『難問の多い料理店』は『#真相をお話しします』の著者・結城真一郎が書いた連作短編集(それぞれのエピソードに繋がりのある短編)です。実は、公式NOTEで1話の『転んでもただでは起きないふわ玉豆苗スープ事件』が公開されています!
項目 | 説明 |
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タイトル | 難問の多い料理店 |
評価 | |
著者 | 結城真一郎 |
出版社 | 集英社 |
シリーズ | – |
発行日 | 2024年6月 |
Audible版 | 未発売 |
あらすじ
ビーバーイーツ配達員として日銭を稼ぐ大学生の僕は、注文を受けて向かった怪しげなレストランで、オーナーシェフと出会う。彼は虚空のような暗い瞳で、「お願いがあるんだけど。報酬は一万円」と、噓みたいな儲け話を提案し、あろうことか僕はそれに乗ってしまった。そして気づいた。
どうやらこの店は「ある手法」で探偵業も担っているらしいと。
空室に届き続ける置き配、火災現場に突入した謎の人物、なぜか指のない轢死体……。オーナーはどんな難問も華麗に解いてしまう。そして、配達員にこう伝えるのだ。
――「もし口外したら、命はない」
集英社文芸・公式(Note)
『注文の多い料理店』を意識したとしか思えないタイトルですが、宮沢賢治さんの作品はミステリーではなかったはずです(ミステリーっぽい部分をみつけて、それを根拠にミステリーだと言い張ることはできなくもないと思いますが…)。出版社の公式ページはお知らせがまとまっているだけではなく、なんと!一話目のエピソードが無料で公開されています。いやまあ、連作短編なので、一話を読むと続きも読みたくなって買ってしまう罠なわけですが、それでも、小説の短編で一話が無料で読めるって、結構すごい気がします。
収録作品
- 転んでもただでは起きないふわ玉豆苗スープ事件
- おしどり夫婦のガリバタチキンスープ事件
- ままならぬ世のオニオントマトスープ事件
- 異常値レベルの具だくさんユッケジャンスープ事件
- 悪霊退散手羽元サムゲタン風スープ事件
- 知らぬが仏のワンタンコチュジャンスープ事件
紹介動画や推薦コメント
様々な方が推薦コメントを出しています。『推薦』ですので、面白くなかったというコメントは登場しにくいわけでして…、かくゆうこのブログも、このページから本を買ってもらおうという魂胆がないわけではないので、当たり障りのない、いい感じのコメントを書いたりしてます。
ただ、下記の感想は、自分の感想に他の読者のレビューも加えて書いています(読者レビューの分析に機械学習を使ってます!)。というわけで、ネガティブな内容も書かれています。
真相をお話しします
今作とのつながりがあるわけではないので、前作というべきなのかどうかわかりませんが、『#真相をお話しします』もなかなか面白いと思います。
感想
前作『#真相をお話しします』が話題になり、読んでいたので『難問の多い料理店』も手に取ってみました。ビーバーイーツの配達員が運ぶ料理だけでなく、謎解きや情報提供など裏メニューを提供する「フードデリバリーを介したミステリー」という設定が独特で、アイデアの独創性を感じます。期待を裏切らないはず(期待の強さなんて人ぞれぞれですけども…)。前作とは違い、連作短編になっているので、よみやすい長編という感じです。エピソードが途切れるので、リズム感が出ます。長編好きの読者も、手に取りやすそうです。
謎の多いレストランのシェフが名探偵としての才能を発揮するわけで、興味深いです。このシェフは一体何者なのか?というのが個人的に気になるところなので、シリーズ化して欲しいです。結論については若干曖昧な印象もあるかもしれません。同じような展開が続いてるような気がして、飽きちゃう瞬間もありましたが、後半を迎えると面白くなるはずです。
個人的に印象に残ったのは4話の『異常値レベルの具だくさんユッケジャンスープ事件』でした。そしてそして、『#真相をお話しします』よりも、今作『難問の多い料理店』の方が好きでした。
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