21世紀の『そして誰もいなくなった』!?鮎川哲也賞受賞作!本作は市川憂人さんのデビュー作かつ〈マリア&漣〉シリーズの第1作でもあります。クローズドサークル、SF要素、そして緻密なトリックが組み合わさった傑作ミステリーで、『ジェリーフィッシュは凍らない』というタイトルもカッコよくミステリー好きなら一度は耳にしたことがあるであろう一冊です。この記事ではあらすじ、ネタバレ、高評価ポイントと賛否両論ポイントのまとめなどをご紹介しています!
あらすじ
物語は1980年代のU国、航空技術が独自に発展し、ジェリーフィッシュと呼ばれる小型飛行船が普及した世界が舞台です。UFA社の技術開発部部長フィリップ・ファイファー率いる6人のメンバーが、新型ジェリーフィッシュの長距離航行試験に臨みます。主なメンバーは下記の通りで、試験航行中、技術開発部部長のフィリップが自室で死亡しているのが発見されます。さらに、自動航行システムが故障し、ジェリーフィッシュは雪山に不時着。外部との連絡が途絶え、閉鎖された空間で、次々とメンバーが殺されていきます。
- フィリップ・ファイファー(部長)
- ネヴィル・クロフォード(副部長)
- クリストファー・ブライアン(研究員)
- ウィリアム・チャップマン(研究員)
- リンダ・ハミルトン(研究員)
- エドワード・マクドゥエル(派遣)
地上
一方、地上では、マリア・ソールズベリー警部と九条漣刑事が事件の捜査を開始します。燃え残ったジェリーフィッシュの残骸、他殺の可能性、そして「レベッカ」という謎の少女の存在。UFA社と空軍、別々の計画書、消された自動航行プログラム…。捜査が進むにつれて、事件は13年前に起きたある事故へと繋がっていきます。
物語の鍵を握るのは、実験ノートに名前が記されていた「レベッカ・フォーダム」。彼女は真空気嚢(ジェリーフィッシュの浮遊技術)の研究に関わっていたものの、13年前に実験中の事故で亡くなっていました。
レベッカの事故は本当に事故だったのか?そして、7人目の人物は誰なのか?マリアと漣は、やがて驚愕の真相へとたどり着くことになります。
感想
本作はSF要素を取り入れた斬新な設定、緻密なトリック、そして魅力的なキャラクターが組み合わさったエンターテイメント性の高いミステリー作品です。
高評価ポイント
- 緻密なトリックと伏線
クローズドサークルという限られた状況下で、大胆かつ巧妙なトリックが展開されます!伏線の張り方も巧妙で、読み終わった後に「ああ、そうだったのか!」と唸ってしまうはずです - SF要素と世界観
架空の技術『真空気嚢』や1980年代風のレトロな雰囲気などのSF要素が、ミステリーに深みを与えています。特に、ジェリーフィッシュが空を漂う風景描写は心に残ります(映像化を希望!) - 魅力的なキャラクター
主人公である刑事コンビ・マリアと漣の掛け合いが軽妙で面白いです。特に、マリアの破天荒な性格と、漣のクールな分析力との対比が魅力的です - 読みやすい文章
専門用語も登場しますが、文章全体が読みやすく、物語に没頭しやすいです
賛否両論なポイント
- SF要素の強さ
SF要素が強い点が、好みが分かれるポイントかもしれないです。SF好きにはたまらない設定ですが、SFに慣れていない読者にとっては、世界観を理解するのに苦労しそうです - 動機の弱さ
犯人の動機がやや弱いかもしれません。周到な計画と実行力に見合うほどの強い動機が欲しかったかも… - 一部キャラクターのステレオタイプな描写
特に女性キャラクターの描写がステレオタイプで、現代の価値観に合わないという意見もありそうです
ネタバレ注意
真犯人は、どこにでもいるような派遣社員エドワード・マクドゥエル。彼は、レベッカがアルバイトしていた店に通う少年でした。レベッカは、実験ノートをエドワードに託し、亡くなりました。エドワードは成長して大学でサイモンと再会。ウィリアムからレベッカが暴行され、殺害されたと知り復讐を決意します。
驚くべきことに、ジェリーフィッシュは2機存在していました。1機は新型で、もう1機は10年前に作られたデモ機。ネヴィルたちは空軍から逃げるために亡命を計画し、メンバーをデモ機に乗せて事故死に見せかけようとします。エドワードは、彼らの計画を利用し、自動航行プログラムを改ざん。2機とも雪山に不時着させ、復讐を果たしたのです。
事件解決後、マリアと漣はエドワードを待ち伏せますが、現れたジェリーフィッシュに縄梯子で吊り上げられ逃亡されてしまいます…。
まとめ
『ジェリーフィッシュは凍らない』は、ミステリー好きはもちろん、SF好きにもおすすめできる作品です。緻密なトリックと魅力的なキャラクターが織りなす物語の世界、おすすめです!
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