石原さとみさん主演で2018年1月から3月にかけて放送されたドラマ「アンナチュラル」全話のあらすじ(事件概要)と真相、金魚事件の犯人、登場したトリック、ドラマの感想などをまとめています。
役名 | キャスト | 役どころ |
---|---|---|
三澄ミコト | 石原さとみ | 法医解剖医 |
久部六郎 | 窪田正孝 | 記録員 |
東海林夕子 | 市川実日子 | 臨床検査技師 |
中堂系 | 井浦新 | 法医解剖医 |
神倉保夫 | 松重豊 | 所長 |
坂本誠 | 飯尾和樹 | 臨床検査技師 |
木林南雲 | 竜星涼 | 葬儀社 |
三澄夏代 | 薬師丸ひろ子 | ミコトの母 |
三澄秋彦 | 小笠原海 | ミコトの弟 |
末次康介 | 鉄洋 | 編集者 |
宍戸理一 | 北村有起哉 | フリー記者 |
毛利忠治 | 大倉孝二 | 刑事 |
向島進 | 吉田ウーロン太 | 刑事 |
1話:名前のない毒
UDIを訪れた中年夫婦が、突然死した息子・高野島渡の死因の再調査を依頼する。警察医の鑑定は虚血性心疾患(心不全)だったが、UDIでの解剖の結果、急性腎不全の症状が見つかる。死因として薬毒物死も疑われたが、毒殺に使われた毒物を特定することはできなかった。その後、仕事で高野島と接触した敷島という女性の死体が発見される。ゆかりんこと敷島もまた突然死だった。
毒の謎
高野島と敷島・ゆかりんの死について、ミコトら太刀は馬場による毒殺を疑います。動機は高野島と敷島の浮気で、そのような噂が会社に広まっていました。馬場は高野島と同じ企業に勤め、仕事上、毒劇物を扱っていました。新しい毒物を開発した馬場は、浮気したと思しき高野島とゆかりんを毒殺した、というのがミコト達の見立てです。
ネタバレ
高野島の死因はMERSコロナウイルスです。高野島はサウジアラビアに出張しており、この時、ウイルスに感染しました。ゆかりんもMERSが死因です。高野島は帰国後、健康診断のため東央医科大学病院を訪れており、この行動が原因で、病院内でも感染が広がります。のちに、高野島はウイルスを持ち込んだ人物として、侮蔑されます。
婚約者の証言がきっかけとなり、高野島が感染源ではないことが明らかになります。その証言は、高野島帰国後、高野島と婚約者の馬場が濃厚かつ肉体的に接触したという内容でした。それにも関わらず、馬場はMERSに感染していませんでした。つまり、高野島は帰国後に感染したということになります。本当の感染源は東央医科大学病院でした。この事実を院長である駕籠(かご)は隠していました。
責任
高野島と敷島を殺した責任は病院にあるといえます。院長が犯人であると考えた場合、MERSコロナウイルスの院内感染を隠蔽するというのが動機であり、手口は死亡診断書の偽装といえます。病院内で死亡した患者はうまく処理しているようでしたが、健康診断で病院を訪れた男性と、男性の会社関係者に感染し、死亡しました。二人の死因は心不全と判断されますが、不審に思った遺族の意向によって調査が進み、院内感染の発覚へとつながります。
院長を追い詰めた証拠は、検査キットの購入履歴です。購入が、高野島の健康診断よりもずっと前であったこと、そして、その購入量が多かったことが決め手となり、院長は院内感染を認めます。
上記では便宜上、院長を犯人として扱いましたが、直接人を殺したわけではありません。判例を調べていみると院内感染によって死亡した患者について、病院側が多額の損害賠償金を要求されるケースが多々、あるようです*1。しかしながら、刑事的な責任はないようです。つまり、犯人という表現は不正確だと考えられます。
解剖について
ミコトらがこの事件に関わることになったそもそもの原因は、死体発見時の検視・検案にあります。通常、自宅などで亡くなった人は変死として扱われ、警察官が検視し、警察医が検案します。検案によって死因が判明しない場合は解剖が行われます。ドラマでは、実は解剖率が低く、本当の死因は見逃されがちであるということが指摘されています。
未知の毒
余談ですが、いまだに解明されていない毒で有名なのはアジサイではないかと思います。アジサイの葉っぱは食べると中毒症状を起こしますが、『毒性成分は、未だ明らかではない』*2となっています。とはいえ、死に至るほどの毒物ではありません。
*2厚生労働省:自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アジサイ
役名 | キャスト | 役どころ |
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高野島渡 | 野村修一高 | 被害者、死因は感染症 |
敷島由果 | 田中こなつ | 被害者、死因は感染症 |
馬場路子 | 山口紗弥加 | 高野島の恋人、高野島と接触したが感染しなかった |
村井國夫 | 駕籠武 | 大学病院の院長、院内感染を隠蔽した |
2話:死にたがりの手紙
