『レイトン教授と最後の時間旅行』は、レベルファイブが開発発売した〈レイトン教授シリーズ〉の第3作です!ニンテンドーDS向けに2008年に発売され、その後スマートフォン版も登場しています。シリーズ初期3部作の完結編であり「ナゾトキ×タイ ムスリップ」をテーマにした感動的な物語が展開されます。ゲーム内の謎は、『頭の体操』の著者である多湖輝氏らが監修しており、前作を上回るボリュームと難易度を誇ります。この記事では、あらすじやネタバレ、感想などをまとめています。
あらすじ
著名な考古学者であるレイトン教授とルークのもとに、10年後の未来のルークと名乗る人物から奇妙な手紙が届く。未来のルークいわく、ロンドンが危機に瀕しており、助けが必要らしい。
ちょうどその頃、ロンドンではタイムマシンの完成記念式典で事故が発生し、科学者数名とイギリスのビル・ホーク首相が行方不明になっていた。式典にはレイトン教授も招待されており、目の前で起きた不可解な出来事から、手紙の内容が単なるいたずらではないと直感する。
手紙に記されたミッドレント通りの時計店へと向かった二人は、そこで奇妙な巨大時計の謎を解き明かす。時計が動き出すと同時に大きな振動が起こり、外に出たレイトンたちが見たのは、荒廃し見慣れない姿に変貌したロンドンの街並みだった…。
未来のロンドンで、成長した青年ルークと出会ったレイトンたちは、驚くべき事実を知ることになる――この未来のロンドンは、悪に染まった10年後のレイトン教授によって支配されている――。未来のルークは、過去から科学者たちを誘拐し、完璧なタイムマシンを完成させようとしている未来のレイトンを止めてほしいと依頼。自身の未来の姿が悪の支配者となっているという信じがたい事実に直面しながらも、レイトン教授は真実を解き明かすため、ルークと共に未来のロンドンでの調査を開始する。
ネタバレ
未来のロンドンでの調査を進める中で、レイトンたちは様々な人物と出会い、不可解な出来事に遭遇します。行方不明になったはずのビル・ホーク首相や、レイトン教授の大学時代の恋人であるクレアに瓜二つの女性・サリアス、そしてかつてのライバルであるドン・ポールも現れます。
未来のロンドンの正体は、タイムスリップではなく、ロンドンの地下深くに作られた巨大な地下都市でした。時計店は地下へのエレベーターであり、実はタイムスリップみせかけたトリックでした。
未来のルークを名乗っていた人物の正体は、クラウスという青年でした。彼はかつてレイトン教授が関わった研究所の爆発事故で両親を失っており、その事故を引き起こした科学者や政治家への復讐を誓っていました。
クラウスは、爆発事故でクレアを失ったディミトリー博士のタイムマシンを完成させて過去をやり直したいという願望を利用していました。しかし、クラウスの真の目的はタイムマシンの完成ではなく、ディミトリーに科学者たちを集めさせ、巨大な軍事兵器を開発させることでした。彼はその兵器でロンドンを破壊し、復讐を遂げようとしていました。
クレアに瓜二つのサリアスの正体は、紛れもないクレア本人でした。彼女は爆発事故の際に不完全なタイムマシンの実験によって未来に飛ばされており、10年後のロンドンに存在していました。しかし、時間の流れに逆らった存在であるため、彼女の体は元の時代に戻ろうとしており、やがて消滅してしまう運命でした。
クラウスの野望を阻止した後、クレアはレイトン教授に再会できた喜びと、再び別れなければならない悲しみを伝え、事故が起きた過去へと戻り、静かに消滅します。
結末
事件解決後、ルークは父親の仕事の都合でアメリカへ引っ越すことになり、レイトン教授との別れを迎えます。二人の固い絆が描かれる感動的な別れの後、物語はエピローグへと移ります。
しばらくして、レイトン教授のもとにルークから手紙が届きます。そこには、ルークが新しい街で遭遇した新たな謎について書かれており、レイトン教授に助けを求めていました。この手紙に同封されていた最後の謎を解き明かすことで、物語は幕を閉じ、レイトン教授とルークの新たな冒険の始まりを予感させます。
その他のネタバレ内容
- 本作のタイトル「最後の時間旅行」は、単にレイトンたちが未来へ行くことを指すだけでなく、物語の終盤で明らかになるクレアの「最後の時間旅行」を意味するダブルミーニングとなっています
- ドン・ポールがレイトン教授をライバル視する理由が本作で明かされます。実は彼は大学時代、クレアに想いを寄せており、レイトンとクレアが結ばれたことでレイトンを一方的にライバル視するようになったという、切ない過去がありました
