平成のエラリー・クイーンこと青崎有吾さんのミステリー小説『図書館の殺人』のあらすじや感想、ネタバレなどをまとめて紹介します!この小説は〈裏染天馬〉シリーズの第3長編です(短編も含めると4作目です)。青崎さんの〈館〉シリーズともいえそうなタイトルです。
あらすじ
風ヶ丘高校の生徒も利用する市立図書館で、男子大学生・城峰恭助が閉館後、図書館の中で殺された。山田風太郎の『人間臨終図巻』の本で死亡した被害者は、なんと二つの奇妙なダイイングメッセージを残していた。1つは、血で書かれたひらがなの「く」の文字。もう1つは、『ラジコン刑事』という小説の表紙につけられた丸印だった…。
小説の特徴
「トリックの奇抜さ」「御手洗潔のキャラクター」といった要素が特徴です!
- 館ものミステリ:独特な『図書館』が事件の舞台となります!
- 読者への挑戦:トリックの解明を促す構成です!(解けるかどうかはおいておいて…)
- 個性的な探偵!:裏染天馬は型破りな行動と卓越した推理力を持つ個性的な探偵といえますね。
感想
図書館という舞台設定とダイイングメッセージという要素が組み合わさった本格ミステリーで、読み応えがありました。特に、主 人公である裏染天馬のロジック極まる推理は読みどころです。学園ものとしての側面もあるので、高校生たちの日常や人間関係も楽しむことができます!
高評価なポイント
- 論理的な推理
ダイイングメッセージや現場に残された手がかりから、論理的に犯人を絞り込んでいく過程が面白い! - 魅力的なキャラクター
探偵役の裏染天馬をはじめ、登場人物たちが個性的で魅力的です!ヒロインである袴田柚乃との掛け合いなど、クスッと笑えます - 青春ミステリー
学園を舞台にしているので高校生の日常や人間関係も楽しめます
低評価なポイント
- 過去作とのつながり
シリーズを通して読んでいるなら高評価ポイントなんですが…過去作を読んでいないと分かりにくい部分があります - 動機への不満
犯人の動機が弱いかもしれません - 不自然さ
図書館の設定や警察や犯人の行動に不自然さや無理があると感じるかもしれないです
ネタバレ注意
犯人は城峰美世子で被害者の母親です。城峰美世子は息子を追って図書館に侵入し桑島を殴り、その後、息子の殺害に至っています。
ダイイングメッセージは血で書かれた「く」という文字と『ラジコン刑事』の表紙に書かれた丸印だったわけですが、「く」は「母」を意味しており、被害者が途中で息絶えたため、途中までしかかけていませんでした。
裏染天馬は、現場に残された血痕やカッターナイフの破片などなどからロジカルに犯人を特定していきます。なお、持ち去られた本『鍵の国星』は鍵の国星の犯人が被害者となる王子の母だったからです。
まとめ
本格ミステリーと学園ものが融合した、エンターテイメント性の高いシリーズ作品です。論理的な推理や魅力的なキャラクター、意外な犯人などなど、ミステリー好きはもちろんですが、学園ものが好きな方にもおすすめできます!
この本を読んだ読者へのおすすめ
未読の方は少ないと思いますが、同じく青崎有吾さんの第一長編「体育館の殺人」、第二長編「水族館の殺人」、第一短編連作集「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」はおすすめです。また、学園ミステリーが好きなら、米澤穂信さんの 「古典部シリーズ」もおすすめです。
コメント