警察の依頼により集団練炭自殺の現場に出向いたミコトは、事件性はないと言い切る刑事を差し置いて、解剖を決める。その結果、自殺者4人のうち3人は一酸化炭素中毒であったが、残る1人の少女は死因が凍死であることが判明する。さらにその少女の胃の中から『ユキオトコノイ タスケテ花』というダイイング・メッセージが発見される。
ダイイング・メッセージの謎
凍死した少女の身元は明らかになりませんが、ダイイング・メッセージに書かれた花という文字から、花ちゃんと呼ばれることになります。花ちゃんの口に抵抗したような傷がなかったことから、自らダイイング・メッセージを書いた紙を飲み込んだと推理されますが、メッセージに「タスケテ(助けて)」と書かれているため、他殺が疑われます。ミコトは六郎を連れて、被害者が凍死した場所を探します。手掛かりは、被害者の胃の中身と、花の毛髪に付着していた塩です。のちに、松倉花・花ちゃんだと考えられていた被害者は、松倉本人ではないことが遺族によって確認されます。そして、凍死した少女は漫画喫茶に寝泊まりしていたミケという人物であるということが明らかになります。
ネタバレ
ダイイングメッセージの全文は『ユキオトコノイエ タスケテハナイル(ユキ男の家 助けて花いる)』でした。ユキは大沼悟のハンドルネームで、この男こそが、ミケを凍死させた犯人でした。大沼はネット上でユキと名乗り、女のふりをしていました。ネカマと呼ばれる存在だった大沼はミケと花を誘い出し、二人を監禁します。そして、ミケを冷凍車の中で殺害しました。自殺サイトで集団練炭自殺を知った大沼は、凍死と練炭自殺の死体の特徴が似ていることを利用し、自殺現場にミケの死体を持ち運びます。
とある温泉地を訪れたミコトと六郎は、犯人の冷凍車を見つけます。しかし犯人に気付かれ、冷凍車の中に閉じ込められます。さらに、車ごと池の中に沈められてしまいます。携帯電話で中堂に助けを求めたミコトは、沈められた池の成分を伝えます。これを手掛かりに居場所を突き止めた中堂の活躍により、ミコトと六郎は無事、救助されます。
ミコトの過去
ミコトは一家心中の生き残りでした。主謀者はミコトの母親で、母は夫と息子(ミコトの父と弟)を練炭を焚き死なせました。ミコトは母親にラムネといわれて睡眠薬を飲まされそうになりましたが、まずかったため吐き出していました。
手口
犯人はネットで知り合った家出少女二人を監禁し、そのうちの一人を殺害しました。殺害方法は冷凍車を使った凍死で、死体は集団自殺の現場に紛れ込ませました。これにより、他殺を自殺にみせようとしますが、少女の手首に縛られたような痕跡があったことなどがミスとなり、解剖され、凍死という死因が発覚します。さらに、被害者の少女がジビエを食べていたことや紙に付着した塩などが手掛かりとなり、犯行現場が突き止められます。
少女の死体が外部から持ち運ばれたということを示す証拠として、室内の一酸化炭素濃度が挙げられます。現場の一酸化炭素濃度は、残された練炭や密閉された部屋の状況から推測される一酸化炭素の濃度よりも低くなっていました。これが、部屋が一度換気された可能性を示唆します。
今回の凍死に似ている殺し方としては、密閉された部屋に閉じ込めて窒息死させるという方法があります。部屋が寒いか、普通かの違いだと考えられます。刑事コロンボ「別れのワイン」「死者のメッセージ」や古畑任三郎「死者の伝言」などがこの窒息死に該当します*1。人を部屋に閉じ込める場合、閉じ込められた人はしばらく息があるため、ダイイングメッセージを残す可能性が非常に高くなります。
*1古畑やコロンボは倒叙の作品ということもあり、窒息死で殺害するという手口はネタバレではありません
動機
犯人の動機や行動理由については語られていない部分が多いです。金や暴行が目的だったとも考えられますが、そのようなシーンはありませんでした。俗にいうシリアルキラーのようにみえますが、その心理は不明です。人を支配することで欲求が満たされていたかもしれませんし、女性の腕を縛って監禁するという状況に犯人なりの神聖な意味があったのかもしれません。のちに、犯人はミケだけを殺しました。集団自殺の機会にミケも花も始末するというのが合理的な考え方のように思いますが、それをしなかった理由があるようです。これについても、異常な心理が働いているのかもしれません。もしくは、花は実家が金持ちそうだったので、それを利用するため生かしていたとも考えられます。
サーバー
エピソードの中で、自殺サイトを運営する男性が登場しました。サイトを運営する際にはサーバーが必要になり、個人の場合、多くは大手企業が運用するサーバーをレンタルしています(私もその一人です)。レンタルの際には、住所氏名などの個人情報と支払方法(多くはクレジットカード)を書き込み、電話認証を受ける必要があります。サイトが、どこのサーバーを使っているのかは誰でもネットで簡単に調べることができます。こうやってサーバーの運営会社が判明し、警察が問い合わせることで、運営者の素性が明らかになると考えられます。
ミケの死
