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推理ゲーム

ポートピア連続殺人事件|犯人はヤス?【ネタバレ解説】

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 「ポートピア連続殺人事件」のあらすじ・ストーリー、真相、そして、有名なネットスラング“犯人はヤス”について紹介します。この推理アドベンチャーゲームは1983年にパソコン用ソフトとして発売され、1985年にファンミコン用ソフトに移植されました。開発したのはドラクエシリーズの生みの親である堀井雄二氏です。

ソフト情報
項目 説明
ハード PC-8801
発売日 1983年6月某日
発売元 エニックス
ジャンル 推理アドベンチャー
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あらすじ

 闇金の社長・山川耕造の死体が自宅で発見された。山川の会社は黒い噂の絶えないサラリーマン金融だった。耕造の死体が発見された部屋は完全な密室で、山川の死は自殺にもみえたが、主人公と部下のヤスは事件の真相を明らかにするため捜査を開始する。

 第一発見者は秘書の沢木文江と守衛の小宮六助だった。どちらも容疑者になるが、彼らには死亡推定時刻にアリバイがあった。現場の地下には隠し通路と金庫があり、被害者は平田と川村という人物と金銭のやり取りをしていたという事実が判明する。ところが、平田および川村とは連絡が取れない状況だった。その後、二人は死体となって発見される。相棒のヤスは、なぜか、死体が見つかる度に自殺説をとなえているようだった。事実、平田は耕造より前に死んでいたことが判明し、首つり自殺と断定される。動機は借金だった。しかしながら、川村は他殺が疑われた。

 ストリッパー・夕日おこいからの情報により、川村と山川は共謀して詐欺事件を起こしていたことが明らかになる。そして、第一発見者の沢木文江が詐欺事件の被害者夫婦の娘であり、その被害者夫婦は自殺していたことも判明する。沢木の動機を掴んだ主人公だが、彼女には完璧なアリバイがあった。そこで、主人公達は共犯者の可能性を探るため、沢木の故郷である淡路島へと向かう。そして、沢木文江には兄がおり、養子に出されたことを知る。島を後にした主人公とヤスは、現場の隠し通路にあった隠し扉の奥で山川の日記帳を発見。そこには、沢木文江の両親らを自殺に追い込んだことに対する懺悔が記されていた。山川は実は、沢木の正体も知っているようだった。

容疑者

 容疑者の山川俊之は耕造の甥です。序盤の捜査で、俊之のアリバイははっきりしません。実は彼は、麻薬取引に関わっていたため、アリバイを証言していませんでした。麻薬取引の事実が発覚した後は、アリバイがはっきりし、容疑者ではなくなります。もう一人、自殺した山川には由貴子という娘がおり、彼女は父の借金の相談のため、事件前に耕造と会っていました。その時の耕造の対応は、親身なものであったため、由貴子も容疑者から外れます。なお、俊之は由貴子に交際を迫っていましたが、実っていないようです。

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結末(ネタバレ)

以下の内容は事件の犯人や動機のネタバレとなります

主人公はヤスに服を脱ぐように命じる。行方不明になっている沢木の兄には、身体に特徴があった。それは蝶々の形をしたあざだった。渋るヤスに、主人公は服を脱ぐように命じる。三度目でヤスはようやく服を脱ぐ。ちょうど右胸あたりに、蝶々のあざあった。ヤスは沢木の兄だった。そして、川村と山川を殺した犯人は真野康彦だった。

密室の真相

実行犯はヤスです。ヤスは山川殺害後、部屋に鍵をかけて、その鍵を妹の沢木文江に渡しました。鍵を受け取った文江は死体発見時に部屋の内側から鍵穴に差し込みました。文江が死体をみつけた時、守衛の小宮も一緒でしたが、小宮は文江の細工に気付きませんでした。

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トリック

 犯人は自殺にみせかて二人の男を殺害しました。耕造の死に関しては現場を密室し、自殺であることを強調しています。密室は共犯者を使って鍵を部屋に戻すというトリックが使われました。

意外な犯人

 犯人は警察官であり、主人公にとって身近な人物でした。このような展開は1900年前半の推理小説にも登場します。叙述トリック(作者が読者をだますトリック)とも言われますが、ゲーム内の登場人物である主人公もその正体に気付いていなかったと考えられます。

犯人はヤス

 “犯人はヤス”は、事件が起きた時などに使われるネットスラングです。例えば、冷蔵庫のプリンがなくなっていたとします。これに気付いた被害者が「私のプリン食べたの誰だよ」と発言したら、すかさず「犯人はヤス」とつぶやいたりすると、笑いなり、失笑なり、沈黙なりを獲得できるはずです。

 有名なフレーズである“犯人はヤス”はポートピア連続殺人事件から生まれた言葉ですが、ゲームの中でこのセリフが登場するわけではありません。そして、確かに犯人はヤスでしたが、これだけでは25点で、実は共犯者がいます。この共犯者を見抜けない限り密室の謎が解けないので、結局のところ、犯人はわかっていても手口や動機がわからないといういわゆる倒叙状態になります。屁理屈っぽいですが、このように考えると(制作者の意図とは異なると思いますが)“犯人はヤス”は深刻なネタバレではないように思います。

 このセリフが生まれたのは、1986年1月、ビートたけしさんがラジオで「こいつ(ヤス)が犯人なんじゃねえの?」と発言したからと言われています。たけしさんが犯人を見破ったのはすごいですが、この発言「ヤスが犯人」と「犯人はヤス」は、やや異なるようにも思います。調べてみると、ラジオが放送された1986年頃はネット黎明期で、パソコンマニアがチャットなどを利用する程度の時代だったようです。利用者の数が少なかったのは間違いないと思いますが、それでも、既にネットスラングが登場する環境は整っていたと考えられます。環境があったとすれば、たけしさんの発言を聞いたパソコンマニアが、ちょっとアレンジを加えて、ネットに書き込んだというストーリーも想像できます。

パッケージでネタバレ?

 ゲームのパッケージは下の画像の通りです。ゲームにこのようなシーンはありませんが、これは真野康彦と沢木文江のようです。二人の関係が赤の他人ではないことを示しているようにも見えます。しかし、単に刑事が被害者(事件関係者)を保護しているシーンにもみえるため、この絵から、ヤスと文江が兄妹であることを見抜くというのは、かなり飛躍しているように思えます。ただ、真相がわかると、二人がヤスと文江に見えてくるため、騙し絵のような気分にはなります。

パッケージでネタバレするポートピア連続殺人事件

 なお、ゲームの登場人物で絵に描かれているような若い男女としては、山川俊之や平田由貴子などが当てはまります。人物描写のない主人公が、パッケージの中の男ということも考えられます。

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