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推しの殺人【あらすじ・ネタバレ感想】

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推しの殺人』は遠藤かたる(えんどう・かたる)さんの推理小説で、2023年に発表された第22回『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリを受賞しています!

項目 説明
タイトル 推しの殺人
評価
著者 遠藤かたる
出版社 宝島社
シリーズ
発行日 2024年2月
Audible版 未発売
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あらすじ

大阪で活動する三人組女性地下アイドル「ベイビー★スターライト」は、様々な問題を抱えて危機的な状況にあった。尊大な事務所社長、グループ内での人気格差、恋人から暴力を受けているセンター……そのようななかで、“ベビスタ”はさらに大きな問題に見舞われる。メンバーのひとりが事務所で人を殺してしまったのだ。彼女の罪を隠蔽するため、三人は死体を山中に埋めることを決意して――。
宝島社 公式HP

『このミステリーがすごい!』大賞で文庫グランプリを受賞した作品です。文庫グランプリという名称がわかりにくいですが、1位ではなく2位、金ではなくて銀や銅という位置づけの作品です。第22回の大賞は『ファラオの密室(あらすじや感想はこちら)』でしたので、次点が本作ということになります。

昨今は推しブームでしょうか?『推しの殺人』ということで、『推し、燃ゆ』とか『推しの子』とか、いろいろと推し入りタイトルが流行っている気がします。応募時のタイトルは『溺れる星くず』だったようなので、編集者が商売のためにタイトルを変えたのかもしれません。事件は三人組アイドルの一人が殺人を犯してしまい、他のメンバーとともに隠すというものです。ミステリーというよりは、サスペンスな感じです。

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感想

地下アイドルグループ「ベイビー★スターライト(通称ベビスタ)」のメンバー・ルイ、テルマ、イズミが事務所社長の殺人事件に巻き込まれ、必死に隠し通そうとするミステリー小説です。ミステリーというよりは……という感じで、地下アイドルたちの複雑な人間関係や、彼女たちが直面する現実の厳しさがリアルに描かれています。ストーリーのテンポはよく、飽きません。結末は個人的には曖昧に感じました。逆に、リアリティを増しているのかもしれません。

ルイは流されるままとりあえずアイドルになっていて、テルマやイズミとは対照的なキャラクターです。こういったアイドルになった理由の違いだけではなく、3人にはそれぞれに個性があります。

作品のテーマは、地下アイドルの苦悩や犯罪を犯すことによって変化する人間関係だと思います。犯罪を通して、普段はそこまで仲良しではなかったメンバーが徐々に打ち解けていきます。というわけで、本格的ミステリー重視の作品ではない気がします。

魅力は地下アイドルの厳しさと、犯罪によって生まれる緊張感にあります。特に、事件が明るみに出ないようにするための工作や、それが成功するかどうかのハラハラ感は面白いです(ただし、突っ込もうと思えばいろいろと突っ込めます。どんな作品もだいたいそうですが)。

卒業のための犯罪プラン

余談ですが、第22回の文庫グランプリは浅瀬明さんの『卒業のための犯罪プラン』も受賞しています。第22回は文庫グランプリが2作品あるということですね。

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