ミケの死が悲し過ぎます。解剖されることを信じてメッセージを残したのは、自分のためではなく、一緒に監禁されていた花のためにとった行動でした。死ぬ時、彼女は自分以外のことを考えていたわけです。胸が苦しくなります。あのメッセージがなければ、自殺として処理されてしまう可能性もあったように思います*1。結局、ミケというあだ名だけしか明らかにならず、身元は不明のままです。
*1どこかの冷凍庫で自殺し、誰かが死体を運んだというストーリーです。運んだのは冷凍庫を管理する人物で、責任を問われることを恐れ死体を隠蔽した、などが考えられます
役名 | キャスト | 役どころ |
---|---|---|
松倉花 | 松村沙友理 | 失踪人、監禁されていたが助かる |
ミケ | 菅野莉央 | 失踪人、監禁され死亡する |
栄信 | 大沼悟 | ユキ、犯人 |
3話:予定外の証人
半年前に発生した『主婦ブロガー殺人事件』の裁判に代理証人として出廷することになったミコトは、法廷で、証拠として提出された包丁が本当の凶器ではないことに気付く。これを聞いた被害者の夫の要一は、一転して無実を主張する。一度は検察側の証人として証言したミコトだったが、今度は、弁護側の証人として出廷する。そこで、検事の烏田守の罠に落ち、感情的になってしまう……。
包丁の謎
主婦ブロガーの死体を発見したのはマネージャーで、死体は自宅一階のダイニング付近に倒れていました。死体発見時、夫は二階の寝室で眠っていました。警察に起こされた要一は『あれは夢じゃなった』という言葉を口走ります。妻による精神的なDVが原因で、精神疾患の薬を服用していた要一は寝ぼけて妻を殺害したと考え、罪を認めてしまいます。ミコトが法廷で気付いたのは、凶器が右利き用の包丁だったということです。しかしながら、証拠として提出された包丁はしずくが愛用してた左利き用のセラミック包丁でした。被害者は心臓を刺され、その刺し傷は背骨まで到達し、骨の一部を切りかいていました。この骨に残った傷は、右利き用の包丁でないとつかない傷でした。
弁護側の証人となったミコトは、からすに、証人としての信頼性を下げるという目的で、女性であることや、解剖の経歴が浅いことを指摘されます。これに猛反発したミコトは、感情的になり、年配の男性陪審員らの心証を悪くしてしまいます。骨の切り欠きという証拠も、検事側が新たに用意したベテランの解剖医の証言により否定されます。決定的な証拠が掴めないミコトですが、ホルマリン漬けされた被害者の体の一部を調べることで、新たな事実を掴みます。
ネタバレ
主婦ブロガーを殺したのは弟の刈谷でした。料理屋を営む彼は、実は、主婦ブロガーの全てのレシピを考案していました。金を要求した刈谷でしたが、それを断られ、カッとなって手元にあった包丁で刺してしまいます。ミコト達が調べたホルマリンには、金属など含まれており、その中に砥石の成分も存在していました。この砥石を使う包丁を持っていたのが刈谷でした。
なお、ミコトが代理証人となったのは中堂が坂本に訴訟を起こされていたためです。中堂はパワハラで訴えられました。坂本は、どうやら、中堂の『クソが』発言を丁寧に細かくメモしていたようです。
手口
真犯人が殺人の罪を夫である要一になすりつけようとしていたわけではなさそうです。要一は薬を服用していたために、記憶が曖昧で、自分でも殺したかどうかわかっていませんでした。夜中にトイレに行った時、妻の死体を目撃し、それが『夢じゃなった』という発言につながりますが、これは警察に自供と認められます。そして、気が弱いという性格もあり、無実を主張することはなく、罪を認めます。真犯人とっては僥倖だったといえます。
犯人は完全犯罪を目論んでいるわけではありませんでした。とはいえ、その場から立ち去っているので、罪から逃れようという意思はあったのかもしれません。しかし、具体的にアリバイ工作をしたり、要一が犯人になるようにトリックを仕込んだわけではなさそうです。
人を殺したことを憶えていないなんてあり得るのか、と思ってしまいますが、薬物の影響がある場合は、あり得るかもしれません。酒に酔って、気付いたらあり得ない行動をとっていたというのと近いのかもしれません。睡眠に関しては錯乱性覚醒、夜驚症(小さな子供が突然目覚めて叫んだりする症状)などがあり、これが原因で殺人などが起きたこともあるようです。
包丁
セラミック包丁が凶器ではないということを証明する根拠として、骨に残った切り欠きの向きが使われます。包丁は右利き用と左利き用で断面が大きく異なります。特に片刃の場合は顕著で、傷痕を見れば、どちらの包丁で刺されたのかがわかります。ただし、提出された包丁が凶器でないと証明されたからといって、要一が犯人でないということまでを証明することはできません。ミコトは背骨まで包丁を突き刺すには、相当な助走が必要ということを実験で確かめようともしています。これは状況証拠であるため、要一が犯人ではないと言い切ることはできません。
犯人を突き止める決定的な証拠となったのは砥石(合せ砥)の成分です。料理人が使う包丁に使われる特殊な成分だったため、料理店を営んでいる被害者の弟が容疑者となります。このことを突き付けられた犯人は自供しています。
