『アンチヒーロー』は2024年4月クールの日曜劇場で放送されたリーガルミステリードラマです。長谷川博己さんが主演を務め、新たなヒーロー像を提示しています。「殺人犯へ、あなたを無罪にして差し上げます」というキャッチコピーや、予測不能な展開など、魅力もたっぷりです。この記事では、全話のあらすじとネタバレ、主要登場人物、感想などをまとめています。
登場人物
- 明墨正樹(演:長谷川博己)
本作の主人公。どんな証拠が揃っていても殺人犯を無罪にする「アンチ」な弁護士 - 赤峰柊斗(演:北村匠海)
明墨の法律事務所に所属する新米弁護士。明墨の型破りな弁護手法に反発する。過去に政治家の息子による冤罪事件に関わった経験があり、それが明墨との関係を深めるきっかけとなる - 紫ノ宮飛鳥(演:堀田真由)
明墨の法律事務所で働く若手弁護士。明墨の常識外れな弁護手法に戸惑いながらも、真実を追求しようと奮闘する - 白木凛(演:大島優子)
明墨法律事務所のパラリーガル - 青山憲治(演:林泰文)
明墨法律事務所のパラリーガル - 緋山啓太(演:岩田剛典)
町工場の社長殺人事件の被告人 - 倉田功(演:藤木直人)
千葉県警刑事部長 - 伊達原泰輔(演:野村萬斎)
検事正 - 緑川歩佳(演:木村佳乃)
東京地検の検察官。明墨としばしば対立する - 桃瀬礼子(演:吹石一恵)
明墨の元同僚 - 志水裕策(演:緒形直人)
死刑囚
各話のあらすじ(ネタバレ注意)
明墨法律事務所に入所した正義感の強い若手弁護士・赤峰柊斗は、明墨正樹の犯罪者であっても無罪にしてしまうやり方に反発しますが、同僚弁護士・紫ノ宮飛鳥やパラリーガルの白木凛、青山憲治とともに裁判に取り組むうちに、明墨には真の目的があるのではないかと疑うようになる。
第1話 -接点-
弁護士の明墨正樹は、町工場の社長殺害事件で殺人疑惑を持つ緋山啓太の弁護を担当。検察側が提示する防犯カメラ映像、指紋、DNA鑑定書、第一発見者の証言という4つの証拠に対し矛盾を巧みに指摘し、その信憑性を揺るがす。特に被害者の幼い息子・湊を利用して指紋が事件以前に付着した可能性を証明し、緋山に有利な証言をさせる。さらに緋山に凶器のハンマーを事件前に失くしたと証言するよう提案し、常識外れの手段で無罪を勝ち取ろうとする。
第2話 -拒絶-
明墨は被害者の爪に残された緋山のDNAが捏造されたものだと主張し、法医学者の中島教授と助手の水卜健太朗を調査する。
明墨は法廷で水卜の告発映像を公開し、中島教授が検察側の圧力で鑑定を改ざんしたことを指摘。結果、緋山は無罪判決となる。しかし赤峰は、釈放された緋山が血の付いた服を捨てるのを目撃してしまう。そして緋山が真犯人だと確信し、明墨に怒りをぶつける。
明墨が「ももせれいこ」と刻まれた墓の前で涙を流すシーンが描かれ、彼の過去が示唆される――。
第3話 -過去-
明墨は、大物政治家の息子・富田正一郎が起こした暴力事件の弁護を引き受ける。担当検事は緑川。明墨はドライブレコーダーの映像を証拠に富田親子の不正を暴くが、意図的に裁判に敗訴する。これは、かつて富田によって冤罪に陥れられた赤峰のために、明墨が仕組んだことだった。
明墨は5年前から弁護士に転向し、それ以前は検事だったことが明らかになる。
第4話 -冤罪-
明墨は死刑判決を受けた志水裕策に面会し、彼の無罪を証明すると誓う。
そんな明墨は宇野弁護士の不倫を暴き、連続不同意性交で逮捕された来栖礼二の弁護を譲り受ける。明墨たちは来栖の3件目の被害者・絵里が警察と共謀して彼を陥れたと確信する。
赤峰は、12年前に紫ノ宮の父である千葉県警刑事部長の倉田が志水裕策の事件で証拠を隠蔽したことに明墨が気づき、倉田を陥れて志水の無罪を勝ち取ろうとしていることを知る。
第5話 -因縁-
伊達原検事正は明墨を呼び出し、彼が志水を死刑囚にしたことをあざ笑う。明墨は来栖の弁護を通じて、絵里が警察に脅されて偽証したことを法廷で証言させ、倉田刑事部長は逮捕される。紫ノ宮は父が何かを守るために犠牲になったと考える。物語の終盤、緋山が明墨の事務所に現れ、明墨が「例のものは手に入りそうか」と尋ねるシーンが描かれ、二人の協力関係が明らかになる。
第6話 -不正-
明墨は緋山に江越という人物を調べさせ、12年前の糸井一家殺人事件の証拠を探していた。
大洋出版の元編集長・沢原麻希(珠城りょう)が個人情報流出で一審有罪となり、控訴審を明墨のチームが担当。沢原を陥れるために大洋出版の上田が加崎副大臣と組んで仕組んだことが判明する。
