1934年に雑誌・新青年に連載された長編推理小説『黒死館殺人事件』は、小栗虫太郎による日本三大奇書の一つで、その難解さと衒学的な内容で知られています。刑事弁護士であり探偵の法水麟太郎が、神奈川県高座郡にある異様なケルト・ルネサンス様式の城館・通称「黒死館」で起こる連続殺人事件の謎に挑みます。この記事では、あらすじ、感想、ネタバレなどをまとめています。
項目 | 評価 |
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【読みやすさ】 スラスラ読める!? |
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【万人受け】 誰が読んでも面白い!? |
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【キャラの魅力】 登場人物にひかれる!? |
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【テーマ】 社会問題などのテーマは? |
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【飽きさせない工夫】 一気読みできる!? |
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【ミステリーの面白さ】 トリックとか意外性は!? |
あらすじ
黒死館の主である降矢木算哲が自殺した。その死から間もなく、館に住む人々が次々と不可解な死を遂げていく。最初の犠牲者は、門外不出の弦楽四重奏団の一員であるダンネベルク夫人で、夫人は毒殺され、その死体からは奇妙な発光現象が確認された。この異常な現象に興味を持った法水は、事件の調査を開始する。
法水は、事件の真相を解明するため、降矢木家の複雑な人間関係や過去の出来事を掘り下げていく。降矢木家は、天正遣欧少年使節の千々石ミゲルに連なる家系であり、その歴史には多くの秘密が隠されていた。捜査が進むにつれて、法水は事件の背後にある複雑なトリックや、登場人物たちの隠された動機を明らかにしていく。
小説の特徴
衒学的な内容と複雑なトリックが最大の特徴といえます。法水の推理は非常に難解で、多くの学術的な知識が必要とされます。
物語の中で提示される証拠は、一見すると無関係に見えるものが多いですが、法水麟太郎はそれらの細かなディテールを見逃さず、全ての証拠をつなぎ合わせて事件の全貌を解明していきます。
物語の構成
様々な時間軸が飛び交い、断片的なエピソードが多く挿入されます。物語の全体像を把握するのが非常に難しくなっています。過去の事件や登場人物の回想が突然挿入されることが多く、現在の物語の進行と絡み合っています。
舞台設定
事件現場は黒死館と呼ばれる算哲の邸宅で、「豪壮を極めたケルト・ルネサンス式の城館」です。館のゴシックな雰囲気と豪壮な装飾もまた特徴の一つです。
テーマ
生命と死、善と悪、理性と狂気などのテーマが随所に描かれています。ただ、これらのテーマを理解し関連付けるのに一苦労しそうです。物語の中には多くの暗喩などが含まれていると考えらます。
作風
作品全体に作者が主人公を憫笑しているようなトーンがあります。作者は冒頭から法水の失敗(殺人事件の迷宮入り)を語ってい ます。作者が法水を愚弄したり揶揄したりする言葉を用いているのも特徴です。
主人公
法水麟太郎は虫太郎の他の作品では「前捜査局長にして刑事弁護士」と紹介されますが、具体的にどんな人物なのかは、ほとんど書かれていません。外見的特徴や来歴、事件との関わりはもちろん、だいたいの年齢すら不明です。
感想
小栗虫太郎氏の作品は、独特の文体と衒学的な知識が織りなす世界観が魅力です。しかし、その難解さから読者を厳選しているような気もします。本書を読むには根気が必要で、読み終えた時には達成感を味わえます。
高評価のポイント
- 知的な刺激を求める読者にはたまらない!
- 独特の世界観と雰囲気は他のミステリー小説では味わえない
- 読了後の達成感は非常に大きい
低評価のポイント
- 難解な専門用語や複雑なトリックに圧倒される
- 意味不明でストーリー展開が遅いので飽きてしまうかもしれません
- 知識のひけらかしにうんざりする人も多そう…
ネタバレ
法水は算哲の秘書である紙谷が犯人だと断定します。動機は自分が黒死館の当主であるべきなのに、その地位を継承できなかったからです。その伸子は自殺したとして事件は幕を閉じます。しかしながら、伸子の犯行には納得できない点が多く、易介殺害など、彼女が本当に犯人なのか疑問は残ります。
結末
事件は解決したかのように見えますが…実は多くの謎が未解決のまま残されています。例えば、レヴェズの死の真相や、黒死館に隠された財宝の行方などなど。読者の想像力に任せている感じでしょうか。
次にオススメの推理小説
読了後は、同じく日本三大奇書に数えられる夢野久作の『ドグラ・マグラ』や、中井英夫の『虚無への供物』を読んでみるといいかもしれません。『虚無への供物』は比較的読みやすいです!
また、麻耶雄嵩の『翼ある闇』は、黒死館殺人事件のパロディが見られる作品です。
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