役名 | キャスト | 役どころ |
---|---|---|
烏田守 | 吹越満 | 検事 |
桜小路要一 | 温水洋一 | 容疑者、犯行を認めるような供述をするが犯人ではない |
桜小路しずく | 音月桂 | 被害者、要一の夫 |
正木 | ひかる一平 | 第一発見者、マネージャー |
刈谷 | 清水優 | 被害者の弟、真犯人 |
4話:誰がために働く
ミコトの義理の母であり弁護士の夏代がUDIラボを訪れ、バイク事故で亡くなった佐野祐斗の死因究明を依頼する。死亡した佐野には妻子があった。しかし、バイクの任意保険は切れており、生命保険にも加入していなかったため、妻・可奈子は養うべき子供を抱え、途方に暮れていた。夏代が佐野の勤務状況を確認するため職場であるケーキ工場に行くが、工場長の松永は過労による事故死を否定し、バイク故障だと証言する。ところが、バイクは修理されたばかりで、修理工場の店主は修理に問題はなかったと話す。問題のバイクは事故で燃えており確認することはできなかった。夏代は、修理屋の話を頼りに、病院へと向かう。被害者は体調不良を訴え、病院に通っていたようだった。もちろん病院側も、特に問題はなかったと主張する。
バイク事故の謎
事故で亡くなった佐野の死因を巡って、会社、バイクの修理屋、病院が責任逃れのために、醜い言い争いを繰り広げます。会社はケーキ工場で、商品のロールケーキが話題になっていました。会社側は被害者に長時間労働を強いており、それは150時間以上におよぶサービス残業だったようですが、このことを会社側は認めません。なお、被害者が死亡したとき、道路にブレーキ痕はありませんでした。どうやら、ブレーキをかけることができない状態だったようです。
解剖により、死因は、くも膜下出血であると考えられます。くも膜下出血が事故前に起きていれば病死、つまり、病院のミスであり、事故後に起きたのならば被害者が事故を起こして死んだとなります。しかしながら、詳しい死因は特定できず、さらなる検査を東海林が進めることになります。
ネタバレ
被害者の死因は外傷性椎骨動脈解離でした。そしてこれは、バイク事故よりも前に既に生じていたことが明らかになります。外傷性椎骨動脈解離は被害者が死亡する30日前に生じ、その後、血管が裂ける寸前のまま、被害者は生活を送っていたようでした。これは病院の検査では判明しないため、病院の責任にはなりません。さらに、事故の前に生じていたため、バイクの不調は一切関係がないことになります。
もしも動脈解離の原因が過労で、それが通勤中に起きたとしても、会社の規則でバイク通勤は認められていないため、過労死は認められそうにありません。ところが、被害者が動脈解離を負った事故は、社長のマンションへ向かう際中に起きていました。社長はロールケーキを届けさせようとしており、社長が急かしたため、バイクを使っていても問題はなさそうでした。ミコトらの調査の結果、被害者が事故を起こした場所が判明し、防犯カメラの映像から、事故が起きたことが明確になります。なお、バイクに残ったカラフルな塗料から、事故現場を特定しています。塗料はご当地マンホールに使われており、人海戦術でマンホールを調べることで該当するマンホールを見つけ出しています。
工場長は被害者が社長にロールケーキを届けたことを知っていました。このことを隠していましたが、過労で倒れたあと、真相を伝えています。また、途中で社長に反抗し、ミコト達のマンホール調査を手伝うなどしています。最終的には、未払い賃金などを巡って社長と争う決意を固めているようです。
ケーキ工場の社長がやっていたことは労働基準法に違反する犯罪です。この犯罪を隠蔽するために、工場長達に嘘をつかせていました。これが発覚するきっかけとなったのが、従業員の死でした。事故死にみえますが、実際には過労死で、これを証明するためには、詳細な検査と事故調査が必要でした。
工場長や従業員が黙っていたのは、弱みを握られていたからということだと思います。少なくとも被害者は他に働けるところがないと思っていたようです。被害者は勤務中に追った傷が原因で、突然死しました。それが、バイク運転中だったため、事故死にみえました。もしも、工場で勤務しているときや、自宅にいる時であれば、これほどややこしくはならなかったように思います。
脅迫状
被害者の解剖が始まると、解剖室で脅迫文がみつかります。金田一も真っ青の予告状ですが、これは、このエピソードには関係がありません。これは、中堂の事件に関連があり、その真相は最終話で明らかになります。
働く理由
人はなぜ働くのか、という深いテーマでした。ミコトは「生きるため」と答えています。こんなことを就職活動の面接で話したら、たぶん落ちますが、その理由は、そんなことは当たり前だからかもしれません。それよりも、君の考えや特徴を知りたいんだというのが面接官の言い分かもしれません。さらにミコトは「夢なんて、そんなお袈裟なものなくてもいいんじゃない。目標程度で。給料入ったらあれ買うとか、休みができたらどっかいくとか、誰かのために働くとか」とも言っています。家族のため、ローンのため、などなど、こういった問題は価値観というるつぼに押し付けるのが定石です。
