ミステリー小説のブックランキングに複数ランクインし、三冠、四冠…などを達成した推理小説を年代別にまとめています。なお、ブックランキングは「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい」「週刊文春ミステリーベスト10」「本格ミステリ・ベスト10」を参考にしています。
四冠
これまでに四冠を達成した作品は米澤穂信さんの「黒牢城」と青崎有吾さんの「地雷グリコ」だけです。「黒牢城」は小説全般を対象作品にした2022年本屋大賞でも9位にランクインし、直木賞や山田風太郎賞も受賞しています。米澤さんはミステリーランキングの常連で、二冠、三冠を達成した著書が数多くありますので、最強推理作家と言えるかもしれません。
黒牢城
2022年度四冠達成!ミステリと歴史小説の王道。
本能寺の変が起こる四年前――天正六年の冬。荒木村重は城内で起きる難事件を解決するため、囚人の黒田官兵衛に謎を解くよう求める。はたして、事件の裏には何が潜むのか?
地雷グリコ
ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。
KADOKAWA
三冠
三冠達成を成し遂げた推理小説は6作品あり、うち3作品が米澤穂信さんの著書です。「可燃物」「満願」は、惜しくも四冠を逃した作品(ひとつだけ2位にランクインした作品)となっており、限りなく四冠に近い作品といえます。
個人的には「満願」と「容疑者Xの献身」がオススメです。容疑者Xはシリーズ作品で、なおかつ長編ですが、満願は短編集なので、まとまった時間が取れなくても読みやすいです。
- 「可燃物」米澤穂信
- 「たかが殺人じゃないか」辻真先
- 「屍人荘の殺人」今村昌弘
- 「王とサーカス」米澤穂信
- 「満願」米澤穂信
- 「容疑者Xの献身」東野圭吾
可燃物
2024年度三冠達成!警察を舞台にした本格短編ミステリ集。「崖の下」「ねむけ」「命の恩」「可燃物」「本物か」の五作品を収録。
たかが殺人じゃないか
2021年度三冠達成!戦後日本の混乱期と青春の日々を描いたミステリー。昭和24年。名古屋市内の新制高校に通う風早勝利は3年生の夏休みに先生や友人達と一泊の旅行へと出かける。そこで彼らは、不可解な密室殺人に巻き込まれる。
屍人荘の殺人
2018年度三冠達成!第27回鮎川哲也賞受賞!“屍人荘の殺人”シリーズの第一作。映画研究部の夏合宿初日、想像だにしなかった事態が発生する。予測不可能な展開とミステリーが融合した作品。
王とサーカス
2016年度三冠達成!「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」ジャーナリストの主人公は取材のために、ネパールへと向かった。そこで、国王をはじめとする王族殺害事件が発生。早速取材を開始した主人公だったが…。
満願
2015年度三冠達成!山本周五郎賞受賞の名作短編集。「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」「満願」など6作品を収録。
容疑者Xの献身
2006年度三冠達成!直木賞受賞。湯川学が登場するガリレオシリーズの初長篇。高校教師の石神は隣人の靖子を秘かに想っていた。そんな靖子が前夫を殺害してしまう…。
二冠
二冠達成作品はいくつかございます。傾向としては、本格推理小説だけではなく、サスペンス要素が強い作品も登場しています。
本格ミステリーがお好きな方は「medium 霊媒探偵城塚翡翠」「新参者」「生首に聞いてみろ」「葉桜の季節に君を想うということ」「奇術探偵曾我佳城全集」などがおすすめです。
- 「爆弾」呉勝浩
- 「medium 霊媒探偵城塚翡翠」相沢沙呼
- 「それまでの明日」原尞
- 「64(ロクヨン)」横山秀夫
- 「ジェノサイド」高野和明
- 「悪の教典」貴志祐介
- 「新参者」東野圭吾
- 「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎
- 「生首に聞いてみろ」法月綸太郎
- 「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午
- 「半落ち」横山秀夫
- 「模倣犯」宮部みゆき
- 「奇術探偵曾我佳城全集」泡坂妻夫
動画
2000年以前の推理小説
四冠などの対象は概ね2000年から2023年に発売されたミステリー小説となっています。2000年以前の小説に関しては、四冠を達成しようにも、そもそも受賞すべき賞がありませんでした。そこで以下では、推理小説を対象したランキングの中で1位に輝いた作品を紹介したいと思います。
獄門島
東西ミステリーベスト100の1985年版と2012年版で1位に輝いた作品!
復員船で死んだ戦友のために、金田一耕助は獄門島へと向かう。戦友は奇妙な遺言んを残して息を引き取った。『三人の妹たちが殺される……おれの代わりに獄門島へ行ってくれ』
大誘拐
週刊文春20世紀ミステリーベスト10の国内部門1位!
刑務所の雑居房で知り合った戸並健次、秋葉正義、三宅平太の3人は、出所するや営利誘拐の下調べにかかる。狙うは紀州随一の大富豪、柳川家の当主だった。
そして誰もいなくなった
東西ミステリーベスト100の2012年版で1位!クローズドサークルの傑作。
職業や年齢もさまざまな十人の男女がある島へと招待される。島に招待主の姿はなく、夕食の席上で、男女十人の後ろめたい過去が語られる。
Yの悲劇
東西ミステリーベスト100の1985年版で1位!ろう者の探偵ドルリー・レーンが登場する四部作の傑作。
ニューヨーク湾に行方不明だった大富豪ハッター家の当主ヨークの死体が浮かんだ。警察は自殺と結論づけるが、二ヶ月後、ハッター邸で毒物混入事件が発生する。解決を要請された名優にして名探偵のドルリー・レーンだったが……。
三つの棺
密室ミステリーベスト10で1位にランクイン!
ロンドンの町に静かに雪が降り積もる夜、グリモー教授のもとを、コートと帽子で身を包み、仮面をつけた長身の謎の男が訪れる。やがて二人が入った書斎から、銃声が響く。居合わせたフェル博士たちがドアを破ると、絨毯の上には胸を撃たれて瀕死の教授が倒れていた。しかし、謎の男の姿は完全に消え失せていた。
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女
GoodReadsのランキングで1位!ミレニアム三部作の一作目。
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者だったミカエルは大物実業家の違法行為を記事で暴いたのだが、名誉毀損で有罪となり、『ミレニアム』から離れることになった。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから失踪事件の調査依頼を受ける。その報酬は大物実業家を破滅させる証拠だった。
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