- レイトン教授のトレードマークであるシルクハットは、クレアから贈られたものであり、「私の前以外では脱いだらダメ」という約束を守るために常に被っていたことが本作で明らかになります
- エンディングでのルークとの別れのシーンは、多くのプレイヤーにとって感動的な名場面として語り継がれています。ルークがレイトンに抱きついて大泣きする姿や、レイトンが「人前で泣くものではないよ。英国紳士としてはね」と優しく諭すシーンは印象的です
- 物語の最後、ルークから届く手紙に同封された謎は、プレイヤーが最後に解く謎となります。これは、ルークがレイトン教授から学んだ探偵としての成長を示すものであり、二人の絆を感じさせる演出です
登場人物
- エルシャール・レイトン(声:大泉洋)
- 主人公。英国紳士で、考古学の教授。冷静沈着で優れた洞察力を持つ。シルクハットはクレアからの贈り物
- ルーク・トライトン(声:堀北真希)
- レイトン教授の一番弟子。動物と話せる能力を持つ。素直で心優しい少年
- 青年ルーク / クラウス・アルバトロ(声:小栗旬)
- 未来のロンドンでレイトンたちが出会う青年。爆発事故の犠牲者の息子であり、復讐のために暗躍する
- ディミトリー / スタンガン博士(声:上川隆也)
- タイムマシン開発に情熱を燃やす天才科学者。クレアを深く愛しており、彼女を救うために過去を変えようとする
- クレア・フォーリー(声:木村佳乃)
- レイトン教授の大学時代の恋人。研究所の爆発事故で命を落としたと思われていたが…
- サリアス(声:木村佳乃)
- クレアに瓜二つの女性。クレアの妹と名乗るが、その正体は…クレア本人
- アロマ(声:能登麻美子)
- レイトン教授を慕う少女。危険を顧みずレイトンたちに同行しようとする
- ドン・ポール(声:稲葉実)
- レイトン教授を一方的にライバル視する科学者。過去作では敵対していたが、本作では意外な形で協力する
- チェルミー警部(声:斎藤志郎)
- ロンドン警察の敏腕警部。強引な捜査が特徴だが、正義感は強い
- バートン(声:杉野博臣)
- チェルミー警部の助手。食いしん坊で、どこか天然な巡査
- ビル・ホーク(声:石住昭彦)
- イングランドの首相。タイムマシン完成記念式典の事故で行方不明になる
- ナゾーバ
- 謎を収集する謎の占い師。シリーズ皆勤賞。今作では孫娘に任せている
- ナゾリーヌ(声:小倉優子)
- ナゾーバの孫娘。独特な話し方をする
- ナゾービー(声:柳原哲也)
- ナゾーバの飼っているハチ。関西弁で話す
- ボストロ(声:平井善之)
- 未来のロンドンにいるマフィアのボス。考えることは苦手
- 3号(声:原口あきまさ)
- 研究所の実験台だったウサギ。レイトンたちの行く手を阻む
- オウム
- 光るものが好きな鳥。ミニゲームにも登場し、人の言葉を覚える
- ポーロ
- 東洋の探検家。シリーズ皆勤賞。道に迷いがちだが、謎解きのヒントをくれることも
- ヒゲマフラー
- 不思議な町の住人だったが、ロンドンにも出没。シリーズ皆勤賞
感想
『レイトン教授と最後の時間旅行』は、初期3部作の集大成として、ストーリー、謎解き、キャラクター、演出の全てが高水準な傑作ゲームです!特に、レイトン教授の過去に深く切り込み、彼の人間的な魅力や抱える悲しみを丁寧に描いたストーリーは秀逸です。タイムスリップというSF要素を導入しつつも、それをミステリーのトリックとして昇華させる展開が、これまた見事です。
過去作のキャラクターたちが再登場は、ファンにとって嬉しいポイントです。ドン・ポー ルとの共闘や、チェルミー警部の活躍など、脇を固めるキャラクターたちも魅力的です。謎解きもバラエティ豊かで、最後まで飽きさせない工夫が凝らされています。
一部には、トリックのスケールが大きすぎて現実離れしているという意見や、クラウスの動機に納得できないという声もあるようですが、それらを補って余りあるほどの感動と驚きが詰まった作品だと思います。レイトン教授シリーズをプレイしたことがない方にも、ぜひ1作目の『不思議な街』からプレイして、この感動的な物語の結末を見届けてほしいと思います。
前作および続編
レイトンシリーズ1作目は『不思議な街』、2作目は『悪魔の箱』です!あらすじやネタバレ、登場人物などは下記の記事にまとめています!
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