ここからは個人の見解ですが、働く理由はその人が労働者階級に生れたからです。大金持ちだったら働かなくて済みます。これは、ちょうど、ケーキ工場の社長と死んだ社員の関係です。社長、つまり資本(生産力)を持つものが遊んでいる間に、労働者は死ぬほど働かされるということです。こんなに酷くはないですが、会社は、だいたいこんな感じだと思います。
役名 | キャスト | 役どころ |
---|---|---|
佐野祐斗 | 坪倉由幸 | 被害者、ケーキを社長宅に運んでいる最中に事故を起こしていた |
佐野可奈子 | 戸田菜穂 | 祐斗の妻、依頼人、息子が一人いる |
松永 | 春海四方 | 工場長、佐野がケーキを社長宅に運んだのを隠していた |
5話:死の報復
ミコトはUDIラボの所長を問い詰め、8年前、中堂が自身の恋人の他殺体を解剖したという過去を知る。そんな折、青森からご遺体が届き、鈴木巧(たくみ)が妻の解剖を依頼する。鈴木の妻は警察によって海への入水自殺と断定されていたが、夫の鈴木は自殺を信じていなかった。依頼を受けたミコト達は解剖に着手するが、そこへ葬儀社の木林が現れ、ご遺体は葬儀場から盗まれた遺体であると報せる。すなわち、それはミコトが死体損壊罪を犯したということを意味していた。
飛び込みの謎
持ち込まれた遺体は鈴木巧の妻ということになっていましたが、これは鈴木の嘘で、遺体は鈴木の恋人です。名前は鈴木果歩(かほ)で、苗字は同じですが結婚はしていません。巧は妻と偽っていたわけですが、その他の事情に嘘偽りはありません。果歩と巧は駆け落ちするようなかたちで東京を出、青森で暮らしていました。果歩の両親は巧を憎んでおり、また、解剖を希望していませんでした。対して巧は、果歩と幸せに暮らしていたため、自殺という見立てにどうしても納得ができませんでした。
果歩が自殺と断定されたのは、飛び込む姿を目撃した人物がいたためです。しかし、身を投げ入れた場所と、死体が見つかった場所は異なっていました。死体が流れたと考えられますが、果歩が身を投げ入れた海と、死体が見つかった海では、海に含まれるウニの幼生の量が異なっており、果歩の死体内部に侵入した海水は幼生が多量に含まれていました。死体が見つかった場所は幼生が多い海なので、入水地点から流れ着いたというよりも、長い間入水地点の海にいたことが判明します。幼生の量に加え、果歩が死亡した直後も肺が膨らんでいなかったということもわかります。これは、水を大量に飲み込んで死亡したというわけではないことを意味し、このことから、果歩が飛び込んだ直後に水中で気を失って死亡したことが明らかになります。しかし、果歩が亡くなったと考えられる場所は入水地点ではなく、発見地点のはずでした。
ネタバレ
目撃者がみたのは、犯人が偽装工作のために、果歩のふりをして飛び込んだ姿でした。果歩を殺したのはまゆという同僚で、まゆは幸せそうな果歩に嫉妬し、果歩を海に突き落としました。その後、果歩のふりをして海に飛び込み、果歩が自殺したようにみせました。まゆは海へ足から飛び込み、その通りに目撃者が証言していましたが、果歩は顔面から飛び込んで気を失ったと考えられていたため、証言と解剖結果に食い違いが生じる結果となっています。
葬儀にて
本当の死因を知った鈴木巧は果歩のネックレスを身につけいたまゆが犯人であることに気付きます。雪の舞う果歩の葬儀で、果歩の両親に白々しく励ましの言葉をかけるまゆに、巧が歩み寄り、持っていた包丁でまゆを刺します。刺されたまゆは自分よりも幸せそうだった果歩が許せなかったと告白し、巧にもう一度、刺されます。
役名 | キャスト | 役どころ |
---|---|---|
鈴木巧 | 泉澤祐希 | 依頼人、恋人の自殺に疑いをもち解剖を依頼する 果歩を殺害したまゆを刺し逮捕される |
鈴木果歩 | 青木美香 | 被害者、巧の恋人、同僚のまゆに海へ突き落とされ死亡する |
まゆ | 城戸愛莉 | 犯人、果歩の同僚、果歩のネックレスを自慢と感じ犯行に至る 巧に刺されるが一命を取りとめる |
6話:友達じゃない
合コンパーティーに参加した東海林がホテルのベッドで目を覚ますと、隣に死体が横たわっていた。死んでいたのはパーティー参加者の男性で権田原登(ごんだわらのぼる)という名前だった。東海林はパーティー会場を出た後の記憶が一切なく、権田原が死んでいる理由はもちろん、なぜ同じベッドに寝ていたのかも憶えていなかったということもあり、警察は犯人として東海林を疑う。同じ頃、UDIでは道端で突然死した男性の解剖が進んでいた。その男性と権田原にはつながりがあるようだった。
突然死の謎
東海林の横で死んでいたのは権田原という男で、路上で死んだのは細川隆文(ほそかわたかふみ)、通称細マッチョです。細川は東海林が参加した合コンパーティーに参加するはずでしたが、死亡したため参加はできませんでした。権田原と細川の共通点は、どちらも自身の脈拍などのバイタルデータを記録する装置を身につけていたことです。この装置は岩永充(いわながみつる)という人物が社長を務める会社で開発しており、実は、岩永、権田原、細川は大学時代からの友人でした。この三人は、大学時代からの友人である立花を加えた四人で、仮想通貨詐欺事件を起こしていました。
