有栖川有栖『学生アリスシリーズ/江上二郎シリーズ』の読む順番と作品一覧です。1989年1月に著者のデビュー作でもある1作目の『月光ゲーム Yの悲劇’88』が発売されました。
順番
学生アリスシリーズ/江上二郎シリーズの小説は現在5作品あります。刊行順に読むのがオススメです!とりあえず『江神二郎の洞察』は最後に読んだ方がいいです。とりあえず面白いやつを読みたい方は、『双頭の悪魔』がオススメです。
月光ゲーム―Yの悲劇’88
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々――江神部長や有栖川有栖らの一行を、予想だにしない事態が待ち構えていた。矢吹山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。その魔の手にかかり、ひとり、またひとりとキャンプ仲間が殺されていく……。いったい犯人は誰なのか? そして、現場に遺されたYの意味するものは何? 平成のエラリー・クイーン=有栖川有栖の記念すべきデビュー長編。
東京創元社
感想
- 本格ミステリとしての完成度が高い!
クローズドサークル、火山噴火という設定、ダイイングメッセージ、読者への挑戦、論理的な謎解きなど、本格ミステリの要素がふんだんに盛り込まれています - 犯人当ての面白さ
前半で事件の謎と証拠が提示され、後半の謎解きに入る前に読者自身が犯人を推理する構成で、犯人当てミステリーとしても楽しめます
孤島パズル
英都大学推理小説研究会に新風を吹き込んだ彼女(マリア)が「伯父の別荘へ行かない?」と誘った孤島の夏。メインテーマは宝捜し(パズル)。みごと解ければ推理研の面目躍如、波涛を越えて時価数億円のダイヤが眠る嘉敷島へやってきた江神二郎とアリスは、楽しむ間もなく起こった事件に巻き込まれてしまう。毎年同じころ島に会する人々に密やかな翳りが根ざしているのか、南国の陽光と青い海、降るような星空を背景に幕間のない悲劇が進行していく。――ここにパズルがある。どうかあなたの手でこの小宇宙に秩序をもたらしていただきたい――〈読者への挑戦〉が興を添え、青き春を謳うロマンティシズムが錦上に花を敷く、極上の本格ミステリ。
東京創元社
感想
- 孤島のクローズドサークル!
本格ミステリの王道です。このシチュエーションには、むしろ憧れすらありますね - パズルと暗号が面白い!
- 江上と有栖のコンビがいい
主人公の江神二郎や有栖など、登場人物たちの掛け合いが面白いです。これはシリーズ全体の魅力ですね
双頭の悪魔
娘を連れ戻してほしいのです――山間の過疎地で孤立する芸術家のコミュニティ、木更村に入ったまま戻らないマリアを案じる有馬氏。要請に応えて英都大学推理小説研究会の面々は四国へ渡る。かたくなに干渉を拒む木更村住民の態度に業を煮やし、大雨を衝いて潜入を決行。接触に成功して目的を半ば達成したかに思えた矢先、架橋が落ちて木更村は陸の孤島と化す。芸術家たちと共に進退きわまった江神・マリア、夏森村に足止めされたアリスたち――双方が殺人事件に巻き込まれ、川の両側で真相究明が始まる。読者への挑戦が三度添えられた、犯人当て(フーダニット)の限界に挑む大作。妙なる本格ミステリの香気、有栖川有栖の真髄ここにあり。
東京創元社
感想
- 複数の事件が複雑に絡み合う!
複雑な事件ですが、最後に全てが繋がっていきます。論理的な推理はもちろん、伏線の回収なども抜群で、読み応えのある一冊です - 「読者への挑戦」が3回登場!
女王国の城
舞台は、めざましい成長を遂げる宗教団体〈人類協会〉の聖地、神倉。大学に姿を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。とかく噂の神倉へ、何故? 様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、4人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。紆余曲折を経て〈城〉と呼ばれる総本部で江神の安否は確認できたものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し……。第8回本格ミステリ大賞に輝いた、江神シリーズ第4作。
東京創元社
感想
- 異質な舞台設定
新興宗教という、ある意味でタブーともいえそうな異質な空間を舞台にしています。これまでのシリーズ作品とは違った雰囲気で、新鮮です - 本格ミステリとしての完成度は間違いない!
江神二郎の洞察
英都大学に入学したばかりの一九八八年四月、ある人とぶつかって落ちた一冊――中井英夫『虚無への供物』――が、僕、有栖川有栖の英都大学推理小説研究会(EMC)入部のきっかけだった。アリス最初の事件ともいうべき「瑠璃荘事件」、著者デビュー短編「やけた線路の上の死体」、アリスと江神の大晦日の一夜を活写した「除夜を歩く」など、全九編を収録。昭和から平成へという時代の転換期を背景に、アリスの入学からマリアのEMC入部まで、個性的なEMCメンバーたちとの一年を瑞々しく描いたファン必携の傑作短編集。
東京創元社
感想
- ファンサービス!
江神二郎をはじめとするお馴染みのミステリ研メンバーの活躍が描かれた短編集です。アリスと江神のミステリ談義、長編では描かれなかったエピソードや、メンバーの日常など、シリーズファンにとって嬉しい1冊です - 既存のミステリへのオマージュも魅力!
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感想
江上二郎シリーズ(学生アリスシリーズとも呼ばれます)は、1980年代後半の日本を舞台にしたミステリー小説です。英都大学の推理小説研究会に所属するメンバーが事件に巻き込まれます。本格推理小説としてはもちろんですが、ミス研っぽいマニアックな会話も楽しめます。
火村英生シリーズとの関係
シリーズの登場人物である有栖川有栖は、作者と同じ名前です。このシリーズに登場する有栖は学生ですが、火村英生シリーズ(作家アリスシリーズとも呼ばれます)では作家になっています。火村英生シリーズが江上二郎シリーズの続編というわけではなさそうなので、江上二郎シリーズ→火村英生シリーズの順に読む必要はないと思います。
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