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死神の矢|あらすじ・ネタバレ解説

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 金田一耕助シリーズ『死神の矢』のあらすじ、真相、感想などをご紹介します。原作は横溝正史氏の推理小説で、古谷一行さん主演のドラマは1989年に放送されました。

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あらすじ

 金田一と等々力警部が琵琶湖で釣りをしていると、突然、矢で撃たれる。矢を放ったのは三人の男で、一人の女性を巡って勝負をしていた。勝負は水上に浮かせた的に射るという単純なルールだったが、ボートに乗った怪しい男が現れて矢を全て持ち去ってしまい、勝負は御破算になる。

 高見沢康雄、神部大助、伊沢透らは三人は古館早苗というバレリーナの女性に求婚しており、勝負を持ち掛けたのは早苗の父である古館睦夫だった。勝負の場に偶然居合わせた警部は勝負を見守っていた人物の中に顔見知りを発見。その人物に誘われ、金田一と警部は古館邸の夕食に参加することになる。

 警部と顔見知りだったのは松野鶴子というバレエの先生で、警部は古館邸の家政婦である佐伯立子とも面識があった。警部が二人と知り合ったのは三田村文代というバレリーナの死亡事件がきっかけだった。警部は事件を自殺と断定していたのだが、松野と佐伯は自殺のはずがないと主張し揉めた。結局、自殺ということになったため、松野が嫌っているであろう警部を誘うのは違和感があった。

 三人の男と古舘達が琵琶湖に集まっている頃、古舘邸には顔に傷のある怪しい男が訪れていた。その男は伊沢を探しており、家政婦の佐伯に手紙を残す。一同が金田一らを連れて帰宅したあと、佐伯はその手紙を伊沢に渡し、しばらくして夕食の時間を迎える。なかなか姿をみせない伊沢の様子を見に行くと、シャワールームに伊沢の死体があった。死体の胸には盗まれた矢が一本突き刺さっていた。

登場人物・キャスト

主な登場人物とキャストをまとめます。

名前 キャスト 説明
金田一耕助 古谷一行 私立探偵
古館睦夫 山口崇 教授。考古学者
古館早苗 長山洋子 睦夫の娘。バレリーナ
佐伯立子 松尾嘉代 古舘家の家政婦
松野鶴子 汀夏子 早苗のバレエの先生
相良恵子 土屋貴子 早苗の友人
伊沢透 藤本幸広 求婚した男の一人
神部大助 大村波彦 求婚した男の一人
高見沢康雄 嵯峨周平 求婚した男の一人
三田村文代 麻生えりか 故人。バレリーナ
ジョン駒田 小船秋夫 顔に傷のある男
山本 草薙幸二郎 刑事
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事件概要

伊沢透の死体が発見された二階の部屋は鍵がかかっていましたが、シャワールームの窓は開いていました。死体には矢が刺さっていたので、何者かが屋外から矢を放って殺したと考えられます。実際、邸宅内にあった洋弓が紛失していました。

伊沢を最後に目撃したのは家政婦の佐伯です。佐伯は怪しい男から受け取った手紙を渡すために、伊沢の部屋を訪ねています。その時間はほんの数分だったため、佐伯に犯行は不可能と考えられます。以降、死体が発見されるまで、関係者にアリバイがなく、全員が容疑者となります。

佐伯に手紙を託した謎の人物はジョン駒田という男で、自分の女に手を出した伊沢を探していました。手紙には呼び出しの文面が書かれており、警察は明確な動機をもつ駒田を追うことになります。駒田が怪しいのは間違いないですが、呼び出した人物を約束の前に殺すというのは、やや合理性に欠けます。

その他、死んだ伊沢が無精髭を生やしていたことにも疑問が生じます。伊沢は腰にタオルを巻いているだけで、ほとんど裸でした。シャワーを浴びたらしいですが、髭は生やしたままです。晩餐の前に身だしなみを整えるにしても、まず髭を剃ってからシャワー浴びたほうが手間が減るはずです。金田一は以上のような細かな疑問点を気にしますが、警部はまったく気にしない様子で、駒田を探します。

手掛かりとしては、琵琶湖で弓をかっさらっていた男の子や、古舘邸の近くで凶器の洋弓などが発見されます。男の子は男性に頼まれたらしく、その男性というのは伊沢でした。凶器がみつかった場所に足跡はなく、どうやら、松野鶴子が周辺を踏み荒らしてしまったようです。

情報が錯綜する中、今度は神部大助が自宅で殺されます。胸には、やはり矢が刺さっていました。同じ頃、容疑者だったジョン駒田の死体も発見され、自殺と考えられることになります。独自に捜査を進めていた金田一は古館教授が三田村文代と結婚しようとしていたことを知り、古舘を疑っていましたが、神部殺害について教授には完璧なアリバイがありました。

その後、残る高見沢が狙われます。難を逃れた高見沢は伊沢や神部とぐるになって、三田村文代を暴行した事実を話します。文代が自殺した理由は、三人の男による暴行でした。

古館教授には婚約者の敵討ちという明確な動機があり、非常に疑わしい人物です。しかし、二番目の被害者殺害については完璧なアリバイがあります。その他、事件の謎を整理してまとめると次のようになります。

  • 琵琶湖で矢が盗まれた理由
  • ジョン駒田が死んだ理由
  • アリバイのある古館教授以外の人物が犯人だった場合の動機
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ネタバレ

伊沢透と神部大助を殺し、高見沢康雄を襲ったのは家政婦の佐伯立子です。暴行されて自殺してしまった三田村文代は佐伯の実の娘でした。

佐伯は伊沢に手紙を届けた時に、犯行に及んでいます。時間的に不可能と考えられていましたが、佐伯は矢を手に持って伊沢を刺しただけです。その後、松野鶴子が死体をシャワールームへと運び、屋外から射抜かれたようにみせています。鶴子は不穏な空気を感じとっており、嫌いな等々力警部を招いたのは、事件発生を抑止するためでした。

ジョン駒田を殺したのは松野鶴子です。二人は実は知り合いで、鶴子は駒田を誘い出し、隙を突いて崖から突き落としました。殺した理由は佐伯を助けるためで、駒田に佐伯の罪をきせようとしていました。

男の子に矢を盗むよう依頼したのは伊沢に間違いありません。伊沢は三人の中で一人だけ弓道の経験がなかったので、負けた時のために保険をかけていました。矢が盗まれれば、勝負はなかったことになると考えていたようです。

トリック

事件の犯人や動機、トリックを簡単にまとめます。この事件には二人の犯人が登場します。うち一人は、もう一人の犯行に関与しています。

  • 犯人:佐伯立子
    夫が戦死し、ひとりで娘を育てようとするが、夫の両親にひとりでもう一度やり直してみてはどうかといわれ、娘を置いていく。
  • 動機:かたき討ち
    男達に暴行され自殺してしまった娘のために、暴行犯を殺害する。
  • トリック:第三者による隠ぺい工作
    殺人には直接関わっていない第三者(松野鶴子)が、死体を動かして真犯人の犯行ではないようにみせる。さらに、容疑者を殺して罪をなすりつけている。

感想

矢が刺さっていたので弓で放たれたと思っていたら、手で刺しただけでした。矢が凶器ならば、弓に慣れた人物でないと犯行は不可能だと認識されそうです。真犯人に弓の経験がなければ、容疑者から外れたのかもしれません。

原作は横溝正史氏の小説「死神の矢」です。原作とドラマは概ね同じですが、原作小説の方が細かな部分も書かれております。

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