ネタバレ
権田原と細川を殺害したのは岩永です。岩永は仮想通貨詐欺事件で手に入れた4億円を独り占めするため、共犯者だった二人を殺害し、残る立花も殺そうとしていました。立花殺害に関しては真相に気付いたミコト達が犯行を阻止しています。
凶器は被害者が身につけていたイヤーカフと腕輪型端末です。これらはバイタルデータを取得するための装置でしたが、被害者が身につけていたものは犯行用に改造されていました。犯人の岩永は改造した腕輪型端末を遠隔操作して被害者に電流を流しました。イヤーカフで増幅され強力になった電流は被害者の頸椎の神経に作用し、その結果、被害者の横隔膜が麻痺します。そして、被害者は呼吸ができなくなり窒息して死亡します。電流が流れた証拠として、耳の裏の発赤(ほっせき)などが生じており、これは電流による火傷の跡でした。
事件に巻き込まれた東海林は、いわば被害者でした。権田原は女性に睡眠薬を飲ませて暴行を働いており、今回のターゲットが東海林でした。
役名 | キャスト | 役どころ |
---|---|---|
岩永充 | 竹財輝之助 | 犯人、詐欺事件で手に入れた金を独り占めするため共犯者を殺す |
権田原登 | 岩永洋昭 | 被害者、暴行目的で東海林に睡眠薬を盛る |
細川隆文 | 三宅克幸 | 被害者、東海林が気に入っていた男 |
立花圭吾 | 鈴木裕樹 | 岩永に殺害されそうになるが一命をとりとめる |
7話:殺人遊戯
ある日、ミコトの携帯に「これを見たら電話をください」というメッセージが届く。そのメッセージにはリンクが添えられていた……。差出人は法医学に興味を持つ高校一年生の男子で、ミコトの弟が連絡先を教えたらしかった。ミコトがリンクをクリックすると、とあるライブ配信が流れ始める。配信者は学生らしく、自らを“殺人者S”と名乗った。そして、殺人者SはYを殺害したという。ミコトは殺人者SにYの死因を突き止めろと脅され、もしも間違えた場合は人質のXも殺害されるという状況に陥ってしまう。
ソア橋の謎
ミコトはカメラ越しにYの瞳孔が開いていることを確認し、本当にYが死亡していることを確認します。死亡推定時刻は昨夜の8時から10時の間で、Yは高校生の横山伸也(よこやましんや)であることがわかります。また、殺人者Sというのが横山と同じ高校に通う白井一馬(しらいかずま)であることも判明します。殺人者Sこと白井は真相を知っているらしく、ライブ配信を通じてミコトに死因に関するヒントを出します。一つ目がYが死んだのは配信場所の部屋ではないこと、二つ目がYの背中の状況、そして三つ目が凶器のナイフでした。
のちに、横山が同じクラスの男子生徒にいじめを受けていたことがわかります。しかし、いじめていた男子生徒達は死亡推定時刻に万引きで捕まっていたため、完璧なアリバイがありました。
ネタバレ
横山は自殺です。彼は自殺を他殺にみせて、その罪をいじめの加害者達になすりつけようとしていました。横山の計画は加害者達を学校の倉庫に呼び出しておいてから自殺し、第一発見者となった加害者達に罪をなすりつけるというものでした。しかし、いじめの加害者達が万引きで捕まってしまったため、横山の計画は失敗に終わります。
横山が使ったトリックは自殺に用いたナイフが勝手に倉庫の外へ放り出されるというものでした。ナイフには重りが結ばれており、その重りに引きずられるようにしてナイフは横山のもとから離れていきます。凶器のナイフは三本用意されており、そのうちの一本は加害者が所持していたもので、他の二本は全く同じ形状の別のナイフでした。それぞれのナイフは柄を下にして紙粘土で作られた土台に支えられており、この剣山のようになった凶器の上に、横山は背中から倒れ込み死亡しました。特殊な凶器であったために、三本ともほぼ同じ角度で刺されたことなどが証拠として残ってしまっています。
ライブ配信を行った白井は横山の計画を知っていた人物でした。そして白井はいじめの加害者達が万引きで捕まったことも知っており、横山の計画が失敗することにいち早く気付いていました。倉庫に駆け付けた白井は、そこで横山の死体をみつけ、部屋に運び込み配信を始めました。その理由は、いじめで殺されたことを広く知らしめるためでした。もともといじめを受けていたのは白井で、それを助けようとした横山が逆に標的にされてしまっていました。白井は横山が身代わりになってしまったことに対しても罪悪感を抱いていたようです。
役名 | キャスト | 役どころ |
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白井一馬 | 望月歩 | 殺人者S、自殺しようとするが踏み止まる |
横山伸也 | 神尾楓珠 | Y、自殺を他殺に偽装しようとするが失敗に終わってしまう |
小池颯太 | 小野寺晃良 | いじめ加害者のリーダー格、万引きで捕まる |
