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推理ゲーム

探偵 神宮寺三郎 KIND OF BLUE|ネタバレ徹底解説【あらすじとストーリーなど】

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探偵 神宮寺三郎 KIND OF BLUE(カインド オブ ブルー)』は、2004年4月22日にワークジャムからPS2用ソフトとして発売されたアドベンチャーゲームです。〈神宮寺三郎〉シリーズの9作目にあたり、前作『探偵 神宮寺三郎 Innocent Black』の直接的な続編という位置づけになっています。この記事では、あらすじ、登場人物、ネタバレ、考察などをまとめています。

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あらすじ

前作『Innocent Black』で洋子が事務所を去ってから4ヶ月。神宮寺は仕事もなく荒れた生活を送っていた。そんな中、関東明治組の今泉から、若頭補佐である蒲生勝の身辺調査を依頼される。調査を進めるうちに、神宮寺は〈蒼ざめた馬〉と呼ばれる秘密組織の存在に巻き込まれていくが、依頼主の意向でこの件からは手を引くことになる。

その後、神宮寺はサックスプレイヤー・エディが作った未発表曲『ブルー、オーバー・ザ・ブルー』の全曲を探すという新たな依頼を受ける。この調査を通じて、エディの孫娘であるカウンセラーの日比野藍子と出会い、彼女の抱える心の闇や、彼女がカウンセリングを行うクライアントたちの過去に触れることになる。そして、偶然にも藍子のカウンセリングを受けていた洋子と再会を果たす。

登場人物

ネタバレを含む内容になっています

  • 神宮寺 三郎(じんぐうじ さぶろう)
    洋子不在の影響で精彩を欠き、荒れた生活を送っていた探偵。事件を通じて自身の「弱さ」や「人間臭さ」を露呈し、探偵としての本質を再認識していきます
  • 御苑 洋子(みその ようこ)
    神宮寺探偵事務所の元助手。前作で解雇された後、ニューヨークで藍子と出会い、彼女のカウンセリングを受けていました。神宮寺と再会し、彼の探偵としての真の姿を再認識することで、再び助手として復帰します
  • 熊野 参造(くまの さんぞう)
    新宿淀橋署警部。神宮寺とは旧知の仲で、時に彼を逮捕する立場にありながらも、人間的な感情を見せる場面があります
  • 今泉 直久(いまいずみ なおひさ)
    関東明治組若頭。蒲生の身辺調査を神宮寺に依頼し、後に〈蒼ざめた馬〉に拉致されることになります
  • 風林 豪造(ふうりん ごうぞう)
    関東明治組組長。今泉の誘拐事件で神宮寺に協力を求めます
  • 天沼 かすみ(あまぬま かすみ)・まなみ(あまぬま まなみ)
    神宮寺の行きつけのバー「バーかすみ」を経営する姉妹
  • 日比野 藍子(ひびの あいこ)
    ライフボートのカウンセラーで、エディの孫娘。過去に非行歴があり、当初は神宮寺に非協力的ですが、事件を通じて心を開いていきます
  • 崔 和雄(さい かずお)
    犯罪者更生施設ライフボートの主催者。元犯罪者でありながら、思慮深く、藍子を支える存在です
  • 蒲生 勝(がもう まさる)
    明治組の若頭補佐。出所したばかりのヤクザで、物語の序盤で〈蒼ざめた馬〉によって殺害されます
  • 鳥羽 克臣(とば かつおみ)
    秘密組織〈蒼ざめた馬〉の首謀者。ジャズを愛好する人物ですが、最終的には殺害され、組織も解体されます
  • 富樫 之彦(とがし ゆきひこ)
    神宮寺の周辺に現れる謎の男。後に本庁の監察担当官であることが判明し、九鬼に引導を渡します
  • 九鬼 保孝(くき やすたか)
    組織犯罪対策本部長。ヤクザや探偵を嫌悪しており、神宮寺を逮捕しますが、後に自身が罠にはまり逮捕されます
  • 江戸 正国(えど まさくに / エディ)
    ジャズバンド「SO-WHAT」のリーダー。意識不明の状態で入院中ですが、彼の未発表曲が物語の重要な鍵となります
  • 朝比奈 漣(あさひな れん)
    新宿中央公園でトランペットを吹くホームレス。エディのライバルであり、彼の過去を知る人物です
  • ライフボートのクライアントたち(薮中 健一、周 耀明、雑賀 元晴、高品 輝夫、麻生 恵美子)
    それぞれ過去に犯罪歴を持つ人々で、藍子のカウンセリングを受けています。当初は神宮寺に非協力的ですが、藍子を守るために行動します
  • 源田 照義(げんだ てるよし)
    ライフボートのクライアント。物語の序盤で殺害されます
  • 青山 直樹(あおやま なおき)
    中学生の天才ハッカー。神宮寺の依頼で〈蒼ざめた馬〉の極秘データを解析します

