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獄門岩の首|あらすじ・ネタバレ解説

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 金田一耕助シリーズ『獄門岩の首』のあらすじと真相、感想などをまとめています。原作は横溝正史氏の推理小説で、古谷一行さん主演のドラマは1984年に放送されました。

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あらすじ

 金田一は休暇で日和警部が滞在する合田村を訪ね、警部と共に<熊の湯>という温泉宿に宿泊する。のんびり温泉につかっていた金田一だったが、他の宿泊客の会話から、一年ほど前に祟りと噂される不気味な事件が起きたことを知ってしまう。殺されたのは、熊の湯の婿養子・蓮池達夫だった。死体の首は切断され、その首は滝の途中に突き出た<獄門岩>と呼ばれる岩の上にさらされていた。胴体は滝の下流にある<首なしの淵>で発見されるが、犯行現場が特定できず、殺人犯は捕まっていなかった。

 三百年ほど前、村では百姓たちの一揆によって当時の名主が殺されていた。その首は獄門岩にさらされ、まさに達夫殺害の状況と同じだった。蓮池家は名主を裏切って一揆を起こした人物の末裔で、このことから村人達は達夫の死を祟りだと信じることになる…。

登場人物・キャスト

主な登場人物とキャストをまとめます。

名前 キャスト 説明
金田一耕助 古谷一行 私立探偵
日和勇 ハナ肇 警部
蓮池幾代 久保菜穂子 旅館の女将
鎌田玄蔵 夏八木勲 炭焼き職人
桃太郎 仁支川峰子 陽気な芸者
里村恭三 西沢利明 考古学の教授
土井 加納竜 里村の助手
香川千代 桂川京子 学生
蓮池道子 沢亜樹 故人。幾代の姪
蓮池達夫 小林芳宏 故人。道子の夫
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事件概要

三百年ほど前の事件に見立てた殺人が起きます。首を切られているという点から他殺であることは間違いなさそうですが、犯人は捕まらず、祟りということで村人は納得している様子です。

蓮池達夫が殺されたあと、妻の道子は自殺してしまいます。遺書が残されており、達夫の死の真相も書かれていたようですが、ネズミがかじって破いてしまっています。

達夫が殺され、道子が自殺してから幾日か経ち、金田一耕助が村にやって来ます。そして、村の遺跡を調査していた里村恭三という教授が、達夫と同じように殺されてしまいます。里村殺害に関しては土井という人物が容疑者になりますが、姿を暗まします。

土井の死体は炭焼き職人の鎌田玄蔵がもつ窯の中で発見され、さらに、村で一番経歴の長い産婆・並岡ぎんも死体となって発見されます。一年前の事件も含めると、亡くなったのは達夫、道子、里村教授、土井、産婆のぎんの五名で、道子以外は明らかに他殺です。

事件を捜査していた金田一も自転車に細工され命を狙われます。芸者の桃太郎も巻き添えとなりますが、命にかかわるような事故にはなっていません。

事件の謎を整理してまとめると次のようになります。

  • 蓮池達夫の首が切られていた理由
  • 道子が自殺した理由
  • 里村教授の首が切られていた理由

事件の手掛かりをまとめると次のようになります。

  • 滝の付近にあった馬頭観音像が消えている
  • 馬頭観音像が置かれていた場所に刃物が埋められていた。刃物は鎌田と書かれた手ぬぐいに巻かれていた
  • 里村は睡眠薬を飲まされていたが、達夫にそのような痕跡はなかった
  • 里村は誰かに靴を履かされた様子だった
  • 里村の死体がみつかった後、カツラケースの紛失が発覚する
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ネタバレ

一年前に蓮池達夫を殺したのは鎌田玄蔵です。達夫は道子が不倫で生まれた子供であると知り、殺害しようとしました。このとき蓮池幾代止めに入りますが、振り払われてしまいます。そこに玄蔵が現れ、達夫を殺害。犯行後に首を切り離してさらし首にし、祟りにみせました。自分の出生について何も知らなかった道子は達夫の事件で秘密を知ることになり、自殺してしまいます。