8話:遥かなる我が家
雑居ビルで大火災が発生し、火災に巻き込まれたおよそ10名が死亡してしまう。解剖のため死体はUDIラボへと運ばれるが、全員が真っ黒な焼死体となっており、遺体の身元を突き止めることすらもままならない状態であった。そんな中、ミコトがある遺体の後頭部に殴られたような痕跡を発見する。その遺体の腰にはロープで縛られていたような跡も残っていた。このことからミコトは事故ではなく、放火を疑うことになる。実は雑居ビル火災には生存者がいた。その生存者は男性で、怪我を負い入院しているようだった。
火災の謎
火災に巻き込まれたのは10名で、そのうち1名を除き身元が判明します。身元が最後まで判明しないのが、後頭部に傷のある遺体です。この遺体はロープで縛られていたため、他殺が疑われます。また、他殺を隠すために犯人が火を放ったという状況も想像されます。後に、遺体の銃創から身元は、前科のある町田三郎(まちださぶろう)であることが判明します。
火災の生存者は高瀬文人(たかせふみと)という名前で、発見後、帝日大学病院の集中治療室へと運び込まれます。その後しばらくは意識がなく、火災については何も語れない状況が続きます。
ネタバレ
火災は事故です。原因はプロジェクターの不良で、プロジェクターから出た火がカーテンに燃え移り、大きな火災となりました。火の広がりが早かったため、ビル内にいた全員が逃げ遅れ、死亡しました。
町田は火災に巻き込まれた人々を助けようとしていました。頭部に傷があったのは、バックドラフトに遭って転倒し、頭を手すりに打ち付けたためです。また、ロープは人を背負うために、町田自身が結んだものでした。結び方は消防士だった父親から教わっていたようです。町田が救助活動を行った理由は、前科者だった町田にとってビルに入っていたスナックが自分の居場所だったためです。なお、高瀬は町田が助け出した人物です。
役名 | キャスト | 役どころ |
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町田三郎 | 一ノ瀬ワタル | 9番の焼死体、火災に巻き込まれた人々を助けようとしていた |
町田雅次 | 木場勝己 | 三郎の父親、元消防士、三郎を勘当していた |
高瀬文人 | 尾上寛之 | 町田に助けられた男性、一命を取り留める |
9話:敵の姿
火災があった雑居ビルの隣で若い女性の死体が見つかる。死体はスーツケースに押し込まれており、口の中には赤い金魚のようなアザがあった。8年前に殺害された中堂の恋人にも同じようなアザがあったが、警察は過去の事件との関連性を否定する。
蟻酸の謎
女性の名前は橘芹那(たちばなせりな)で、死体は専稜会館という空き家で火災後に見つかりました。検死により死後2日程度と推定され、死んだのは火災の後であると認識されます。胃の内容物は腐敗が激しく、ボツリヌス菌もみつかったため、ボツリヌス菌を凶器とした殺人が疑われます。のちに、スーツケースが見つかった会館で蟻がみつかり、蟻酸も検出されます。しかし、発見された蟻は蟻酸をもたない蟻でした。
赤い金魚
口の中の金魚は“おさかなカラーボール”というペット用のおもちゃを押し込まれたために生じたアザであったことも判明します。金魚があった死体は他に3件明らかになっており、その一つが中堂の恋人の殺人事件でした。中堂の恋人は糀谷夕希子(こうじやゆきこ)という名前で、8年前にスクラップ工場で死体となって発見されました。死因はニコチンを注射されたことによるニコチン中毒です。4年前に見つかった勝俣みのり(かつまたみのり)が二人目で、彼女は首つり自殺でした。そして、半年前に自宅アパートで見つかった武内麻耶(たけうちまや)が3件目で、武内は熱中症で死亡していました。今回の橘の事件を含め、それぞれの事件が同一人物による犯行であることを示唆する“おさかなカラーボール”ですが、これは中堂が独自に集めた証拠のため、正式な証拠とは認められませんでした。
ネタバレ
スーツケースの中から発見された死体はボツリヌス菌を投与されて死亡したわけではなく、ホルマリンを注射されたために死亡していました。死体の腐敗が進んでいなかったのはホルマリンの影響であり、これにより、死後一カ月以上経過していることが新たに判明します。なお、胃の中のボツリヌス菌は長期間放置されていたために自然に発生した様子で、死因には直接関係がありませんでした。死体発見現場からみつかった蟻酸はホルマリンが空気に触れて酸化し、蟻酸に変化していました。
死亡推定時刻が一カ月前となり、火災で生き残った高瀬文人も容疑者となります。スーツケースが置かれていた専稜会館は、実は高瀬が管理している物件でした。高瀬は不動産業を営んでおり、被害者の橘はカフェをオープンするために高瀬の不動産を訪ねたようです。なお、フリー記者の宍戸理一が真犯人のようにみえますが、宍戸は高瀬を取材しているだけです。
役名 | キャスト | 役どころ |
