東野圭吾さんの〈スキー場〉シリーズ第一作『白銀ジャック』は「ゲレンデの下に爆弾が埋まっている」というハラハラでスリル満点の作品です。スキー場でゲレンデを脅かす爆弾事件が発生し、リゾートを守るため、倉田玲司とパトロール隊が犯人に立ち向かうミステリー・サスペンス小説です。本記事では、あらすじや感想、ネタバレなどをまとめています。
あらすじ
年の瀬が迫る新月高原スキー場に、「ゲレンデに爆弾を仕掛けた」という脅迫状が届く。スキー場は混乱を避けるため警察に通報せず、犯人の要求に従い身代金を準備。しかし、犯人は次々と要求をエスカレートさせ、ゲレンデは危機に瀕してしまう…。パトロール隊員の根津は、犯人を突き止めようと奔走しますが、事件の裏には意外な真相が隠されていた。
特徴
- スキー場×脅迫事件
ゲレンデを舞台にしたサスペンス - 社会的なテーマも感じとれそう
スキー場経営の裏側や地域経済の問題も読み取れそうです!
読む順番
〈スキー場〉シリーズの読む順番は別のページにまとめています!
感想
スキー場の臨場感あふれる描写がいいですし、ストーリーもスリリングな展開で引き込まれました。犯人の動機や背景が意外で、最後まで飽きさせないストーリー構成はとても楽しめますが、事件の真相がやや複雑で、少し消化不良な部分も残りました。
ゲレンデの下に爆弾というスケールの大きさや、急勾配での犯人追跡の迫力は特に楽しめ、犯人予想は見事に外れました!最後のオチとしては『疾風ロンド』の方が好きかもしれません。あとはスキーやスノボに詳しいともっと楽しめるのかと思います。
高評価のポイント
- 疾走感あふれる展開
スキー場を舞台にしたスピーディーなストーリー - 意外な真相
読者を飽きさせない、驚きの展開 - 魅力的なキャラクター
個性豊かな登場人物たちが織りなす人間ドラマ。
低評価のポイント
- 複雑な真相
伏線が多くて事件に関わる人物も多いので真相はやや複雑で理解しにくいかもしれません - 都合の良い展開
ラストの展開が都合良すぎるかも… - 感動や深みに欠ける
感動とか考えさせられるような内容の物語ではないです
ネタバレ
犯人はスキー場を経営する会社の社長とその幹部たちでした。彼らは、経営不振のスキー場を売却するために、自作自演で爆破事件を企てたわけです。1年前に起きた死亡事故も、実は社長の息子が起こしたものでした。日吉夫妻は、スキー場買収の大本命として登場し、事件の真相を暴きます。
結末
犯人たちの計画は阻止され、スキー場は日吉夫妻によって買収されることになります。北月エリアの再開も決まり、スキー場は新たなスタートを切る感じです。また、1年前に起きた事故の真相も明らかになり、関係者たちはそれぞれの罪を償うことになります。
- 犯人および動機
- パトロール隊員の桐林祐介と北月町長の息子である増渕英也が爆破予告の犯人として捕まる
- 動機はスキー場経営陣が北月エリアを爆破して売却計画を阻止するため
- 黒幕
- 爆破計画の黒幕は新月スキー場の社長である筧ら経営陣
- 不採算の北月エリアを雪崩で自然閉鎖し、復元義務を放棄してスキー場を高値で売却しようとしていた
- 過去の事故
- 1年前にゲレンデで起きた死亡事故
- 事故を起こしたスノーボーダーは増渕英也であり彼は事故を隠蔽していた
- 日吉夫妻
- スキー客として登場した日吉夫妻は実はスキー場買収を計画していた
- 日吉夫妻は経営陣の悪事を暴き、スキー場を買収して再建を決意
- ラスト
- 経営陣の悪事が明らかになり、スキー場は日吉夫妻に買収される
- 北月エリアは再開される
- 根津と千晶の関係が進展?倉田と絵留の恋愛?な最後
まとめ
スキー場を舞台にしたスリリングなサスペンスということで冬の時期にピッタリですね(夏場に読んでも問題ないですが)。人間の欲望や葛藤、再生なんかが描かれていたかなと思います。やっぱり東野圭吾さんはストーリー展開が面白いですし、個性豊かなキャラクターたちが織りなす人間ドラマも読みどころだと思います。
この本を読んだ読者へのオススメ
スキー場シリーズの続編である『疾風ロンド』がおすすめです。こちらもスキー場を舞台にしたサスペンスで、スピーディーな展開と意外な真相が楽しめます!
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