『#真相をお話しします』は結城真一郎(ゆうき・しんいちろう)氏の短編推理小説集です。この記事では、各短編のあらすじとネタバレ、短編集の感想・考察などをまとめています。
項目 | 説明 |
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タイトル | #真相をお話しします |
評価 | |
著者 | 結城真一郎 |
出版社 | 新潮社 |
シリーズ | – |
発行日 | 2022年6月30日 |
Audible版 | あり |
文庫化 | 済 |
映画 | 2025年4月25日 公開予定 |
惨者面談
東大生の片桐は家庭教師派遣会社で、営業のバイトをしていた。営業成績トップの彼は仕事のため、矢野家へと向かう。矢野家には矢野悠という私立の小学校に通う六年生の男の子がいて、母親は受験に真剣らしい。東大生という肩書をもつ片桐がちょっとすすめれば、簡単に入会に持ち込めるに違いない、と思ったのだが…。
登場人物
名前 | 説明 |
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片桐 | 主人公。東大生 家庭教師の会社で営業のバイトをしている |
矢野悠 | 小学6年生 |
矢野真理 | 悠の母親。片桐の会社に相談 |
矢野慎一 | 悠の父親。海外赴任中で不在 |
ネタバレ
矢野家に到着した片桐の目に、家の前に散乱したゴミが飛び込んでくる。悠くんのものらしい子供用の自転車には埃がかぶっている。家の呼び鈴を鳴らすと、留守ではなさそうなのに返事がない。片桐の都合で訪問したわけではないのに、20分も待たされて、やっと扉が開いた。
悠はユウと読むらしく、親子の反応を見る限り、それは間違いなさそうだった。しかしその後、母親と会話がかみ合わない、模試の結果が見つからない、悠の緊張がいつまでもほぐれない、特技のピアノも披露してくれない、挙句の果てには、算数の問題を出すと全て110と答える始末。そんな不自然なことだらけの中、片桐は見つかった模試の中で、最もおかしな点に気付いてしまう。
真相解説(110の意味など)
片桐がみつけたのは、模試に書かれた名前で、そこにはヤノハルカと書かれていました。つまり、矢野悠の悠はユウではなく、ハルカと読みます。片桐は子供のことをユウと呼んでいましたが、これを母親と子供は訂正しませんでした。
片桐の前に現れた母親は偽者で、その人物は桂田恵子という近所に住む女性でした。本物の矢野真理は桂田に殺されており、殺人が起きたちょうどそのときに、片桐が訪ねてきたという状況でした。そして、母親だけではなく、子供も偽物です。この子は空き巣で、殺人犯の桂田に捕まり言いなりになっていました。110と答え続けたのには、警察に110番してくれ、という意味が込められていたようです。なお、本物の悠は数年前に事故で亡くなっています。母親は息子の死を受け入れらず、生きているように振舞っていました。
ヤリモク
パンドラ
三角奸計
#拡散希望
感想
読んでいる最中に展開や結末が予想できるのですが、それは罠で、さらに上をいくオチが用意されている印象でした。動画配信、リモート、マッチングアプリ、不妊などなど、昨今の流行りがテーマになっているので、読者のターゲットは若い人達なのかもしれません。短編ということもあり、とても読みやすいので、まだミステリなどを読み慣れていない方にオススメできる本だと思います。
皆さんの感想には『#拡散希望は本当に起こりそうだ』という内容の書き込みもいくらかありました。子育てをネタにして動画を投稿し、それがかなり行き過ぎていたという物語なわけですが、ユーチューバーというのは、それが実際に起きそうだと思われているようです。
考察
#拡散希望は島暮らしのある小学生がスマホを手にし、その直後に謎のユーチューバーが島に現れるという物語で、そのユーチューバーが本島に戻って殺害されます。こんなあらすじからは予想できない展開や結末が待っている――などと書いてこの下にアマゾンのリンク何かを貼ると、購入へと誘導しているとしか思えないわけですが……。
[ネタバレ注意]真相については触れませんが、ストーリーはシャーロック・ホームズの『赤毛組合』に似ています。自分の家で何やら起きているようだけどそれに気付かない、といった感じです。赤毛は当事者がホームズに依頼しましたが、『#拡散希望』は当事者が解決します。
みんなの感想
本の口コミを機械学習で1枚の画像にまとめました。サクサク読める、読みやすいなどの感想が多いです。
個人的には
個人的には拡散希望、もしくは、惨者面談が好きという方が多いようです。
短編なので、とても読みやすい。個人的には「惨者面談」と「♯拡散希望」が面白かった。
いずれも、そうきたか!と思わずにはいられないオチでした。ミステリーをよく読んでいる人にとっては、オチをある程度予測できるかもしれません。先読みしたりせずに、気軽に読むのがいいと思います。個人的には惨者面談と、やっぱり#拡散希望が好き!
まとめ
結城真一郎著「#真相をお話しします」について、あらすじ、みんなの感想、ネタバレなどをまとめました。この作品は、2023年本屋大賞10位に輝いており、さらに、収録されている5つの短編のうち「#拡散希望」は第74回(2021年)日本推理作家協会賞短編部門を受賞しています。著者のその他の作品は下記のページにまとめています。
文庫化
2024年6月に文庫版が発売されました。単行本の発売が2022年6月でしたので、2年後に文庫化されたことになります。
映画化
2025年4月25日に映画が公開されます!ただ、映画公式HPのあらすじなどを見る限り、原作はありまり関係ないような気もします…。
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