明墨は上田のGPSと尾行がバレて証拠不採用となるが、これは明墨の狙い通りで、実は瀬古判事を狙っていたことが明らかになる。夜のバーで、瀬古判事は伊達原と明墨を陥れる相談をしていた…。
第7話 -追求-
明墨は瀬古判事が富田議員と繋がり、賄賂を受け取って息子の罪を隠蔽していたことを暴く。富田議員の秘書・小杉を利用して瀬古の不正を証言させ、瀬古は弾劾裁判で判事の座を追われる。沢原副編集長は無罪となり、「12年前に瀬古判事が死刑宣告した志水は冤罪の可能性がある」という記事を掲載する。
明墨は志水の娘・紗耶に、自分が志水を取り調べ、自白させたことを謝罪し、真実を伝えようとする。一方、緋山は江越の居場所をみつけたようだが、赤峰が緋山が捨てた血のついた作業着を持って現れ、緋山に「江越とは誰だ?」と問い詰める。
第8話 -真実-
赤峰は緋山が殺人を犯した際の血のついた作業着を回収していた。
緋山は羽木社長を殺害したこと、そして12年前に江越からの依頼で盗撮した動画に志水のアリバイが映っていたことを明かす。明墨は紗耶に、自分が志水の取り調べで自白させたことを謝罪し、志水に面会。紫ノ宮は、12年前に伊達原と倉田がアリバイ動画を隠蔽したことを知る。
明墨は江越に直接会って動画を渡すよう交渉するが、伊達原が先回りしており、ハードディスクごと動画データを削除してしまう。
第9話 -約束-
赤峰は、桃瀬礼子の母親から桃瀬が残した日記を手に入れる。日記には、桃瀬が伊達原の下で働いていた頃に志水の冤罪の噂を聞き、独自に調査を進めていたことが綴られていた。
桃瀬は、盗撮動画に映る志水のアリバイはもちろん、糸井一家殺人事件で毒物鑑定された硫酸タリウムの症状が志水の症状と異なること(ボツリヌストキシンによるもの)にも気づいていた。タリウムは志水が手に入れやすい毒物だったため、志水が犯人であるということを裏付けるために、毒物が改ざんされたようだった。しかし、鑑定した科捜研の平塚という人物は既に病死していた。
明墨と紫ノ宮は収監中の倉田と面会し、倉田が伊達原の圧力により志水のアリバイ動画を隠蔽したことを自白させるが、白木凛が緋山の血のついた作業着を伊達原に渡し、明墨は証拠隠滅の罪で逮捕されてしまう。
明墨の裁判は伊達原が担当することになり、絶体絶命の状況に……。
第10話 -正義- (最終回)
明墨が証拠隠滅罪で裁判に立ち、伊達原との因縁の対決が繰り広げられる。明墨は毒の件を語り始め、伊達原を追い込もうとするが、その情報も白木によってバラされてしまう。伊達原は白木から得た情報で平塚の鑑定書類を事前に処分した…が、その様子は録画されていた。
実は白木は裏切っておらず、明墨の指示で伊達原を罠にかけていた。そして緑川検事も、伊達原の不正を暴くために明墨に協力していた。緑川は明墨や桃瀬の同期であり、桃瀬から志水の冤罪について相談されていた。
どうやら平塚の鑑定書類も明墨の偽造であり、すべては伊達原を追い詰めるための明墨の計画だった。
緋山は自首し、遺族に謝罪の手紙を綴り始める。
志水の再審請求は通り、晴れて無罪となる。釈放された志水は娘の紗耶と抱き合うことに。
感想
最終回では、明墨が自ら証拠隠滅罪で裁かれるという衝撃的な展開を迎えました。しかし、これは伊達原の不正を暴くための明墨の周到な計画であり、白木凛や緑川検事といった仲間たちの協力によって、伊達原の悪事が白日の下に晒されました。そして、ついに志水の再審無罪が勝ち取られ、明墨の長年の目的が達成されました。
明墨の行動は、時に非道に見えながらも、その根底には揺るぎない信念と、法だけでは救えない人々を救おうとする強い意志がありました。最終的にアンチな正義が、新たな希望を生み出す結末となりました。
長谷川博己さんをはじめ、北村匠海さん、堀田真由さん、大島優子さん 、木村佳乃さん、野村萬斎さん、緒形直人さん、藤木直人さんなど、実力派俳優陣の熱演もまた物語の魅力を一層引き立てていたと思います。
予測不能なストーリー展開も見事で、各話で新たな事件が描かれつつも、それらが全て志水事件の真相解明へと繋がる伏線となっていました。特に検事正・伊達原泰輔、刑事部長・倉田功といった司法組織の闇が徐々に暴かれていく過程に引き込まれます。
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