『DOPE 麻薬取締部特捜課』は木崎ちあきさんの小説で、近未来の日本を舞台に、新型ドラッグと国家の陰謀に立ち向かう麻薬取締官たちの姿を描いたサスペンスです。SF的な異能の要素と、リアルな麻薬犯罪の描写、そして登場人物たちの人間ドラマが緻密に絡み合う、ジャンル横断型のエンターテイメントとなっています。2025年7月からはドラマの放送が始まります。この記事では原作小説のあらすじや登場人物、ネタバレなどをまとめています。
あらすじ
謎の新型ドラッグ・DOPE(ドープ)が社会に蔓延し、異能力者が跋扈する近未来の日本――DOPEを摂取して異能に目覚めた者はドーパー、その能力が遺伝した者は先天性ドーパーと呼ばれ、社会問題になっていた。そんな中、政府は麻薬取締部特捜課を設立し、異能犯罪に立ち向かう
登場人物(キャスト)
- 才木優人(さいき ゆうと)役:髙橋海人(King&Prince)
真面目で正義感に溢れる新人麻薬取締官。幼い頃に経験した無差別テロ事件で警官に助けられたこと、そして母親がDOPE中毒に苦しんだ過去から、麻薬取締官の道を志します。悪い未来を予感する「第六感」という特殊な能力を持ち、その才能を見抜いた課長によって特捜課に配属されます - 陣内鉄平(じんない てっぺい)役:中村倫也
才木の教育係を務めるベテラン麻薬取締官。常識はずれで型破りな言動が目立ち、DOPE服用者の更生には否定的という冷徹な現実主義者です。過去に妊娠中の妻を薬物中毒者による強盗事件で殺害された壮絶な経験を持ち、その復讐心からある秘密を抱えています - 綿貫光(わたぬき ひかる)役:新木優子
特捜課の紅一点で、元SAT隊員という経歴を持つ最強の麻薬取締官。自分にも他人にも厳しいストイックな性格で、才木と陣内のバディを冷静に見守り、チームの要となる存在です - 泉ルカ(いずみ ルカ)役:久間田琳加
ドラマオリジナルキャラクター。原作には登場しません - 葛城康介(かつらぎ こうすけ)役:三浦誠己
麻薬取締部特捜課の課長。才木の「第六感」を見抜き、彼を特捜課に引き入れた人物です。陣内の裏の顔を知りながらも、彼を特捜課のS(スパイ)として再起用しようと画策します - 柴原拓海(しばはら たくみ)役:豊田裕大
嗅覚が鋭い麻薬取締官。才木や陣内と共に事件解決に挑みます - ジウ
多国籍マフィア「白鴉」のリーダー。陣内と協力関係にあり、物語の鍵を握る謎多き人物です
ネタバレ
任務を進める中で、才木は陣内の過去に触れます。陣内はかつて、薬物中毒者による強盗事件で、妊娠中の妻・香織を目の前で殺害されたという壮絶な経験をしていました。
妻を殺害した犯人とされた人物は、多国籍マフィア「白鴉」の幹部で入れ墨の臼井裕樹でした。臼井は獄中自殺したとされていましたが、実際は白鴉のリーダー・ジウの情報により、日本の暴力団組織「関東仁龍会」の組員に殺されていたことが判明します。臼井の入れ墨は、罪を白鴉に擦り付けるための偽装だったわけです。
実は陣内は妻の死の真相を追うため、ジウと手を組み、白鴉に情報を流すスパイとして特捜課に潜入していました。
陣内の復讐のターゲットは、妻を殺した真犯人「嘉賀」と、その背後にいる「関東仁龍会」でした。陣内とジウは協力し、嘉賀の雇い主である仁龍会系二次団体の若頭・窪靖彦を誘拐し、情報を引き出そうとします。この過程で、警察内部にも仁龍会との癒着があったことが発覚。特捜課のスパイ・山田ニコラスの報告から、窪が新宿中央署強行犯係係長・本郷警部補、そして陣内の元同期・戸倉と繋がっていたことが明らかになります。本郷と戸倉は、娘の臓器移植の資金援助を受けるために仁龍会に弱みを握られ、過去の三億円盗難事件を揉み消していました。陣内の妻・香織は、この事件を追っていたために殺されていました。
結末
妻の死が仕組まれたものだったと知った陣内は、激しい怒りを胸に戸倉を屋上に追い詰め、銃口を向けます。そこに駆けつけた才木は、陣内を止めようと必死に説得。陣内は才木に自分がスパイであったこと、そして妻を失った悲しみを打ち明け、才木を気絶させてその場を去ります。
才木が目を覚ますと、陣内はすでに自首していました。
才木は久々に会う母親に「俺も麻薬と戦うから、母さんも戦って」と告げ、麻薬取締官としての新たな決意を固めます。
その後、東京医療刑務所に収監された陣内の前に、刑務官に変装したジウが現れます。ジウは陣内に「勝手に舞台から降りてもらっては困りますよ」と告げ、意味深な言葉を残して去っていきます。特捜課の課長・葛城も陣内をS(スパイ)として特捜課に戻そうと動いていることが示唆され…物語はまだ終わらないことを予感させる形で幕を閉じます。
原作の感想
- 「復讐」と「贖罪」のテーマ
陣内が抱える復讐心と、最終的に自らの罪を受け入れる姿は、読者に「正義とは何か」「贖罪とは何か」を問いかけます。才木の理想主義と陣内の現実主義の対比が、物語に深みを与えています - キャラクターの成長と葛藤
才木は、現実の闇に触れることで、ただの正義感だけでなく、痛みを知った上で戦い続ける強さを手に入れます。陣内もまた、復讐の先に新たな道を見出そうとします - 警察組織の闇
警察内部の腐敗や癒着という社会派なテーマが盛り込まれており、勧善懲悪では 終わらないリアルな描写が読者の心を揺さぶります - 魅力的なサブキャラクター
綿貫のストイックさ、山田ニコラスの意外な忠誠心、葛城課長の器 の大きさなど、主要人物だけでなく、周囲のキャラクターも物語に深みを与えています - 続編への期待
ラストのジウの言葉は、物語がまだ続くことを強く示唆しており、読者に大きな 期待と余韻を残します
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