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橘芹那 | 葉月みかん | スーツケースの死体、ホルマリンを注射され死亡した |
10話:旅の終わり
連続殺人犯と思しき高瀬文人が警察に出頭する。そして高瀬は遺体損壊を認めるが、殺人については否定するのだった。そんな主張を押し通そうとする高瀬に対し、殺人を立証するような証拠は一切なかった。
連続殺人の結末
高瀬が犯人であることは間違いないようですが、彼は殺人を否定します。高瀬の主張は、物件をみにきた女性が突然死したので、自分が疑われないようにするため、死体を隠したという内容です。その後、高瀬の犯行を告白するような本が出版されますが、これは全て妄想、すなわち、フィクションという扱いになります。
スーツケースの中からみつかった橘について高瀬は橘が食中毒にかかっていたというような内容を証言します。この証言に対して胃の中からみつかったボツリヌス菌が裏付けとなるわけですが、高瀬が解剖結果を知るはずはありません。このことから、UDIラボの情報漏洩が発覚し、その犯人が記録係の久部六郎であることも公になります。
ネタバレ
ミコト達はボツリヌス菌の内容を鑑定書から削除しなければならない状況に追い込まれます。しかし結局、所長がボツリヌス菌の記載がある正しい鑑定書を提出することになります。
正しい鑑定書が提出されるとなれば、高瀬を殺人罪で裁くというのが絶望的に難しくなります。残された証拠は高瀬が犯行に用いた“おさかなカラーボール”ですが、これはフリー記者の宍戸によって硫酸漬けにされてしまいます。一切の証拠が失われたように思えましたが、実は中堂の恋人だった糀谷夕希子の米国で土葬されており、遺体は防腐処理を施されていました。
糀谷夕希子の遺体を掘り起こし再調査したところ、夕希子の口の中から高瀬のDNAが発見されます。高瀬は糀谷夕希子と面識がないと話していましたが、DNAがこの証言と矛盾する証拠になります。さらに、ミコトに母親による虐待を公表され、犯行動機が母にあることを指摘されます。“母親の影”に過剰に反応した高瀬は逆上して犯行を認めます。
赤い金魚事件の犯人
中堂系が追っていた“赤い金魚”事件の犯人は高瀬文人でした。高瀬は8話のビル火災で被害者の一人となりますが、運よく救助され、生き残ることになります。怪しい人物の一人だった記者の宍戸理一は、高瀬の犯行を知っており、犯行を面白がっていました。
感想
これは、とてもおもしろいドラマです。ミステリーに詳しい方は「ノックスの十戒」というのをご存じだと思います。推理小説のタブー十か条という感じのルールですが、ここに『未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない』という項目があります。つまり、未知の毒物を登場させてはいけない*1ので、私は、それを匂わせるドラマの結末にもの凄く期待していました。そして、感染症という期待以上の展開にとても驚きました。2020年代ともなると、感染症を知らない人は地球人じゃないほどポピュラーになってしまいましたが、このことも相まって、とても現実的な展開であることが証明されたように思います。
*1ミステリーの謎解きで死因が新種の毒物だったと言われたら、白けてしまうはずです。とはいえ、コナン・ドイルもシャーロック・ホームズシリーズで、未知の毒物を使っています(十戒が書かれたのは1928年頃です。コナン・ドイルの作品よりも後に書かれたものであるため、コナン・ドイルがこれを破ったというわけではありません)
思いのほか解剖されないとなると、完全犯罪も夢ではありません(冗談です)。毒殺が発覚するのは、やはり、保険金殺人のように、明らかに動機がある場合なのかもしれません。もしも、ふぐを密漁して、自分とは全く関係ない人に食べさせたら、他殺は明らかにならないのかもしれません。
主題歌Lemonの入り方が3番目くらいに好きなエピソードは3話の「予定外の証人」なのですが、二回目以降の視聴は、温水さんで、どうしても笑ってしまいます。感動的なシーンのはずなんですが。入り方が一番好きなエピソードは4話の「誰がために働く」です。葬式のエピソードよりも好きだと思います。花火がいいです。
トリック一覧
ドラマに登場したトリックや結末を簡単にまとめます。
話数 | トリック |
---|---|
1 | 感染症だった |
2 | ダイイング・メッセージではなく助けを求める手紙だった |
3 | 薬を服用していた容疑者が自白する |
4 | 被害者は社長命令に従い事故を起こしてた |
5 | 自殺偽装のため犯人が被害者のふりをして海に飛び込む |
6 | ウェアラブル端末で神経に電気を流し横隔膜を麻痺させる |
7 | 自殺を他殺に偽装するため凶器に重しをつけて遠ざける |
8 | 不審な焼死体があったので他殺が疑われたが救助者だった |
9 | ホルマリンが凶器でホルマリンは蟻酸に変化した |
10 | 土葬により防腐処理された死体が残っている |
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