『孤島症候群』のあらすじと真相、原作小説とアニメの違い、考察などをまとめています。アニメは前後編に分かれており、2話分の長さとなっています。原作の短編小説は「涼宮ハルヒの退屈」に収録されています。
あらすじ
SOS団は夏合宿と称して個人所有の無人島へと向かう。その島は古泉の遠い親戚である多丸圭一(たまる・けいいち)氏が所有する島で、館が建てられていた。涼宮ハルヒは“無人島”という言葉にひかれ、合宿を(勝手に)決めており、事件を期待しているようだった。キョンは古泉主催の合宿という点に違和感を抱いていたが、思いがけず何も起こらず、平和な合宿が続く。ところが、突如として天気が嵐に変わり、船も出せない状況になり、島はクローズド・サークルと化す。
翌朝、館に泊まっていた多丸裕(たまる・ゆたか)が行方不明になり、さらに、部屋で倒れている圭一も発見される。圭一の胸にはナイフが刺さっているようだった…。みくるが目撃した圭一と裕の口論やハルヒが耳にした裕の高飛び計画などから、裕が圭一を殺害して逃げたと推理されるが、不可解なことに、現場は密室状態になっていた。
登場人物
キョン、ハルヒ、みくる、古泉、長門、キョンの妹を除く登場人物についてです。
- 多丸圭一(たまる・けいいち)
館の主人。古泉の遠い親戚。にんじん嫌い - 多丸裕(たまる・ゆたか)
圭一の弟。圭一の弟なので、古泉の親戚でもある - 新川(あらかわ)
館の執事。一週間前に雇われたばかり - 森園生(もり・そのう)
館のメイド。執事同様、一週間前に雇われたばかり
真相(ネタバレ注意)
多丸圭一は死んでおらず、すべては古泉達が仕組んだ芝居です。多丸圭一、多丸裕、新川、森は全員古泉の協力者で、彼らは古泉と同じ“機関”の人間です。動機はハルヒを退屈させないためであって、密室にしたのも、謎をばら撒くための小道具に過ぎませんでした。
ハルヒはキョン達が扉を開けた時、圭一氏はまだ息があって、勢いよく開いた扉に押し飛ばされて死んだと考えていました。しかしこの推理は、扉に傷がなかったため、否定されます。
芝居を見破る証拠となったのは、古泉の不自然な行動です。古泉は初めて会うはずの新川や森に「久しぶり」と挨拶していました。また、館に訪れたことがないはずなのに、圭一が倒れている部屋へ真っ先に駆け付けています。
その他、にんじんが残された皿とナイフとフォークなど、圭一が生きていることを匂わせる証拠も登場しています(圭一だけがナイフとフォークで食事をする)。
根拠は何にせよ、実際、多丸圭一氏は生きてましたので、これが決定的な証拠といえます。
原作小説とアニメの違い
結末やトリックなどは原作小説もアニメも同じです。しかし、アニメ版では追加されている内容が多くなっています。
アニメには名探偵コナンや逆転裁判などのパロディが登場していましたが、原作にそのような描写はありません。ハルヒとキョンが怪しい影を追って洞窟へ向かったり、関係者達を集めて謎解きを披露したりするのもアニメオリジナルのシーンです。
また、アニメではキョンの妹が同行していましたが、原作に妹は登場しません。その他、原作の飲酒シーンがアニメでは削除されていたりします。
考察
ハルヒが崖付近で怪しい人影を目撃しています。これは、古泉達にも身に覚えがなかったらしく、作中でその正体については明かされません。これについて、いくつかの可能性についてもまとめてみたいと思います。ハルヒの創造説が有力だと思います。
- ハルヒの創造
真相に辿り着いていないハルヒが外部犯の犯行にするために創り出した - 見間違い
ハルヒが創造したのではなく、ただの見間違い。視界が悪かったので、勘違いした - 古泉が嘘をついている
嘘をついた理由は謎の人影にハルヒを集中させるため - 本物の人
無人島であるが実はひっそりと人が住んでいる
パロディ元
アニメには様々なミステリー作品のパロディが登場していました。まとめると次のようになります。
- 黒死館、斜め屋敷、リラ荘、纐纈城
小説に登場する館の名前。小栗虫太郎「黒死館殺人事件」、島田荘司「斜め屋敷の犯罪」、鮎川哲也「リラ荘殺人事件」、国枝史郎「神州纐纈城」 - 設計した人が非業の死を遂げたとか、泊まると絶対死んでしまう部屋が…、館の主人が仮面かぶってるとか
綾辻行人氏の館シリーズ。「十角館の殺人」がシリーズの一作目 - 頭の中がちょっと爽やかな三姉妹
赤川次郎「三姉妹探偵団」 - そして誰もいなくなったり…
アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」 - 黒い人影
名探偵コナンの犯人 - 謎解きシーンの演出
逆転裁判の法廷シーン
まとめ
涼宮ハルヒシリーズ「孤島症候群」について、あらすじ、真相、原作とアニメの違い、考察などをご紹介しました。アイキャッチはアニメのワンシーンを引用しており、こちらはミニチュアとの合成で作られた実写シーンとなっています。
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