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生ける屍の死【あらすじ・ネタバレ感想】

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 生ける屍の死』は山口雅也(やまぐち・まさや)先生の推理小説です。デビュー作にあたるこの作品は〈このミステリーがすごい!〉のキング・オブ・キングスで1位に輝いた作品です!

項目 説明
タイトル 生ける屍の死
評価
著者 山口雅也
出版社 光文社
シリーズ
発行日 1989年10月
Audible版 未発売
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あらすじ

【上巻】
 アメリカはニューイングランド地方の田舎町、トゥームズヴィル。同地で霊園を経営するバーリイコーン一族では、家長のスマイリーが病床に臥しており、その遺産を巡って家中にただならぬ雰囲気が漂っていた。一方その頃、アメリカの各地で、不可解な死者の甦り現象が起きていたのだが――日本ミステリ史を代表する革新的な名作が、全面改稿により今鮮やかに甦る!
光文社

【下巻】
 遺産騒動の最中、命を落としてしまったパンク青年のグリン。折しも、死者の甦り現象がアメリカの各地で発生し、彼もまたリヴィング・デッドとして甦ってしまう。霊園を経営する一族に巻き起こる連続殺人。その真相を、自らの死を隠したまま、グリンは追うのだが――。被害者、容疑者、探偵が次々に甦る前代未聞の傑作ミステリ!
光文社

 現在、主に発売されているのは光文社から2018年に出版された全面改稿版です。光文社以外に、創元推理文庫からも同じ小説が出版されていますが、こちらは改稿前ということになります。図書館などで借りると、改稿後の小説はおいてなかったりするかもしれません。

 この作品は死者が蘇るという世界観で描かれた本格推理小説です。特殊設定ミステリーと呼ばれたりしますが、死者が蘇るという設定がトリックや結末に大きく関わっているため、評価が高くなっています(プロの作品なので、設定が活きているのは当たり前かもしれませんが…)。

永久保存版

 光文社から永久保存版も発売されています!光文社文庫版から更に加筆改稿され、執筆秘話や書評などなど、様々な特典が追加されています。

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感想

生ける屍の死…長いです…超大作です。本というものは、ペラペラだと売っても儲からないので長編が多いわけですが、それにしても長いです。頑張って読めば面白いという感想をよく見かけますが、もっと短くて面白い作品もある気がしますね…。

それでも、哲学的なテーマとユーモラスな要素が織り交ぜられた名作推理小説だと思います。作品の設定は非常にユニークで、死者が蘇るという非現実的な世界での本格的ミステリーは興味をそそります。舞台はニューイングランドの片田舎、霊園を経営する一族が中心人物になります。主人公は死者となって蘇り、自分を殺した犯人を探し出そうとするわけで(あれ、この部分だけをみると『ファラオの密室』に似ているぞ)、ここに遺産問題が加わります。

とっても面白そうな雰囲気なんですが、物語がなかなか進まんです。上巻は舞台設定や登場人物の紹介で、ちょっと退屈です。ただ、丁寧な導入部分があるからこそ後半の展開がより一層楽しめる!と考えましょう。

個人的には「死とは何か」という哲学的なテーマも感じとったりしました。死生観について考えさせられる内容といった感じです。死者が蘇るという設定はこのテーマをより一層際立たせていたり、いなかったり――。全体的に、作者のユーモラスな語り口が物語の重苦しさを和らげていますし、コメディとシリアスのバランスが絶妙だったと思います。

『生ける屍の死』は、死者が蘇るという非現実的な設定を通じて、ミステリーの新たな可能性を追求した作品です。ユニークな設定と哲学的なテーマ、そしてユーモアを交えた語り口が融合し、一度読んだら忘れられない作品に…なるかもしれません(長いしね)。

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