  • 雨宿りのために神宮寺の事務所に住み着いた猫。神宮寺の荒れた生活を象徴し、洋子との関係性にも関わってきます
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ネタバレ

物語は〈蒼ざめた馬〉に関する事件と、ジャズの曲探しという二つの異なる事件が並行して進行し、直接的には結びつかないまま展開していきます。
最終的に〈蒼ざめた馬〉は首謀者である鳥羽克臣の死と共に解体され、エディの曲は完成し、藍子の心の苦しみも解放されます。そして、洋子は再び神宮寺の助手として事務所に戻り、神宮寺も本来の調子を取り戻すことで物語は幕を閉じます。

蒼ざめた馬

〈蒼ざめた馬〉は旧体制を破壊し、新しい世界を創ることを目的とした秘密組織でした。しかし、最終的に首謀者である鳥羽克臣は殺害され、組織は空中分解します。彼らが計画していた「Xデー」(世界を変える日)には、結局何も起こりませんでした。鳥羽の最期は呆気なく、神宮寺との直接的な対決もありませんでした。

余談ですが、『蒼ざめた馬』というタイトルの推理小説もあります。内容は全く異なっています。

事件について

源田照義は、末期癌で余命いくばくもない状態でした。彼の死は、九鬼保孝を陥れるために、ライフボートのクライアントたちが仕組んだ自殺でした。彼らは九鬼の名刺入れを凶器に見せかけ、九鬼の指紋を偽装することで、彼を殺人犯に仕立て上げようとしました。
九鬼保孝は、元犯罪者であるライフボートのクライアントたちを過去に恐喝・脅迫していました。また、〈蒼ざめた馬〉 と裏で繋がり、押収品や密輸品を流していたことも発覚します。源田殺害事件の容疑者として逮捕されますが、神宮寺の調査により無実が証明されます。しかし、これまでの不正行為が明るみに出たことで、最終的に警察を免職となり、逮捕されます。

曲について

藍子には、父親が酒と女に溺れ、母親が父親を刺して自殺するという悲劇的な過去があります。藍子自身も非行に走り、少年院を出入りするような生活を送っていました。彼女がジャズを憎んでいたのは、家族の崩壊とジャズが深く関連していたためです。しかし、エディの未発表曲「ブルー、オーバー・ザ・ブルー」が、家族が幸せだった頃の思い出を歌った曲であることが判明し、藍子の心の傷が癒えるきっかけとなります。

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感想

タイトルはジャズの巨匠マイルス・デイビスのアルバム『カインド・オブ・ブルー』から取られており、作中にもジャズが重要なテーマとして登場します。
本作では、捜査に必要な物品の購入が可能なお金システムや、相手の心理を読み解くトークプロファイルシステム(TPS)がシリーズで初めて導入され、後のシリーズにも受け継がれるシステムとなっています。また、キャラクターデザインも変更されています。
良かった点

  • 人間ドラマの完成度
    前作『Innocent Black』でこじれた神宮寺と洋子の関係を修復する物語として、完成度が高いと思います。神宮寺が洋子不在の影響で「らしくない」弱さや人間臭さを見せ、事件を通じて成長していく姿が丁寧に描かれています
  • リアルな人物描写
    調査に非協力的な登場人物や、過去に罪を犯した人々が抱える苦悩など、現実味のある人間描写が魅力的です。特に、元犯罪者の社会復帰という難しいテーマに取り組んだ点も
  • 独特の雰囲気作り
    ほとんどのシーンが雨天や曇天で描かれ、神宮寺や登場人物たちの鬱屈した心情と絶妙にマッチしています。エンディングで晴天になる演出は、神宮寺と洋子の関係の回復を象徴しています
  • ハードボイルドなセリフ回し
    神宮寺の心の声などで見られる気取った言い回しは、作品のハードボイルド感を高めています

気になった点

  • ストーリーの単調さ
    全体的に派手さに欠け、特に序盤のジャズ探しやクライアントへの聞き込みなど、ゲームとして退屈に感じる場面があります
  • 「蒼ざめた馬」の結末
    鮮烈に登場した「蒼ざめた馬」と首謀者・鳥羽の最期が呆気なく、期待していたほどの盛り上がりはなかったと思います
  • 登場人物への拒否反応
    元犯罪者であるライフボートの関係者たちなど感情移入しにくい
  • 前作との関連性
    本作は前作『Innocent Black』の続編です。前作をプレイしていないと物語の背景を完全に理解しにくいです

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