになってしまう。悟がとっさに灰皿で佐口を殴ると、佐口は頭を打って死んでしまう。
騒ぎに気づいた警備員の足音が近づく中、悟は慌てて近くにあったロッカーに身を隠す。佐口の死体を発見した警備員が警察に連絡しに行った隙に、悟はロッカーから出ようとするが、ロッカーはなぜか開かなくなっていた。
ロッカーの小窓からは佐口の死体がみえた。悟はその死体が不気味にこちらを見ているように思えてしまい、恐怖に震える。
ロッカー内に貼られた写真には、佐口と彼の婚約者らしき女性が写っていた。悟はどうやら自分が殺した相手のロッカーに隠れているようだった。写真の佐口の顔は、悟の目には心なしか悪どい笑みを浮かべているようにみえた…。
やがて警察が到着し、現場検証が始まる。警察官がロッカーを開けようとするが、どうしても開かず、ロッカーは不要品引き取り業者に引き取られることになる。
悟は殺害現場から逃れられたと安堵するが、ロッカーが運ばれた先は鉄スクラップリサイクル処理場だった。
結末(ネタバレ注意)
悟が「助けてくれー!」と叫んでも、ウォークマンを聞いている作業員には声が届かなかった。
ロッカーはプレス機で無慈悲に潰されていく。ロッカーが潰される瞬間、写真の佐口は満面の笑みを浮かべていた。
次の瞬間、悟はロッカー内で生きていることに気づく。先ほどの出来事は全て悪夢だった。
しかし、その直後、再び外からロッカーを潰そうとする声が聞こえ、ロッカーはほんとうにプレス機で潰されてしまう。
複数の鉄屑と共に立方体に成形された鉄の塊が積載場に置かれた。
そこには悟がかぶっていた赤い帽子の名残があった。
感想と考察
産業スパイが研究所に忍び込み、データを盗んでいる最中にみつかって研究員を殺害。ロッカーに隠れたところ、なぜか出られなくなり、そのままプレスされるというお話しです。なぜ出られなくなったのかとかが、本当に世にも奇妙な物語ですね。
- ロッカーがプレス機で潰されるシーンや、殺された佐口の不気味な死顔、そしてロッカー内の写真に写る佐口の表情が徐々に変化していく演出などに恐怖を感じます
- 一度は夢オチで安堵させるものの、再び同じ状況が繰り返され、最終的に現実として主人公が死を迎えるという二重の恐怖構造が大きな特徴です
- 主人公が殺人を犯し、その罪から逃れようとした結果、自らがロッカーに閉じ込められ、無残な最期を遂げるという展開からは「因果応報」というテーマ性を感じとれます
- 主演の織田裕二さんの、ロッカー内で怯え、焦り、パニックに陥る演技が非常にリアルです。作品の恐怖感を一層引き立てています
ドラマ情報
- 放送日:1990年5月3日
- 放送回:第4作目。同回の作品に「闇の精霊たち」「マイホーム」がある
- 主演:織田裕二
- 脚本:橋本以蔵、土屋斗紀雄
- 監督・演出:瀧川治水
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