ガリレオ・ドラマ第五話『絞殺る(しめる)』のあらすじやトリックをまとめ、感想と考察をご紹介します。第5話では火の玉が登場します。
あらすじ
ホテルで起きた密室殺人の被害者はペンション経営の男性だった。男性はベッドに仰向けに倒れ、首を絞められていた。絞殺の痕は特殊で凶器は不明であった。死亡推定時刻は被害者がホテルにチェックインしてから1時間後の午後6時。部屋の前には電気工事の作業員がおり、部屋に入ったのは被害者だけと証言する。しかし、部屋にはふたり分のコーヒーの容器が残されており、一方の容器からは睡眠薬も検出されていた。このことから犯人は、何らかの方法で部屋に侵入し、矢島を眠らせた後、絞殺したものと思われた。警察は生命保険を目当てに、被害者の妻が犯行に及んだと考えるが……。
事件概要
被害者が死んだと思われる時刻に、とある会社員が死体の見つかった部屋で火の玉を目撃しています。前日の夜、被害者が経営するペンションで娘も火の玉を見ています。この火の玉にガリレオは興味を示し、捜査に協力することになります。他殺とみる根拠は部屋に残されたコーヒーカップです。部屋に指紋はなく、奇麗に拭き取られているようでした。しかし、部屋に入った人物は被害者以外に誰もいないようです。一見、犯人の侵入と脱出方法に火の玉が関わっているようにみえますが、その真相は謎です。
ネタバレ
他殺ではなく、他殺に見せかけた自殺でした。原因はペンションの経営難で、保険金を得るため、自殺ではなく他殺にみせる必要がありました。火の玉は自殺の手口に関わってきます。被害者は眠っているうちに首を強く締める自動装置としてアーチェリーの弓を使いました。弓のしなりを利用して、首を絞めるという方法です。火の玉は、弦を切った際に生じた炎で、炎色反応と考えられます。
トリック
他殺にみせかけた自殺なので、被害者が犯人といえます。犯人は金という動機のために、自殺を他殺に偽装しました。そのトリックの一つが二つのコーヒーカップです。二つカップがあれば、誰かがいたように見えます。もう一つ重要なトリックは、自分で自分の首を絞める方法です。犯人はアーチェリーの弓を使いました。弓に長い弦と短い弦を張り、長い方を首に巻き付けておきます。この状態で、短い方を切れば、長い方の弦で弓がしなり、弦がピンと張ります。そして首が絞まります。弦は簡単には切れない素材なので、焼き切る必要がありました。この事件でははんだごてが使われています。
二つのカップ
湯川は、もしも犯人が正体を隠そうとしたのであれば、コーヒーカップは処分したはずだ、と指摘しています。確かに、わざわざ指紋を拭き取るよりも手っ取り早い方法です。決定的ではなく、それが被害者の自殺を裏付けるわけでもありませんが、不自然な状況といえます。湯川はこれ以外に、被害者がベッドで寝ていたことにも違和感を覚えたようです。カップはテーブルに置いてあり、そのカップに睡眠薬が入っていたなら、それを飲んだ被害者はテーブルの近くで眠ったはずである、という理屈のように思います。
片付け
眠っている間に死ねたとしても、現場に弓などの証拠が残ってしまいます。これは、被害者の妻が、翌朝ホテルを訪ね回収しました。妻は誰にも気づかれずにホテルに入ったということです。現場は、古いホテルだった*1ようなので、従業員は少なく、防犯カメラなどもないのかもしれません。
*1:古いから駄目だ、と言っているように聞こえますが、そういうことではありません
湯川のスポーツ
第一話から、湯川先生のスポーツシーンが何度か放送されていました。これはエピソードの事件には関係のないシーンでしたが、今回は伏線になっていました。真相が発覚する前に、凶器は登場していたことになります。
考察
炎色反応は中学高校で習うようです。私は全く憶えていませんが、花火に色がついているのも炎色反応のようです。弦の素材は超高分子ポリエチレンらしく、つまり、熱すると炎が生じ、その色もまた素材の影響を受けると考えられます(ケミストリーはよくわかりません)。
他殺偽装
自殺を他殺に偽装するというトリックを描いた世界初の探偵小説はシャーロック・ホームズの「ソア橋のなぞ」です。この作品には明確な容疑者がおり、自殺者はある人物に罪をなすりつけ貶めようとしていました。このように他殺偽装は具体的な犯人を用意しておくことが多いですが、「絞殺る」はそのような傾向はありません。罪をなすりつけられそうになった犯人は無実を主張するはずなので、容疑者を準備しない方が捜査は難航するのかもしれません。ただ、容疑者がおらず、他殺だと断定できない状況が続くと、自殺という線に目が向きそうではあります。
感想
福山さんのかっこいい姿を見る時間だと思っていたあのスポーツシーンは、エピソードを越えた伏線になっていました。驚嘆です。内海がガリレオに惚れるシーン、という意味合いもあったと思いますので、伏線になるなんて思いもしませんでした。
夫の死
今回も直樹回と同じくらい悲しいお話でした。夫の死体をホテルで見つけたときの、妻の感情は、どのようなものでしょうか。想像を絶します。ショックが大きすぎて無心になってしまうのか、気丈に振舞おうとするのか、それは人それぞれのような気もしますが、ドラマで描かれたその様子はとても現実的だったと思います。直筆の遺言をみると泣き崩れてしまいそうです。
学生結婚
学生結婚に反対する理由は、そんなの一時の気の迷いなのだからやめておきなさい、ということでしょうか。多くの人がそれに気付き、そう言いふらすことで、現在、結婚する人が減ったのですね。そして少子高齢化が進んだのですね。ふむふむ。永遠なんて言葉、知らなかったよねー。
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