道子は幾代の実の子供で、父親は玄蔵でした。すなわち、幾代と玄蔵にとって道子は娘で、幼い啓一は孫でした。玄蔵は幾代や啓一を守るために、不倫の事実を知った土井と並岡ぎんを殺します。

里村教授を殺したのは土井です。土井は達夫の死を利用し、祟りであるかのようにみせて、里村を殺しました。首を獄門岩にさらし手口を似せることで、達夫殺しと里村殺しは連続殺人のように扱われることになります。つまり、ほぼ無関係の殺人を連続殺人にみせ、祟りということで片づけさせようとしていました。

土井は事件の一ヶ月ほど前にも熊の湯を訪れており、このとき、偶然にも道子が残した遺書を発見します。そしてこれが、里村殺害の手口を思い付くきっかけとなります。なお、里村殺害の動機は、里村教授が土井の婚約者を殺害したからです。学生の香川千代は殺された婚約者の妹で、彼女も土井の共犯者になります。

懲りない里村教授は香川千代に手を出そうとしていました。土井はこの思惑に加担するふりをして、みせかけの協力者となります。里村教授が殺された日の夜、教授は宿に戻っており、このとき、土井に睡眠薬を飲まされ、そのまま殺害されます。首を斬ったのは、宿から滝まで死体を運ぶのが大変だったからという理由もあり、首だけは、翌朝、カツラのケースに入れて運んでいます。

観音像が消えたのは、土井と香川が凶器などの証拠品を滝つぼに沈めたためです。重しに使われた観音像は滝つぼに沈んでいるはずです。

トリック

事件の犯人や動機、トリックを簡単にまとめます。このエピソードの犯人は二人います。

  • 犯人:鎌田玄蔵
    不倫という事実を隠すため、次々に犯行に及ぶ。自身の汚名を隠蔽するというよりも、娘や孫の名誉を守るための犯行であり、最後は全ての罪を被って投身自殺する。
  • 動機:不倫
    不倫はもちろんであるが、不倫で生まれた子供という事実を何としても隠す必要があった。
  • トリック:祟り偽装
    村の伝承になぞらえた犯行により、祟りのようにみせた。警察は祟りを全く信じないが、村人は祟りを信じることになる。
  • 犯人:土井
    復讐のために犯行に及ぶ。たまたまみつけた遺書から祟りにみせる犯行計画を思い付くが、この遺書を読んだために、殺されることになる。
  • 動機:婚約者の殺害
    被害者は若い女に手を出し、身籠らせる。妊娠発覚後、堕胎薬と偽って毒薬を飲ませて殺害する。殺された女性の婚約者だった土井は復讐のために、犯行を計画する
  • トリック:祟りに便乗
    村で起きた祟り殺人と全く同じような状況で犯行に及び、祟りのようにみせる。

原作小説とドラマの違い

原作は横溝正史氏の小説でタイトルは「首」です。原作小説とドラマのストーリーの概要は同じですが、異なる部分が多いです。大きく異なるのはラストシーンで、小説にドラマのような場面はありません。

ドラマでは鎌田玄蔵が達夫、土井、産婆を殺害し、金田一も殺そうとしています。大きな役割を果たした鎌田玄蔵ですが、原作では田口玄蔵という名前で、ほとんど事件には関わっていません。まとめると次のようになります。

  • 原作に、玄蔵と幾代の不倫は登場しない。道子が娘という事実もない。産婆殺害など、不倫に関する内容はすべてドラマオリジナルの内容といえる
  • 原作で土井は金田一耕助に真相を見抜かれたと思い、遺書を残して自殺する。ドラマでは玄蔵に殺されている
  • 原作に芸者の桃太郎は登場しない。生首の入れものに使われたカツラのケースは、原作ではフィルムケース
  • 原作の里村は映画監督。一同が村にやってきたのは撮影のため

感想

生首がすごい恐ろしかったです。なかなか侮れないリアルさだったと思います。

コメント

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